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風車が回らなかった話

Posted on 9月 30th, 2008 in 未分類 by apj

 yahoo経由産経新聞の記事

風車回らず風力発電機低調、早大に2億円賠償命令 
9月29日19時34分配信 産経新聞

 茨城県つくば市が小中学校に設置した小型の風力発電機が計画通りに発電しなかったとして、同市が計画を策定した早稲田大と風車を製造した大阪市のメーカーに約3億円の損害賠償を求めた訴訟の判決が29日、東京地裁であった。荒井勉裁判長(萩原秀紀裁判長代読)は、早大に約2億円の支払いを命じた。メーカーへの訴えは退けた。

 裁判では、(1)早大側は、同市との業務委託契約に従って適切な計画を策定したか(2)市側は、風力発電事業が実現不可能と事前に認識していたか-などが主な争点。早大側は「市から事業目的など具体的な説明を受けていなかった」と反論していた。

 荒井裁判長は、早大について、「期待される発電量が得られないことや、風力発電機の消費電力が発電量を大幅に上回ることを知りながら、市に説明しなかったことは契約上の義務を怠ったことに当たる」と指摘し、賠償責任を認めた。

 一方、市側についても「担当者は事業が実現不可能と知らなかった」としながらも、「慎重な検討を迫られる材料がそろっていたにもかかわらず、早大側の調査結果をうのみにした」と落ち度を認め、賠償額を3割減額した。

 判決によると、同市は平成17年、早大の策定した計画をもとに、市内の小中学校19校に風車23基を設置。しかし、実際にはほとんどの風車が回らず、予定の4分の1ほどの発電量しか得られなかった。設置費用のうち約1億8500万円は環境省の交付金で、同市は18年、全額返還を命じられた。

 この手の話題は酔うぞさんが強いはず、と思って向こうの過去ログをサーチしたら出ていた

izaの記事

早大賠償命令 環境ブームに“逆風”
09/29 21:58

 地球温暖化問題や原油高のなか、CO2(二酸化炭素)などの温室効果ガスを排出せず、環境に優しいとして近年、注目を集めてきた風力発電。しかし、風向きが一定しなかったり、故障が相次いだりと、風力発電への“逆風”も出てきた。専門家からは「日本の地形に合う技術はまだ発展途上だ」との指摘も上がっている。

 ■国の音頭で急増

 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)によると、家庭用などの小規模なものを除いた全国で稼働する風力発電施設は平成14年度には576基だったのが、20年3月末には計1409基まで増加した。

 風力発電が急増した背景には、クリーンエネルギーを推進する国の政策がある。国は15年3月に、風力や太陽光などで発電した電気の一定割合以上の利用を電気事業者に義務づけた「RPS制度」をスタートさせた。太陽光に比べ初期コストが安価とされる風力発電が注目され、設置数は急激に伸びた。

 ■相次ぐトラブル

 しかし、風力発電が広がる中で、思わぬ落とし穴も明らかになった。偏西風のように一定の強さで一定方向に風が吹く風力発電先進地の欧州とは違い、日本の地形は複雑で風量も風向きも変化が多い。このため、安定した電力が得られなかったり、風車に負荷がかかりすぎて故障が相次いだりした。

 また、島根県出雲市では「大きな風車が景観にそぐわない」などと近隣の自治体からクレームが付いた。愛媛県では住民から「騒音で眠れない」との苦情があり、一部の風車の夜間運転を取りやめている。台風や落雷などによる被害も各地で発生した。

 ■技術は発展途上

 科学技術ジャーナリストの尾崎正直氏は「風車は欧州からの輸入品が多く、そもそも日本向けの技術がまだまだ発展途上。コストを考える段階ではないのでは」と指摘。

 そのうえで「現状を十分に理解せず、国も自治体も企業も導入を急いだ。本来、『風任せ』な風力発電に多大な期待をするのがずれている。今回の判決は風力発電について、慎重に考える機会を与えたという意味では、意義がある」と評価した。

 技術的に発展途上なのにブームにしちゃったら、そりゃ無理があるだろう。


ここからは旧ブログのコメントです。


by ながぴい at 2008-10-13 04:30:13
Re:風車が回らなかった話

うちの近くの五月山の中腹にも
この「発電機」とよく似たようなもんが立っていたような…

変なモニュメントだとばかり思っていた。
回ってるのは見たことないし。

今度確認しにいってみよう。


by mimon at 2008-10-18 05:00:18
日本の場合

NEDOの風況マップをごらんいただけるとわかるのですが、
http://app2.infoc.nedo.go.jp/nedo/top/top.html
十分な風が期待できるのは、山間部や洋上に限られますので、
市街地に風車を建設したのは、その計画自体、無謀であったと思います。


by apj at 2008-10-08 07:56:08
ってか、壊れる前に撤去しないとあぶないかも……

ながぴいさん、
 台風シーズンで、暴風雨を喰らう可能性もありますし、もしかしたら危険かも。リンク先の酔うぞさんのblogでは、強風で壊れて落下したという話が出ていますよ。

 ところで、オランダあたりなら昔から風車を使って動力を得ていたので、今はもっと現代的な風車で発電を……となるのは、なんの不思議もありません。しかし、日本の場合は、昔から風車で動力を得るのではなくて水車で動力を得ていたことの方が多い(発電しないまでも臼を使ったりとかしていた)わけで、小さな落差を上手く利用したミニ水力発電の方が馴染みそうなんですけど。


by ろく at 2008-10-39 08:20:39
Re:風車が回らなかった話

「西日本最大級」とか銘打って、ここから見える山のてっぺんに約20基ほど回ってるんですが。

あれは回してるんだ、という声がちらほらと。


by OSATO at 2008-10-23 09:37:23
Re:風車が回らなかった話

この件に関しては随分前から問題になってたようですね。↓
http://homepage3.nifty.com/carib7/eng/wind/tukuba-wase/tukuba.html
ただ、微風でも回るという風車は開発されているみたいです。↓
http://www.power-generator.jp/
初めからこれにすれば良かったのに、と思ってしまいましたが、色々な事情があったのですね。


by RBの残党 at 2008-10-36 10:19:36
法務部新設

法律ネタには食いつかれると思いました。

大学もそういう仕事をビジネスにするなら、何が債務不履行となるかという法務検討も事前にやっておかないと。
まさか訴えられると思わなかったってレベルでは悲しい。


by ひごまる at 2008-10-14 07:28:14
Re:風車が回らなかった話

九州でも似たような問題で大もめです

http://www.google.co.jp/search?hl=ja&q=%E3%81%94%E3%81%BF%E7%99%BA%E9%9B%BB%E3%80%80%E3%81%84%E3%81%A1%E3%81%8D%E4%B8%B2%E6%9C%A8%E9%87%8E&lr=

産官学連携の掛け声は威勢が良くても、現場では認識のずれ・温度差が混乱をもたらしているようです。


by m at 2008-10-32 23:47:32
Re:風車が回らなかった話

 こういう大がかりなのでなくて、都会のビル風を利用して小型の風車を大量設置して屋外広告の照明費程度を賄うというのは成功しているとかいうのをどこかで読んだ記憶が。


by ながぴい at 2008-10-08 10:35:08
Re:風車が回らなかった話

今日確認しに行ってきました。
 
「ダリウス・サボニウス併結型風力発電装置」というたいそうな名前がついており、
回転数は風速13メートル毎秒で、毎分500回転、出力1Kwだそうですが、
微動だにしていませんでした。

今日は無風状態でした。
13メートル毎秒の風って、いつ吹くのでしょう?
(今度は台風の日に観測に行くかな?)


by ながぴい at 2008-10-09 10:35:09
Re:風車が回らなかった話

今日確認しに行ってきました。
 
「ダリウス・サボニウス併結型風力発電装置」というたいそうな名前がついており、
回転数は風速13メートル毎秒で、毎分500回転、出力1Kwだそうですが、
微動だにしていませんでした。

今日は無風状態でした。
13メートル毎秒の風って、いつ吹くのでしょう?
(今度は台風の日に観測に行くかな?)


by 杉山真大 at 2008-10-30 07:46:30
市長選が終わりましたけど

毎日新聞社のアンケートに、風車問題が取り上げられているのですね。
http://www.mainichi.jp/area/ibaraki/archive/news/2008/10/23/20081023ddlk08010451000c.html
「回らぬ風車を巡る訴訟で東京地裁は早稲田大に賠償を命令した一方、市の過失を指摘しました。2人とも風車の計画にかかわりましたが、今後は原因究明にどのように取り組みますか。自身の責任をどのように考えますか。」

で、回答。
計画を決定した前市長「裁判するだけでなく、原因究明を市民、専門家を交え徹底的にすべきだったと考えます。その中で反省すべきものを、つくば市の環境政策に生かすことが重要でした。また、工事発注の方法に核心的な問題があります」
工事を発注した現市長「判決では風車導入計画の策定段階における市の過失が問われています。一方で個人賠償を求める住民訴訟も提起されており、これらの裁判上で事実の確定や評価がされ、責任の有無も明らかにされるものと考えます」

こうして見ると、お互いに責任の押し付けをやっているとしか思えませんなぁ・・・・・これが世界に誇る科学技術都市かよ(嘆息


by apj at 2008-10-51 09:28:51
研究者は……

杉山真大さん、

 研究者は研究所や大学には大勢いるかもしれないけれど、市役所の職員の多くは科学技術については素人だ罠。