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いよいよ赤本に載る

Posted on 6月 9th, 2008 in 未分類 by apj

 「化学」2007年4月号に掲載された私の文章の一部が、倉敷芸術科学大学の2008年度の生命科学部生命科学科の推薦入試の基礎学力試問で使われた。問題は全部でI,II,IIIと出て、I,IIが選択、IIIが全員回答で、私の文章はIIIに使われた。内容は、水伝批判のうち、中谷ダイヤグラムについて説明した部分で、TOSSが広めたとか、AERAの批判記事がきっかけでTOSSのサイトから削除されたといったことが書いてある。
 この文章の使用許諾を求める手紙が教学社から来た。教学社というと、大学入試過去問集、通称「赤本」を出している会社で、赤本に載せたいという連絡である。私も受験の時は赤本にはお世話になった。さぼりだったから十分過去問研究をしないで試験に臨んでしまったのだけど。掲載の方は、勿論快諾の書類を書いた。

 大学に勤めている人にとっては「作った問題が赤本に載る」は別に珍しくもなんともない。しかし、「自分が書いた文章が試験問題に使われて載る」は、何だか貴重な経験のような気がしてくる。大学入試で赤本のお世話になっていた時は、載る側になるとは思わなかったし、書いた文章が載ることは想像もしていなかった。


ここからは旧ブログのコメントです。


by hrgy at 2008-06-25 19:51:25
入試問題

入試問題を見ました.これですね.
http://www.kusa.ac.jp/wp-content/themes/kurashiki/data/admission/2008exam/07.pdf

次ぐ日の試験問題は,「あるある大事典」関係からの出題でした.
http://www.kusa.ac.jp/wp-content/themes/kurashiki/data/admission/2008exam/17.pdf


by 福田恒存をやっつける会会長 at 2008-06-49 04:22:49
トヨタ系列関東自動車絶望工場

「何かごにょごにょ言ってます」と言うブログで考えさせられる文章を見つけましたので転載します。

2008-06-10 【秋葉原無差別殺傷】人間までカンバン方式■[ごにょごにょ]【秋葉原無差別殺傷】人間までカンバン方式 01:12 653
なんか激しく放置プレイなんだけど、秋葉の事件について、犯人が働いていた工場は、父が正社員として長く勤めている会社のことなので、知っていることを書いておきます。

誰が見てくれるかわからないけど。

ミクシニュースでも書いたんだけど、瞬間最大風速で流れてしまうよりも、はてなに残しておいた方がいいだろうと。

関東自動車はトヨタの関連会社で、下請けではなく、トヨタ車の生産ラインそのものを請け負っている。自動車部品工場という表現をするマスコミもあったけれど、それは正しくない。

トヨタ車として売られている自動車のプレスをし、組み立てをし、塗装をする。ヨタ本体の一部だと思っても間違いではない。
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20080609k0000e040040000c.html

工場での担当は塗装ライン。月曜から金曜の週5日勤務で1週間交代で日勤と夜勤についていたが、勤務態度はまじめで、公休以外は休まなかった。時給1300円で月約20万円の収入があった。契約期間は今年3月31日までだったが、1年間更新されていた。

 派遣社員を6月末で200人から50人に減らす計画があったが、加藤容疑者は、自分が対象ではないことを派遣会社から知らされていたという。

この部分、私が電話で父親から聞いていた話と食い違う。

少なくとも工場の正社員は6月30日付けで派遣はすべてクビと認識していたようだ。期間工は契約更新しない形で順次数を減らすということ。最終的には、正社員以外はすべて解雇する。

理由は、原油高による材料費高騰。しかも国内需要も伸びないので、引き続き好調な海外需要については、人件費コストの安い海外工場で生産する。なんというか、これがトヨタのやり方か。トヨタの経営方針、在庫を抱えず、下請けからすぐに必要な分だけ部品を取り寄せるカンバン方式というのが有名だけど、まさに、人間までカンバン方式なのだ。

自分たちが、労働者を買い叩いたせいで、若年層を中心に収入が減り、国内需要が減ってしまったら、海外市場は好調なのでとっとと生産拠点を海外に移転してしまう。

しかも、東富士工場は非常に広く、人の配置もまばら。親父いわく、「隣の人と100mは離れている」ウチの親父はいつだって大げさなので、そんなに離れちゃいないだろうけど、数十メートル単位で離れていると見ていいだろう。休憩時間や出入りの時間などに意識しなければ人と会話をすることも無いそうだ。しかも、ハケンは出入りが激しすぎていちいち顔も覚えていない。親父いわく、ハケンのことだから知らないだそうだ。まったく(怒)

犯行前に、ツナギがロッカーから消えていたことで、解雇されると思い込み激怒したとの報道があった。字面だけ追えばそんな小さなことで解雇なんて、と思う。だが、彼の状況を鑑みるに、まともにコミュニケーションが成立していないので、ちょっとしたことにも過敏になってしまうだろう。

しかも、派遣会社の言ってることと現場の言われていることに食い違いがあり、クビにはならないと派遣会社が言ったところで、会社側が希望する日まで働いてもらうための方便に見えてしまうだろう。クビにすると言ってしまえば、本人がバックレたり、やる気がなくなったりして生産性が落ちてしまう。

そもそも、数ヶ月で人が入れ替わってしまうので、職に対するこだわりや企業に対する忠誠心が薄くなる。ウチの父親によると4本閉じなければいけないボルトを、面倒になったある派遣労働者が2本しか閉めないで出荷してしまい、大騒ぎになったこともあったらしい。

また、多少契約期間が伸びたところで、経営方針として最終的に派遣を切るという方向性に変わりはない。モチベーションの上がらない労働をさせられる時間が増えるだけであり、それはそれで苦痛である。

そういう状況下でツナギが無くなったとしたら、極めて非人間的な方法で、陰湿に解雇を告げてきたと勘違いしてもむべなるかな、だとは思う。その上、派遣会社の日研や関自がマスコミに言っていることは本当なのか。犯人のクビは決定していたが、保身のために嘘をついている可能性はないか

だからと言って、無差別殺人に飛躍するのは、ムチャクチャである。許しがたい行為である。だが、一方で企業側のその非人間的な扱いに愕然とする。

この記http://www.excite.co.jp/News/society/20080609201237/JCast_21495.html事の

はてブコメントにhttp://b.hatena.ne.jp/entry/http://www.excite.co.jp/News/society/20080609201237/JCast_21495.html

「圧倒的に他者がいねぇ。完全にひとり芝居じゃないか。舞台の上には役者だけ、ほんとに怖い。」というのがある。だが、そもそも犯人の環境は、他者と関われないシステムとして存在している。見知らぬ土地に連れて来られ、社員からは顔を覚えてもらえず、あたかも部品の一部として明日の生活を奪われる。俺はボルトじゃねえ。

派遣同士のつながりというのはどれほどあったのかは分からないが、(ニュースを見ていると同僚同士多少はコミュニケーションがあったようだが)希薄だったのではないか。他者と関わりと持てず、漫然とモチベーションの上がらない仕事をしながら明日の生活に怯える。

他者のいない生活の中で、自分ばかりが肥大してしまう。ツッコミすら入らないのだから。彼女がいない、ということに対して相当の劣等感を持っていたようだけど、承認の象徴が「彼女」だったのではないか。無論、背景には恋愛至上主義もあるだろうし、若い男なのでそれ相当に性欲もあるだろうが、友達でも親でも、頼れる上司でも、あるいは猫だろうが、代替は可能だったのではないか。少なくとも道を踏み外すほどにはならなかったのではないか。

犯人は他人を巻き込まず、一人で勝手に死ねばよかった、そう言う人は多い。裾野市なので富士の樹海は近い。だが、犯人があのまま秋葉に行かず、一人樹海に向かったとしても、誰も探しに行かなかっただろう。派遣会社も、派遣社員の同僚も良くあるバックレとしか思わず、社員はいなくなったことも知らない。

そのことを思いついたとき私は全身が寒くなった。身震いするほどの孤独がそこには存在する。

人間としてみなされていない人は、他の人も人間としてみなさない。凶行の背景には、凍えるほどの孤独が生み出す負のスパイラルがある。

繰り返すが、だからと言って、無関係な人を殺したことの言い訳にはならないが。

関東自動車でも他の会社と同様、派遣労働者を積極的に活用しはじめたのは、今から大体10年ほど前だと思う。それまで、期間工として補充していた枠を派遣に変わるようになっていた。

父から聞いていた話だと、派遣会社によって賃金も待遇もバラバラで、おおむね期間工よりも賃金は安い。しかも雇用形態はきわめて不安定で、いつクビになるか分からない。父からも、子供がいて派遣だけでは食べていけないから、工場労働の後に土方のバイトをしている人の話を聞いたことがある。非常に優秀な人なのに、地元に職がない、学歴が無いなどの理由で派遣労働しか選択肢がない、わずかしか給料がもらえないなどの現状に父なりに歯がゆさを感じたらしい。一方で、職に対するこだわりの無い派遣を見下しているようなところもある。

ロスジェネ真っ只中の私も現在デスクワークの派遣だが、自分の会社の派遣の待遇を見ているせいか、ずっと正社員になれと言っている。

ウチの親父は高校卒業後、18で関自に入社して以来、長く勤めている。昼夜2交代の勤務で、キツイ仕事ではあったが、それなりに安定していた。しょぼい家ではあるが、家も建てたし、私も大学に行かせてもらった。不満を言いつつも、トヨタの技術力に誇りを持っており、車にはこだわりがあり、かなり頻繁に乗り換えていた。

父と同じ会社で働いていても、派遣労働者達は、派遣である以上、父と同じようには生きれない。持ち家どころか、自分の作った車をローンを組んで買うこともできないし、子供を大学にやることもできない。

まあ自分も似たようなもので、父のリソースに依存することで、犯人ほど絶望せずにいられる。皮肉ではあるけれど。

今回の犯行について、樹海に入っても誰にも気づかれず死ぬのは嫌だった。己の存在で社会に爪あとを残したかった。そう思うなら、こんな選択肢にはまりこんでしまった彼の愚かさを呪う。

貧困の問題に対して、5重の排除というものがある。教育、企業、家庭、公的福祉、そして最後が自分自身からの排除だという。どうしょうもない絶望に追い込まれた人は、自分の不甲斐なさを呪い、自分を追い詰めてしまうという。理由は本当は外にもあるのに。

ほとんどの人が絶望を前に勝手に一人で死んでいるのだ。絶望の背景を他者に見出すことができたなら、それをなぜ別の手段に訴えられなかったのか。歯がゆくて悔しくて、悲しく憎らしい。

ああ、まったくお前はバカだ。バカすぎる。

トヨタと言って思い出す話がある、以前、一緒に働いていた人がかつて、銀座でホステスをしていたという。

そのときの顧客にトヨタの幹部がいたそうだ。銀座で湯水のように金を使い、ある日幹部は彼女にドレスを送ったらしい。すっげえダサかったらしい。ここ数年、大企業幹部の収入は増え、一般労働者の収入は減った。 各地の工場で派遣労働者が買い叩かれるその一方で。安易な手段に訴えても、嗤う奴は嗤ったまま素通りするのだ。

それからもう一点、ここ数年盛り上がってきた派遣労働をめぐる運動について、非常に悔しい点がある。関東自動車は最初に述べた通り、派遣労働をすべて切ろうとしている。親会社のトヨタそのものがそういう意向である。派遣労働をやめてしまうことで、派遣問題そのものが無きものになってしまう。無論、国内需要が減ってしまったのも原因だが、コストがかかって組合とかが絡んでウルセー派遣使うなら、海外に移転してしまった方がいいと思われてしまったかもしれない。


by apj at 2008-06-21 06:09:21
興味深い内容ですが、誤爆してませんか^^;)

福田恒存をやっつける会会長さん、

 興味深い内容なのでそのままにしておきますが、コメントするエントリーを間違えてませんか(汗)。
 自動車絶望工場の話は別エントリーの話題なんですが……。


by 福田恒存をやっつける会会長 at 2008-06-19 22:28:19
Re:いよいよ赤本に載る

申し訳ありません