Feed

国連国際人権規約

Posted on 4月 16th, 2007 in 未分類 by apj

 一応あちこちで使いそうな資料なのでメモ代わりに。国連国際人権規約

経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約
(A規約)
第三部

第六条
1 この規約の締約国は、労働の権利を認めるものとし、この権利を保障するため適当な措置をとる。この権利には、すべての者が自由に選択し又は承諾する労働によって生計を立てる機会を得る権利を含む。
2 この規約の締約国が1の権利の完全な実現を達成するためとる措置には、個人に対して基本的な政治的及び経済的自由を保障する条件の下で着実な経済的、社会的及び文化的発展を実現し並びに完全かつ生産的な雇用を達成するための技術及び職業の指導及び訓練に関する計画、政策及び方法を含む。

第七条
 この規約の締約国は、すべての者が公正かつ良好な労働条件を享受する権利を有することを認める。この労働条件は、特に次のものを確保する労働条件とする。
(a) すべての労働者に最小限度次のものを与える報酬
  (i) 公正な資金及びいかなる差別もない同一価値の労働についての同一報酬。特に、女子については、同一の労働についての同一報酬とともに男子が享受する労働条件に劣らない労働条件が保障されること。
  (ii) 労働者及びその家族のこの規約に適合する相応な生活
(b) 安全かつ健康的な作業条件
(c) 先任及び能力以外のいかなる事由も考慮されることなく、すべての者がその雇用関係においてより高い過当な地位に昇進する均等な機会
(d) 休息、余暇、労働時間の合理的な制限及び定期的な有給休暇並びに公の休日についての報酬

第八条
1 この規約の締約国は、次の権利を確保することを約束する。
(a) すべての者がその経済的及び社会的利益を増進し及び保護するため、労働組合を結成し及び当該労働組合の規則にのみ従うことを条件として自ら選択する労働組合に加入する権利。この権利の行使については、法律で定める制限であって国の安全若しくは公の秩序のため又は他の者の権利及び自由の保護のため民主的社会において必要なもの以外のいかなる制限も課することができない。
(b) 労働組合が国内の連合又は総連合を設立する権利及びこれらの連合又は総連合が国際的な労働組合団体を結成し又はこれに加入する権利
(c) 労働組合が、法律で定める制限であって国の安全若しくは公の秩序のため又は他の者の権利及び自由の保護のため民主的社会において必要なもの以外のいかなる制限も受けることなく、自由に活動する権利
(d) 同盟罷業をする権利。ただし、この権利は、各国の法律に従って行使されることを条件とする。
2 この条の規定は、軍隊若しくは警察の構成員又は公務員による1の権利の行使について合法的な制限を課することを妨げるものではない。
3 この条のいかなる規定も、結社の自由及び団結権の保護に関する千九百四十八年の国際労働機関の条約の締約国が、同条約に規定する保障を阻害するような立法措置を講ずること又は同条約に規定する保障を阻害するような方法により法律を適用することを許すものではない。

第九条
 この規約の締約国は、社会保険その他の社会保障についてのすべての者の権利を認める。

第十条
 この規約の締約国は、次のことを認める。
1 できる限り広範な保護及び援助が、社会の自然かつ基礎的な単位である家族に対し、特に、家族の形成のために並びに扶養児童の養育及び教育について責任を有する間に、与えられるべきである。婚姻は、両当事者の自由な合意に基づいて成立するものでなければならない。
2 産前産後の合理的な期間においては、特別な保護が母親に与えられるべきである。働いている母親には、その期間において、有給休暇又は相当な社会保障給付を伴う休暇が与えられるべきである。
3 保護及び援助のための特別な措置が、出生の他の事情を理由とするいかなる差別もなく、すべての児童及び年少者のためにとられるべきである。児童及び年少者は、経済的及び社会的な搾取から保護されるべきである。児童及び年少者を、その精神若しくは健康に有害であり、その生命に危険があり又はその正常な発育を妨げるおそれのある労働に使用することは、法律で処罰すべきである。また、国は年齢による制限を定め、その年齢に達しない児童を賃金を支払って使用することを法律で禁止しかつ処罰すべきである。

第十一条

1 この規約の締約国は、自己及びその家族のための相当な食糧、衣類及び住居を内容とする相当な生活水準についての並びに生活条件の不断の改善についてのすべての者の権利を認める。締約国は、この権利の実現を確保するために適当な措置をとり、このためには、自由な合意に基づく国際協力が極めて重要であることを認める。
2 この規約の締約国は、すべての者が飢餓から免れる基本的な権利を有することを認め、個々に及び国際協力を通じて、次の目的のため、具体的な計画その他の必要な措置をとる。
(a) 技術的及び科学的知識を十分に利用することにより、栄養に関する原則についての知識を普及させることにより並びに天然資源の最も効果的な開発及び利用を達成するように農地制度を発展させ又は改革することにより、食糧の生産、保存及び分配の方法を改善すること。
(b) 食糧の輸入国及び輸出国の双方の問題に考慮を払い、需要との関連において世界の食糧の供給の衡平な分配を確保すること。

第十二条
1 この規約の締約国は、すべての者が到達可能な最高水準の身体及び精神の健康を享受する権利を有することを認める。
2 この規約の締約国が1の権利の完全な実現を達成するためにとる措置には、次のことに必要な措置を含む。
(a) 死産率及び幼児の死亡率を低下させるための並びに児童の健全な発育のための対策
(b) 環境衛生及び産業衛生のあらゆる状態の改善
(c) 伝染病、風土病、職業病その他の疾病の予防、治療及び抑圧
(d) 病気の場合にすべての者に医療及び看護を確保するような条件の創出

第十三条
1 この規約の締約国は、教育についてのすべての者の権利を認める。締約国は、教育が人格の完成及び人格の尊厳についての意識の十分な発達を指向し並びに人権及び基本的自由の尊重を強化すべきことに同意する。更に、締約国は、教育が、すべての者に対し、自由な社会に効果的に参加すること、諸国民の間及び人種的、種族的又は宗教的集団の間の理解、寛容及び友好を促進すること並びに平和の維持のための国際連合の活動を助長することを可能にすべきことに同意する。
2 この規約の締約国は、1の権利の完全な実現を達成するため、次のことを認める。
(a) 初等教育は、義務的なものとし、すべての者に対して無償のものとすること。
(b) 種々の形態の中等教育(技術的及び職業的中等教育を含む。)は、すべての適当な方法により、特に、無償教育の漸進的な導入により、一般的に利用可能であり、かつ、すべての者に対して機会が与えられるものとすること。
(c) 高等教育は、すべての適当な方法により、特に、無償教育の漸進的な導入により、能力に応じ、すべての者に対して均等に機会が与えられるものとすること。
(d) 基礎教育は、初等教育を受けなかった者又はその全課程を修了しなかった者のため、できる限り奨励され又は強化されること。
(e) すべての段階にわたる学校制度の発展を積極的に追求し、適当な奨学金制度を設立し及び教育職員の物質的条件を不断に改善すること。
3 この規約の締約国は、父母及び場合により法定保護者が、公の機関によって設置される学校以外の学校であって国によって定められ又は承認される最低限度の教育上の基準に適合するものを児童のために選択する自由並びに自己の信念に従って児童の宗教的及び道徳的教育を確保する自由を有することを尊重することを約束する。
4 この条のいかなる規定も、個人及び団体が教育機関を設置し及び管理する自由を妨げるものと解してはならない。ただし、常に、1に定める原則が遵守されること及び当該教育機関において行なわれる教育が国によって定められる最低限度の基準に適合することを条件とする。

第十四条
 この規約の締約国となる時にその本土地域又はその管轄の下にある他の地域において無償の初等義務教育を確保するに至っていない各締約国は、すべての者に対する無償の義務教育の原則をその計画中に定める合理的な期間内に漸進的に実施するための詳細な行動計画を二年以内に作成しかつ採用することを約束する。

第十五条
1 この規約の締約国は、すべての者の次の権利を認める。
(a) 文化的な生活に参加する権利
(b) 科学の進歩及びその利用による利益を享受する権利
(c) 自己の科学的、文学的又は芸術的作品により生ずる精神的及び物質的利益が保護されることを享受する権利
2 この規約の締約国が1の権利の完全な実現を達成するためにとる措置には、科学及び文化の保存、発展及び普及に必要な措置を含む。
3 この規約の締約国は、科学研究及び創作活動に不可欠な自由を尊重することを約束する。
4 この規約の締約国は、科学及び文化の分野における国際的な連絡及び協力を奨励し及び発展させることによって得られる利益を認める。

 でもって、「批准151カ国中、この条項を留保しているのはマダガスカル、ルワンダと日本だけ」「高等教育予算は国内総生産(GDP)比で約0.5%と経済協力開発機構(OECD)諸国平均の半分」だそうで、ソースはここ
 まあ、批准しないならそれでもいいが、それが恥だってことくらいは自覚して、「先進国でござい」って顔で出てって常任理事国目指したりするな、分をわきまえてろと。


ここからは旧ブログのコメントです。


by QР亭 at 2007-04-19 17:22:19
Re:国連国際人権規約

日本の国際条約批准率が低いのは理由があって、国内での遵守が厳格なため、確実に遵守できる条約でないと批准しない傾向があります。このため労働関係(ILO)などの条約批准率も主要国の中では最低となっています。国際的に見るとこういう国はむしろ珍しく、中国などが平気で「人権条約」を批准しています。


by tori at 2007-04-27 18:00:27
Re:国連国際人権規約

「規約」だと遵守の義務も薄いのではないでしょうか。
実際、ヨーロッパでもイギリス、ドイツが学費有料化に大きく舵を切ったわけですし。
「漸進」ではなくて「漸退」ですよね。
背景を見てみると、国、地方の財政危機もさることながら、高等教育の大衆化ということがあるようです。あのドイツですらも現在は、世代人口の30%程度が大学への進学を望む–という御時世です。
まあいずれにせよ「教育再生会議」のアホさ加減には参ったもんです。ヤンキー先生だけならいいんですが、あのなかに野依氏がいるんですから救いようがない。


by kkojima at 2007-04-04 22:26:04
Re:国連国際人権規約

以前、仕事の絡みで日本とフランスの生活環境のいろいろを比較するという作業をしたことがあって、その際にはフランス側から「教育は無償である」ことを強烈に主張された覚えがあります。ま、そのかわりバカロレア通らなきゃいけないわけですが。
とはいえ、日本もそういう方向でいいのじゃないか、特に若い人の人口が減ってきているし、とはおもってたわけです。そういう議論がないのは、極めて残念です。
が、しかし、先日仏大統領選にからんで、各候補の支持者に取材した番組を見てたら、中に、「大学に入ったんだけど、学費が高すぎるから止めようかと考えている」という若者が出てきてまして、はて?と思った次第。何故、この番組で言う「大学」が、フランス当局の言う「無償教育」の枠外なのか、あるいはどこかに誤解があるのかは判りませんが、人の話は鵜呑みにしちゃいけないなという思いは抱きました。
ただ、総じて日本の教育議論の中には、(少なくとも一定数は)高等教育が施された人材が継続的に供給されなきゃならないこと、及び、その場合の「高等教育」なるもののレベルについての議論があまり見られない、あるいは、あってもそういうことはマスメディアに載らないというきらいがあり、そういう議論なり報道を活性化させるためだけにでも、(ウソでもいいから)フランスの話を喧伝するのもいいかな?とは思ってるんですが。


by apj at 2007-04-11 02:37:11
Re:国連国際人権規約

>(少なくとも一定数は)高等教育が施された人材が継続的に供給されなきゃならない
 ですね。
大学の先生のうち優秀な人だけ選ぶとか、エリートだけ作ろうなどということを考えても、支える多数の人材が居なかったら研究は崩壊します。
 理工系の実験系の研究者について考えると、研究をするにあたって、「すべての物を自分で用意する」人なんか居ないわけです。ってかそれでできてしまう研究なんかない。必ず、企業から試薬やら部品やら装置の一部やらを買っています。すると、企業の方には、そういうものの品質をきちんと管理し、物を作れる人材が居ないといけない。さらにその企業の材料仕入れ先にだって、安定した品質で物を供給できるノウハウを持った人材が必要です。つまり裾野は相当に広いわけです。もし、実験装置の部品、試薬、材料、そういったものの品質が全体にがたがたになれば、大学だって研究所だって、最先端の研究どころではなくなります。裾野を担う人材がどこから供給されるかというと、主に理工系学部からでしょう。
 駕籠に乗る人担ぐ人、そのまたわらじを作る人、昔の人はよく言ったものだと思いますよ。社会はつながっているので、一部分だけ突出させようとしても無理があると思います。