身勝手なマスコミには草の根で対抗
新聞の押紙問題を取り上げたジャーナリストに、新聞社から圧力がかかった件。
言論による批判ならわかるが、ジャーナリストが引用して公開した文書を、著作権法違反で削除せよと要求したらしい。こんな手法が横行するようになると、裁判サイトを作っている私にも影響するので、ジャーナリストを応援することにする。転送歓迎とのことなので、blog内容を転送しておく。
「読売新聞、押し紙追及のジャーナリスト・黒薮哲哉氏の言論封じ込めに動く」より。
【転送歓迎】*ブログ、HP、メール、メディアなどで伝えてください。
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読売新聞が自社に批判的なジャーナリストに言論妨害
東京地裁も著作権を拡大解釈し削除命令を出す
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■フリージャーナリストの黒薮哲哉氏が読売新聞から不当な言論妨害を受けています。その妨害内容は報道に関わる全ての方に影響を与える深刻なものなので、ぜひ多くの媒体で取り上げていただきたいと考え、以下にその経緯をお知らせします。
「読売新聞」西部本社の法務室長江崎徹志氏が傘下の販売店とのトラブルの件で弁護士に送った文書を、ジャーナリストの黒薮哲哉氏が昨年12月21日に自分のサイト(新聞販売黒書)で引用したところ、法務室長から「削除せよ」との催告書が送られてきました。
そこで、黒薮氏がその催告書も掲載し報道したところ、法務室長は著作権を理由に催告書削除の仮処分申立を行い、東京地裁は1月22日にサイト上からの削除命令を下したのです。そのため、黒薮さんは現在一時的にサイトから催告書の全文を消去しています。
この言論妨害行為の読売側の代理人は喜田村洋一弁護士です。
著作権法第2条1項には、著作物の定義として「思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう」とあります。この定義に照らせば、読売新聞の法務室長が職務に関して回答した文書が著作物に該当するとは思えません。
しかし、東京地裁の佐野信裁判官は、理由も記さずに「サイトから、別紙の文章を削除せよ」という命令書を出しました。著作権法を拡大解釈したこのような削除申立が認められれば、内部告発などの資料や文書を提示した上での報道ができなくなってしまう怖れがあります。
報道機関であるはずの読売新聞も自分の首を絞める愚かな行為です。
以上のような読売と司法の暴挙に対し、黒薮氏は近日中に本裁判を起こすことを弁護団と検討しています。ぜひこの事件を、メディア、メール、ブログ、HPなどで幅広く伝えていただくよう、お願い致します。
くわしくは、「MyNewsJapan」(有料会員制ニュースサイト)にて報告しています。
http://www.mynewsjapan.com/reports/775お問い合わせは以下までお願い致します。
黒薮哲哉氏事務所 TEL&FAX 03-3976-6012
メールxxmwg240@ybb.ne.jp2008年2月4日
伊勢一郎(ジャーナリスト)/烏賀陽弘道(ジャーナリスト)/林克明(ジャーナリスト)/三宅勝久(ジャーナリスト)/山中登志子(編集家)/渡邉正裕(「MyNewsJapan」代表・ジャーナリスト)
この手の内部文書をすっぱ抜いて記事にするということをこれまでに散々やって金を稼いでおいて、自分が同じことをされたら著作権を持ち出すって、どんだけ身勝手なんだ>読売新聞。
転送元の「SLAPP WATCH」は、トップのところにもあるように、
大企業や団体など力のある勢力が、反対意見や住民運動を封じ込めるために起こす高額の恫喝訴訟をSLAPP(Strategic Lawsuit Against Public Participation)といいます。このブログはSLAPPについての国内外の実例や法律を集め、情報を蓄積し公開する「研究室兼資料室」です。反対運動のサイトではありません。基本的に♪
恫喝訴訟の情報収集サイトである。
以前であれば、企業が嫌がらせに数千万円から数億円の賠償金を請求してきたら、個人では弁護士に依頼しようにも着手金の支払いができないということになり、着手金を支払い可能な額にまで減額してくれる奇特な弁護士を探すしかなかった。着手金は訴訟物の価額の何%、という規定があったからである。このため、奇特な弁護士さんが見つからないと、素人が、企業の顧問弁護士相手に紛争することを強いられてしまうことになっていた。しかし、今では、弁護士会の報償規定が見直されて、着手金が訴訟価額の何%、という規定が無くなっている。このため、嫌がらせの提訴で巨額の賠償金を請求されても、無理筋な提訴なら、リーズナブルな金額で助けてくれる弁護士さんを見つけることが、以前よりは容易になっているはずである(その代わり、安い金額しか請求しない訴訟を起こしても、弁護士から一定の費用の支払いを求められることになってトータルで赤字という場合も出てくるが)。報償についての見直しは、SLAPPの効果を実質的に引き下げることに効果があったのではないか。
ここからは旧ブログのコメントです。
by bugbird at 2009-01-28 06:56:28
Re:身勝手なマスコミには草の根で対抗
マスコミがマスコミ足り得たのは、資本集約で実現された組織による取材力と記事執筆、迅速な報道に対して、購読者が対価を支払っていたからです。また、そこには同様に資本集約によって形成されたマスメディアも並立しているわけですね。
ところが、烏賀陽さんが、オリコンという押しも押されぬ大手マスコミを相手に、司直までをも巻き込んで Web Page と YouTube を舞台としてジャーナリスト本来の姿で健闘しているのを見れば明らかなように、”The Net” は今や資本集約を前提としていたマスコミ、マスメディアの存在価値を完膚なきまでに破壊しようとしているわけです。
つまり、これからのマスコミは、もはやジャーナリストとしての本分に立ち返らない限り「マスメディアの傘の下」では生き延びる事が出来なくなるということです。その事実に気がついてない、気がついても無視しているマスコミの中枢部あらばこその醜態という事でしょう。
by 酔うぞ at 2009-01-36 22:47:36
M日よりはマシですよ
M日はひどいよぉ~
by apj at 2009-01-42 23:02:42
まあ、あそこは特にひどい
bugbirdさん、
不思議なのは、マスコミ側には取材のプロが山ほど居るはずだから、それをちゃんと活かしてくれればネットでも十分役立つはずなんだけど、何でこんなことになってるのかなぁ。資本を集約しようがしまいが、取材能力と記事執筆能力さえ確かなら問題が無いと思うんだけど。
取材能力と記事執筆能力が実はちっとも無かったのを資本集約の効果でごまかしていた、というのなら話は別でしょうけど。
酔うぞさん、
海外向け変態報道+ネット敵視のコンボですからねぇ、M日は。他にもいろいろやってくれてますが。
実は、寮で一緒だった友達があそこに就職したんだけど、どうしてるかなぁ。当時はネットが無かったので今の状況は想像もつかなかったのだけど、大丈夫かなぁ……。
by apj at 2009-01-22 02:09:22
別の凄いのが来た……
酔うぞさん、
http://mainichi.jp/select/opinion/hasshinbako/news/20090104k0000m070077000c.html
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発信箱:誰のための地デジ 潟永秀一郎(報道部)
家に初めてカラーテレビが来た日のことを、今も覚えている。届けた電器屋さんまで誇らしげに梱包(こんぽう)を解き、受像すると声が上がった。天板には飾り布が掛けられ、正月には鏡餅を供えた。1967年、車(カー)、クーラー、カラーテレビがあこがれの「3C時代」だった。
テレビ放送には三つの転換点がある、と言われる。一つ目は放送開始、二つ目がカラー化、そして三つ目が現在進むデジタル化だ。ただ、前の2回と今回には大きな違いがある。選択肢の有無と、歓迎の度合いだ。
テレビ放送が始まってもラジオを聴くことはでき、カラー放送になっても白黒テレビで受像できた。収入や好みで選べたから批判は少なく、買える身の丈になることを素直に喜べた。が、今回は11年7月24日でアナログ放送は終わり、対応するテレビやチューナーなどを用意しなければテレビは見られなくなる。国策による強制だ。後は「見ない」という選択肢しかない。
私たちマスコミにも責任はあるが、後期高齢者医療制度と同じく、停波が決まった01年当時はその重みをあまり論議しなかった。残り3年を切った08年9月時点で対応テレビの世帯普及率は5割弱。政府は約100万の生活保護世帯にはチューナーを無償配布する方針だが、なお数百万世帯が残る恐れがある。多くは高齢者らの生活弱者だ。
労働者派遣が原則自由化された99年の法改正が今、大量の失業者を出しているように、同じく経済原理で進められた地デジ化は多くの「テレビ棄民」を生みかねない。それでも、停波は動かせないのか--。正月のこたつでテレビを楽しむ、老いた母の背を見ながら思う。
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一方で、番組の質は低下しまくりでスポンサーからも広告の効果に疑問が出されつつある状態なのだから、テレビに棄てられる人ではなくて、テレビを棄てる人が増えるだけじゃないかと。
ここで、「テレビを棄てたってまあどうってことないよ」って記事でも出れば、若者の読者が増えるかもしれないけど、年寄り向けのメディアを擁護するばっかりだと、時代後れ感があって、ますます若い世代が新聞を読まなくなるだけのような……。
by bugbird at 2009-01-33 03:46:33
Re:身勝手なマスコミには草の根で対抗
>取材能力と記事執筆能力が実はちっとも無かったのを資本集約の効果でごまかしていた、というのなら話は別でしょうけど。
まさに、それ故の凋落と迷走であると私は思ってます。資本集約効果の恩恵に甘んじているうちに『ジャーナリスト本来の仕事』をしなくなってしまっていたのが、ここに来て露呈してきているということですね。
by 多分役立たず(HNです) at 2009-01-26 12:51:26
チェーンメールの勧め?
明けまして、おめでとうございます。
チェーンメール – Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%81%E3%82%A7%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%83%A1%E3%83%BC%E3%83%AB
それが気になっただけですが…
by 多分役立たず(HNです) at 2009-01-06 12:55:06
勘違いかも
よく見たら、転送を勧める文面はありませんでしたね。
でも、誰かが転送を勧め出す様な気がします。
by apj at 2009-01-56 19:15:56
伝えて下さい、とはあるけど
元情報の方にあるだけですからねぇ。
「全文引用しても著作権がどうとか言いません。安心してね」
ってことでしょう。
個人情報以外の訴訟資料を全部公開してくれって、メールしてみますかねぇ。どういう理由で地裁が仮処分を出したのかに興味がありますし。
仮処分になったものはとりあえず削除は仕方がないとして、
・引用部分だけ削除した残りの部分
・仮処分関連でやりとりされた文書
を全公開でも結構役立ちそうな気が。