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そんなこと教員に訊くな

Posted on 5月 2nd, 2007 in 未分類 by apj

 教養の講義をしていたら、学生からの質問に次のようなものがあった。

テストはどんな感じのものになるのですか?むずかしいですか?☆☆☆☆☆だったら、星いくつ分のレベルですか?

 まず、大学の講義はテーマも展開も様々だから、テスト(やレポート)の難易度を共通の尺度で評価できるはずがない。だから、「共通の評価が可能である」という考え方というか思いこみの方をまず捨てろと言ってみた。限られた範囲の中でいろんな問題を作る大学受験のような場合は、A大学は難易度☆5つ、Bは☆2つで楽勝、などという比較もできるが、そんな分かりやすい尺度がいつもあるとは限らない。
 次に、仮に私が「私の講義の難易度は☆3つだ」と言ったとして、それに一体どれほどの意味があるのか?と問うてみた。私が想定する☆3つと、学生が考える☆3つが一致していることを確認する手段などどこにもない。さらに、自分の講義の☆がいくつかは、他の先生の講義の内容とテストの内容を知らないと、amazonの書評レベルであっても決めようがないわけだが、私は他の講義を受講しているわけではないから、☆の数など出しようがない。
 それでも昔から「教員の鬼仏表」というのが学生の間で作られていたし(私も2年生の時しっかり作って後輩の新入生に配ってたし^^;)、amazon.com方式で☆で評価するなら、それができるのはあなたたち学生じゃないの、と。これは分かりやすかった、これは退屈だった、とんでもない問題が出た、楽勝だった、などを総合的に勘案して、いろんな講義について☆を付けたものを集めることはできるし、たくさん集めれば、これから受講を考える学生にとっては意味があるかもしれない。
 まあ、その質問は訊く相手を間違えてるぞ、という結論で締めくくった。


ここからは旧ブログのコメントです。


by 元山大OB at 2007-05-10 11:40:10
Re:そんなこと教員に訊くな

工学部の大場先生は非常に熱心です。
かなりシビアでした。

でも、大変学生に慕われていました。

いまの山大生はこんなことを先生に聞いてくるのですか…
情けないですね


by 山大OB at 2007-05-55 11:40:55
Re:そんなこと教員に訊くな

↑のハンドルは変ですね。

山大OBにしました。


by apj at 2007-05-14 12:20:14
Re:そんなこと教員に訊くな

山大OBさん、
 学部の専門の講義はどこもシビアだと思います。私も専門についてはゴリゴリやっております。
 今回の質問が出たのは、特に予備知識を前提としない文系も理系もごっちゃの一般教養のクラスで受講者が200人という状態なので、まあ仕方がないかと。ただ、こんなクラスで知識やら暗記やらを問うだけの試験をやったとしたら、文系と理系の違いが露わになるだけで評価の意味がなくなるだけだから、そんな試験にするはずがないだろうという事くらい、(悪)知恵を働かせて察してほしいなぁ、と。


by 酔うぞ at 2007-05-55 19:15:55
Re:そんなこと教員に訊くな

    知識やら暗記やらを問うだけの試験をやったとしたら、
    文系と理系の違いが露わになるだけで評価の意味がなくなる
    だけだから、そんな試験にするはずがないだろう
    という事くらい、(悪)知恵を働かせて察してほしいなぁ、と。

高校生を見ていると、成績の良い学校の一部では「暗記だけを重視」という学校の方針と生徒の態度で、受験予備校以外の何ものでもない学校があります。

キャリア教育なんてのは正に総合学習なのだけど「総合学習そのものを無視する」のだから始末が悪い。
むしろ、成績の悪い高校の方が先生も色々なパターンの授業を企画しているケースが多いようです。

勉強=暗記、でそれ以外を全くやっていない、例えば小説を読まない、映画を見ない、ゲームをしない、友達としゃべらない(話はする)なんて生徒が大学に進学すると、「知恵は無い」と思いますよぉ。
なにしろ「暗記して、吐き出す」以外の生活をしていないのだから、他の事をやらせるというのは幼稚園に入学するぐらいのところまで遡るつもりじゃないと、テクニックを暗記すれば良いのですね、となってしまうわけです。

「小説を読め」→「何を読むのが良いですか?」ということなるとむなしい。


by RBの残党 at 2007-05-59 19:57:59
Re:そんなこと教員に訊くな

学生さんに知恵はあるのかもしれません。
apj先生が鬼か仏か見定めるために質問をしてみた、と。

学生にとって授業内容を質問するよりテストのことを質問する方が
先生の性格がわかっていいのかもしれません。

あるいは、あこがれや関心があって、質問をしてみたかった。
そういう学生さんが多いと授業はやりやすくなる気がします。

当方も「テスト難しいですか」と聞かれますが、
「まじめにやってたら簡単簡単」と答えます。
抽象的主観的な仮定がくっついてる段階で意味の無い答えなのですが
学生さんはそれで満足するようです。
時に「先生、簡単って言ったじゃん」と責められることもありますが
「簡単だったじゃん」と答えます。


by JosephYoiko at 2007-05-04 02:29:04
Re:そんなこと教員に訊くな

ははは。

「天羽さんは怖い姐さんですか?(失礼)」って本人に質問しているのと一緒だということに何故気づかないのでしょうかね?(^^;

理数教育だけでなく、人との付き合い方教育も考え直さないといけないかもしれません。

大学の先生はやること多すぎるな。。。


by apj at 2007-05-58 02:35:58
Re:そんなこと教員に訊くな

RBの残党さん、

>時に「先生、簡単って言ったじゃん」と責められることもありますが
>「簡単だったじゃん」と答えます。

 これはよい人生経験ですねw。
こういう、想定と違う痛い目を見るのも学生にとっては勉強になりそうな。
#大学までに済ませておけ、と思わないでもないけど。


by 酔うぞ at 2007-05-44 04:15:44
Re:そんなこと教員に訊くな

>理数教育だけでなく、人との付き合い方教育も考え直さないといけないかもしれません。

わたしが高校生相手にやっているのは、正にコレです。

とにかく、高校生になるまで(なっても)「問題→正解」という世界しか知らないわけです。
「解けない問題がある」とか「自分が問題を出す側になる」といったことを全くやっていない。

こういうのって、幼児の遊びの中で身につけることの一つだともうのだけど「正解・不正解」よりはずっと難しいことだから、すり抜けてきてしまう例も多いようです。

なにしろ、チームワークの経験もないとか、スポーツをやるのは少数派、なんて情況だから鵜飼いの鵜状態で先生以外は無視しちゃう。
学校という集団の中で人づきあいがない、というすごいことになっているわけですわ。

人づきあいとは、挨拶できれば良いというものではないからね。


by 造園屋 at 2007-05-26 03:40:26
Re:そんなこと教員に訊くな

教官がそのようなお答えをすること自体、既に難易度が非常に高い、、、
学生の身になれば、出来れば避けたい授業かも知れません。
しかし、教官に直接聞くこと自体非常に何だかなぁ、、、普通にサークル活動などの学生生活を送っていれば、ネットワークの中で聞こえてくるはずですが。
ひょっとして、世間のセーフティーネットと同じで、ネットワーク自体がもう存在しないとか?


by 酔うぞ at 2007-05-05 19:27:05
Re:そんなこと教員に訊くな

    普通にサークル活動などの学生生活を送っていれば、
    ネットワークの中で聞こえてくるはずですが。
    ひょっとして、世間のセーフティーネットと同じで、
    ネットワーク自体がもう存在しないとか

高校生については、この通りだと思って良いでしょう。

「自然に」とか「何もしなくても」という条件を付けると、「サークル活動」やネットワークの中をウロウロ」するのは極めて少数派のようです。
おそらくは1割未満。

じゃあ、残りの9割は「サークル活動」「ネットワーク利用」をしないのか?と言うそういうことではない。

キーワードは「先生や親に言われた」であって「親に言われてサークル活動と塾」「授業でGoogle 利用は練習している」で、サークル活動、ネットワーク利用したことになっているのです。

問題は、高校生でも興味のままに行動することを経験していない。

マニュアル化世代とか言われて久しいわけですが、ハウツー世代とでも名付けたいですね。
ノウハウは無くても答えは知っている。それで世の中何とかなる、困ってはいない世代。

学業の成績は良くても知的ではない、なんてことになっていると感じます。

確かに電卓が普及して暗算の手法を忘れたなんてことは身に覚えのあることで、ある部分で「考えないでも出来る」を実践しているのが現代ですが、これが「全く考える必要がない」とか「考えるとはどういうことか分からない」という人たちが出てくるとなると、これは別問題だろうと思うわけです。

小学生だと、けっこう思いがけないことをやるものなのですが、高校生になるとチャンスを与えて意図的に「自分で考える」ところに追い込まないと「勝手にやる」ようにはならない。
高校生に「勝手にやらせる」とは「成績が機械的に付かない」なんですよね。
これ自体が学校の中では浮いてしまう、先生も分かっていてもなかなか踏み出しにくいところだし、まして受験問題には出てこない。

本当に優秀な高校生であれば、自分の好き勝手と受験勉強を両立させるのだろうけれども、当然のように「受験勉強だけで精一杯」という層が出てくるでしょう。
高校で総合学習に興味を持って取り組むのは進学するかしないかはっきりしないか進学しないことを決めている層ですからね。
進学することだけに集中したり、よりランクの高い大学を目指すとなると「受験勉強以外はムダ」というのが高校も、先生も、親も、世間も一致しているのだから、その中で本人である高校生に「もっと教養を積め」というのが無理だということです。
教養なんてものは、真っ先に捨てられてしまっているのが現実ですね。

背景には日本の「公平信仰」があるように思います。