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知識の絶対量も問題では

Posted on 11月 27th, 2007 in 未分類 by apj

 asahi.comの記事より。

小中学生理科、考える力身につかず 国立教育研究所調査
2007年11月27日21時03分

 理科の実験で、結果が予想と違った場合、原因を調べようという子どもは、小学校より中学校の方が少ない――こんな傾向が、国立教育政策研究所が27日にまとめた理科の授業の課題調査で分かった。8割以上の子どもが「実験や観察が好き」と答えたが、研究所は、実験結果から考察したり活用したりする力はあまり定着していない、と分析している。

 調査は06年1~2月、全国の小中学校211校の小5生3284人と中2生3196人を対象に行われた。

 小5の90%、中2の82%が「観察や実験が好き」「どちらかと言えば好き」と答えた。一方、「考えが正しいか調べるため、観察や実験の方法を自分で考える」は小5の61%に対し、中2は29%。「予想と異なった時に原因を調べようとする」は小5が59%で、中2は48%だった。同研究所は「学年が進むと内容が高度になるという面はあるものの、課題がある」としている。

 考える力が身についていないことは、具体的な問題の正答率にも表れている。調査では、実験や観察の様子をビデオで見せて出題した。

 小5では、「インゲン豆の発芽には肥料が必要である」という予想の当否を実験で確かめる問題が出された。必要な実験を選ぶ段階では87%が正解したが、「予想は間違っていた」という結論まで到達できたのは39%。電球からフィラメントを取り出して通電させる中2の問題では、外気中ではすぐに切れる理由は56%が正解したが、長く輝かせる方法まで答えられたのは40%だった。

 考えるといっても、それには経験が必要では。知識が少ない状態で考えても、トンデモに突っ込んで玉砕するだけのような気がするが……。


ここからは旧ブログのコメントです。


by とれま at 2007-11-52 10:36:52
Re:知識の絶対量も問題では

>電球からフィラメントを取り出して通電させる中2の問題では、外気中ではすぐに切れる理由は56%が正解したが、長く輝かせる方法まで答えられたのは40%だった。

問題文による誘導がどれくらいあったかによると思うが、結構高いような気が。大人にこの問題出して正解率が50%超えるとは思えんが。


by 亀@渋研X at 2007-11-44 19:47:44
Re:知識の絶対量も問題では

こんにちは。
このエントリを読んで、常々引っかかっていたことを思い出したので、生煮えながらエントリに起こしてみました。まだぐしゃぐしゃなので、諸賢に叩いていただければ幸いと思い、TBもさせていただきました。ご笑覧いただければ幸いです。


by hrgy at 2007-11-23 23:21:23
Re:知識の絶対量も問題では

http://www.cp.cmc.osaka-u.ac.jp/~kikuchi/weblog/index.php?UID=1194662503#CID1196223179
に書いたことですが,テルミンが鳴ってくれないとか,
液晶テレビが映らないとか,電子機器が誤動作する
土地には何か理由があります.

悪霊がとりついているからお祓いを...という種の,
トンデモ入りはしませんなあ.


by hrgy at 2007-11-14 03:30:14
Re:知識の絶対量も問題では

上に書いた関係「家庭で使える電磁波測定器」
をググってみたら,トンデモ機器がぼろぼろかか
る...ずっこけています.

でも,住処のある土地独特のものがあるなあ.


by 酔うぞ at 2007-11-26 07:17:26
Re:知識の絶対量も問題では

遠めがねに apj さんとは違う視点でコメントしていますが、

>理科の実験で、結果が予想と違った場合、
>原因を調べようという子どもは、
>小学校より中学校の方が少ない

これで「中学生の法が小学生よりも劣る」というのがかなりのインパクトであったのだろうとは思いますが、受験に向けて「考える時間を減らす訓練」の結果であろうというのが私の見方です。

apj さんは、考えるための知識が必要で、設問が知識のレベルを上回っていたから正答率が下がった、という見解かと理解しました。

つまり、考える能力は変わっていないが、そのエンジンである知識が相対的に足りない、だから結果として考える能力が相対的に劣化した、という判断かと思います。

しかし、わたしはもっと積極的に「考える能力を削っていることが表れた」と考えます。

こう言うと「考えることを中学にななると削るなんてことがあるのか?」と思われるでしょうが、現在の受験技術が「反射的な回答」によって回答数を増やす訓練をしているので、その反面として「問題を見て考えるような問題は避ける」なんですね。

これは「考えることをするな」というのと同じ事で、これで考える能力が下がらなかったら、その方がヘンだ、ということです。

というわけで、考える力そのものを積極的に弱めて、単なる問題と解答の組合せなるべく多く覚え、それを瞬時に吐き出すことが出来るように訓練している、ことの結果でしょう。

いわば、東海道線の駅を暗記するようなものですよ。
それで考える力が増えるわけが無い。


by apj at 2007-11-47 09:12:47
Re:知識の絶対量も問題では

亀@渋研Xさん、酔うぞさん、
 このエントリでは、忙しかったので、簡単なコメントしかしませんでした。もうちょっときちんと考えたものを本日のエントリとしてアップし、お二方のblogへのトラックバックをしました。
 私の意見を一言でいうと、「実験といったって、やっているものは演示実験なのだから、その性質上、そうそう考察するのは難しいでしょう」というものです。


by 亀@渋研X at 2007-11-28 10:25:28
Re:知識の絶対量も問題では

トラックバックの送信に失敗していたようだったので、再送信しました。
新エントリを拝読して、なんとなくあったモヤモヤは晴れましたが、酔うぞさんのご指摘も含めて、小中学校の理科教育現場についても、マスコミの論調についても「これでいいんか」という思いは強くなりました。
とはいえ、小中学校では演示実験以上のものは実際には難しいのかもしれませんね。うむむ。


by apj at 2007-12-14 03:43:14
Re:知識の絶対量も問題では

 理科だけ調査しても、何とも言えない気がします。

 似たようなことを、例えば、社会科でやったらどうなるでしょうね。例えば、「公民」では、法律についても少し学びますが、簡単な法律の使い方を問う問題を出したとして、きちんと答えられる人がどれだけ居るか。