処分も指導も不要なケース
京都新聞の記事より。
Kyoto Shimbun 2009年7月12日(日)
AV出演が発覚、退部処分
立命大アメフット部員
立命館大アメリカンフットボール部の部員の男子学生(4年)がアダルトビデオに出演し、部から退部処分を受けていたことが12日、分かった。大学も学生への処分と部への指導を検討している。大学によると、学生は1年生だった2006年から07年にかけてビデオ6本に出演。今年6月中旬に関係者が事実を把握し、「学生の本分にもとる行為」として部の倫理規定に基づいて退部処分とした。学生は「スカウトされ、金になるアルバイトと思って出演した」と話しているという。学生は準レギュラーで公式試合にも出場していたが、「個人的な行動」として部の活動は続ける方針。
ビデオ出演をめぐっては、大阪経済大ラグビー部が大麻取調法違反で部員が逮捕後、部員らのアダルトビデオ出演が発覚し、大学は10日に部活動の無期限停止処分とした。
フットボール部は、学生が任意で参加しているいわばオプショナルな活動であり、部を追い出されたところで、授業料を支払い単位を取得し卒業証書を得る、という大学の機能の利用には何ら影響しない。従って、部独自の道徳的基準に従って、退部にしてもかまわないだろう。
しかし、大学が学生を処分するとか、部を指導するというのは別の話である。
AV出演がアメリカンフットボール部の斡旋により組織的に行われていたのであれば、部としての本来の活動を逸脱しているという理由によって、大学から注意されても仕方がない。しかし、学生のAV出演と部としての活動に関係が無いのであれば、大学が部を指導するということは、学生に対する「しつけ」を大学が部に担わせるということにほかならない。これは話が違うだろう。この部分は、学生のAV出演と部としての活動の関係がどうであったかによって判断が分かれることになる。
もっと問題なのは、AVに出演しただけでは違法ではないので、大学が学生を処分する根拠にならないということである。違法でないアルバイトの職種について、大学が学生に対して口を出す権利は無いはずである。「学生の本分」は、勉学をして単位を取ることであり、それ以外にアルバイトで何をしていようが、大学にとやかく言われる理由はない。立命館大学を卒業見込みの学生がAV製作会社や出演者派遣会社に内定をもらった場合、立命館大学がしゃしゃり出て内定先の業種を理由に学生を処分するとは考えがたいし、そんなことをすれば権利侵害で提訴されて大学が敗訴することはまず間違い無い。従って、アルバイトの内容がAV出演だったからといって、大学が学生の処分を検討することについて、正当な理由を説明できない。
「学生の本分」などという、どうにでもとれる内容を基準として、強制力を伴う処分が行われるのでは、紛争発生の種になるだけである。処分に用いる基準として、個人の倫理観や好き嫌いごときではブレない基準を立てておかないと、手続きが安定せず、逆に違法になったり不道徳な結果をもたらしたりする。中の偉い人が、私立大学のブランドだか体面だかを維持する目的で、在学生のAV出演許すまじという方針をとりたいのであれば「AVに出演したら○○の処分をする」と学則に明記した上で公開し、前もって入学する学生の同意を得ておくしかない。この方法なら、入学者は全員「在学中にAV出演したら処分される」ことを了承した上で入ってくることになる。私立大学であれば、そういう学則をつくっても、社会的に非難されることは無いだろう。それでも、就職内定先がAV関連業界であることについては不問とするということとの整合性はとれないが……。
ちょっと前の京都教育大のように、明らかに違法な行為を行った学生を「教育的配慮(笑)」をタテにかばいまくった挙げ句準強姦罪の加害者に教師になる道を残して社会不安を煽ったかと思うと、今度は、権利もないのに学生の処分を検討するという、大学の迷走ぶりに呆れた。教育現場だから社会と異なった基準が通用する、という思い込みをそろそろ捨ててはどうか。「教育」を特別視した途端、権利に対する考え方が雑で無神経なものになるのは何故だろう(少なくとも私にはそう見える)。
なお、学生の「不道徳」な行動については、学科とか学部の顔見知りの先生や、担当のアドバイザー教員がこっそり呼びつけて「説教する」あたりが正しい対応で、会議に報告されて記録にも残るような「処分」をするのはバランスを欠いているのではないか。
大麻取締法違反のケースとの比較は適切ではない。大麻は、在学中に手出ししても、就職してから手出ししても、違法である。刑事罰を科される行為を行った事に対する処分ならば説明可能である。
ここからは旧ブログのコメントです。
by のん at 2009-07-05 05:05:05
Re:処分も指導も不要なケース
ニュージーランドではテコンドーの北京五輪代表選手が、エスコートサービス(売春あっせん業)を始めたのが問題になっているそうです。(http://news.bbc.co.uk/2/hi/asia-pacific/8146782.stm)
これまで両親に活動費用を頼っていたが、「これ以上迷惑はかけられない」とロンドン五輪出場のための海外遠征費などを捻出するため始めたと。
しかし、NZオリンピック委員会は「成績だけでなく、若者の模範となる人物かどうかも代表選考には考慮される」と。
マイナー競技の選手にしてみれば、「なら資金援助してくれよ」ってとこでしょうが。
by apj at 2009-07-10 05:12:10
ふと……
のんさん、
大学教員が、給料アップが望めず生活が苦しいといった理由で、堂々とAV出演の兼業届けを出したら、教授会は一体どうするんだろう、と、ふと思った。
手続上は正しいし、仕事そのものが違法でもない。仕事の時間として、本業に差し障らない程度(年間通して数回、1回数時間程度、休日の間に済ませる)だと、非常勤講師の負担に比べてもほとんど差がない。
禁止しようにも、下手な基準や理屈でやると、それこそ「タレント教授」やら、普通の教授のTV出演までを軒並み却下する結果になりかねない。
by apj at 2009-07-51 05:17:51
Re:処分も指導も不要なケース
のんさん、
オリンピック選手については、「若者の模範」の解釈で揉めそうな。いつまでも親のすねをかじることが果たして若者の模範と言えるのか、ってあたりが。違法でないなら業種がエスコートサービスであっても、「自立して稼いでいる」方を「若者の模範」だと考えてもよいのではないか、とか。
ところで。
大学教員が、給料アップが望めず生活が苦しいといった理由で、堂々とAV出演の兼業届けを出したら、教授会は一体どうするんだろう、と、ふと思った。
手続上は正しいし、仕事そのものが違法でない。仕事の時間として、本業に差し障らない程度(年間通して数回、1回数時間程度、休日の間に済ませる)だと、非常勤講師やら、行政側の何とか委員会に出る負担に比べてもほとんど差がない。
禁止しようにも、下手な基準や理屈でやると、それこそ「タレント教授」やら、普通の教授のTV出演までを軒並み却下する結果になりかねない。
by たまに見てる人 at 2009-07-12 07:00:12
Re:処分も指導も不要なケース
昭和女子大事件が比較的類似した事例ですかね。
事件内容は「昭和女子大事件」でウィキペディア検索or憲法判例百選(第5版)の13事件
判例は以下のアドレスの「全文」からどうぞ
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=01&hanreiNo=26867&hanreiKbn=01
(この事件そのままで考えるなら)「うちの組に入っておきながら面子潰しといて、ただで済むとでも思ってるのか」的な感じです…。
ただ違いを見出せる部分もかなりあるので(学生の態様、行為の内容、処分根拠の不明確性)、その辺をどう考えるかですね。
by 摂津国人 at 2009-07-52 07:40:52
Re:処分も指導も不要なケース
試験や授業料免除のあるスポーツ特待生(大学の宣伝要員?)だとすればどうなんでしょうか。
by OneWord at 2009-07-29 08:15:29
Re:処分も指導も不要なケース
この学生がスポーツ推薦で入学しているなら、大学の対応はいたって当然では。
by apj at 2009-07-15 09:42:15
学則への具体的記載の有無
たまに見てる人さん、
「学則等により、学生の署名運動について事前に学校当局に届け出るべきこと及び学生の学外団体加入について学校当局の許可を受けるべきことを定め」とあるので、昭和女子大のケースは、何をしたらいけないかが明文で予め誰にでも判断できるように定めてあったのでしょう。
これと、「学生の本分」などという曖昧な文言を比較するのは無理ではないでしょうか。
しかも、「他方、右学生は、学則違反についての責任の自覚歩うすく、学外団体からの離脱を求める学校当局の要求に従う意思はなく、説諭に対して終始反発したうえ、週刊誌や学外集会等において公然と学校当局の措置を非難するような行動をした」といった状況もあったらしいですよね。
AV出演の方は、学生の、学外における私的な活動に過ぎません。
昭和女子大で、政治的な署名活動を事前に届け出ろ、となっていたとしても、それは学内で署名活動をする場合であって、大学と関係無しにどこかの駅前で行う署名活動については、大学のコントロールの範囲外でしょう。
類似のケースと考えるには無理があると思います。
by apj at 2009-07-19 09:47:19
Re:処分も指導も不要なケース
摂津国人さん、
>試験や授業料免除のあるスポーツ特待生(大学の宣伝要員?)だとすればどうなんでしょうか。
事前に禁止事項を伝えてなかったら、処分の根拠は無いということになるんじゃないですか。
まあ、この学生が特待生だという情報は出てきていませんから、そういう前提を持ち込んでの議論は意味が無いと思います。
OneWordさん、
>この学生がスポーツ推薦で入学しているなら、大学の対応はいたって当然では。
一概にそうは言えないでしょう。ただ、スポーツ推薦で入る時の条件として明文で「AV等風俗関係の業種でアルバイトをすることの禁止」といったものが課されていれば話は別でしょうね。
まあ、「準レギュラー」なら、スポーツ推薦の対象である可能性は少ないですし、スポーツ推薦で入ったという情報も無いわけですから、あまり仮定の話を広めない方がよろしいかと。
by RBの残党 at 2009-07-37 09:51:37
Re:処分も指導も不要なケース
apj先生の意見に賛同します。
一体何を根拠に処分するというのでしょうか理解に苦しみます。AV出演が違法なら理屈は立つでしょうがそうでなければ、根拠の乏しい懲戒ではないかと。大麻で逮捕された学生とは根本的に違うでしょう。
いかがわしい、下品とかいっても違法でなければ懲戒の根拠を欠くのではないかと思います。学則中の一般規定違反を理由とする(契約違反ということになる)のでしょうけど、表現の自由、職業選択の自由は憲法上の人権ですし、それを盾に、懲戒権の濫用、不法行為を主張できるでしょう。私なら提訴を勧めます。
非難さえ気にしなければたぶん勝てるでしょ。
大学処分は勇み足ではないかと思いますね。
大学も法務部を置いて、そこで検討してからコメントするほうがよろしいですね。
法学部や法科大学院に所属する先生方に先に照会したらこういう結論にはならないはずだと思うんですけどね。
by OneWord at 2009-07-32 09:59:32
Re:処分も指導も不要なケース
アメフトで立命なら、準レギュラークラスもまず間違いなくスポーツ推薦で入学してると思いますよ。で、スポーツ推薦の場合は、大学にもよりますが入学時に色々と条件がつけられます。
スポーツ推薦じゃなくても私学の場合、大学の名誉を汚した場合は、法律に触れるかどうかとは関係なく処分されることが入学時に確認されていることが少なくありません。
by apj at 2009-07-21 10:02:21
規範には何段階かある
RBの残党さん、
強さの違う規範がある、ということを忘れているのでないかという気がします。マナー、モラル、法、の順に規範としては強くなっていくのだけど、今回の大学の勇み足は、学生にモラルを守らせようとして、違法な手段をとりつつあるというか。
大学の法務部ですが、望み薄です。訴訟までやると顧問弁護士が出てくるんですが、それ以前の問題を相談できる常設の部署を持っている大学はほとんど無いと思います。事業所の規模で考えると、民間企業なら当然法務部を持っていていいはずの規模なんですが、そこまで手が回っていない。法人化で、自らが権利義務の主体になったのだから、真っ先に法務を充実させないとまずかろうと思うのですが、予算を削られている現状ではほとんど無理です。一応、中の人なので、法務部をつくれと、機会がある毎に言ってるんですが……そのうち学長に直訴するべきかなぁ。
by apj at 2009-07-40 10:09:40
Re:処分も指導も不要なケース
OneWordさん、
>スポーツ推薦じゃなくても私学の場合、大学の名誉を汚した場合は、法律に触れるかどうかとは関係なく処分されることが入学時に確認されていることが少なくありません。
大学の名誉を汚したことについて責任を問えるのは、大学を誹謗・中傷したようなケースに限られるのではないでしょうか。AV出演が大学の名誉を汚す、とするのは無理があると思います。
学生が違法な行為をしたことを理由として処分する場合でさえも、その処分の理由は「大学の名誉を傷つけた」という種類のものではないでしょう。また、過去に犯罪歴があっても、刑事罰を受けた後更正しようとしている人の入学を拒むという規則を掲げている大学というのも見たことがありません。
学生の行動が悪かったために大学の名誉が傷つくかというと、その立証は容易ではないでしょう。そういうムラ社会的な論理の方を駆逐しないと、大学による違法が横行する結果になるのではないかと危惧します。
まあ、一度裁判所で争って、大学の名誉権の主張できる範囲を定めるというのがいいのかもしれませんが。
by OneWord at 2009-07-11 10:15:11
Re:処分も指導も不要なケース
「違法でないから処分できない」というのは理解しがたいです。
私立大学はその大学の建学精神に同意した人のみに入学と在籍を許しているからです。「学生の本分」が何かを決めるのは大学であって学生ではありません。嫌なら退学すれば良いのです。
「立命館大学を卒業見込みの学生がAV製作会社や出演者派遣会社に内定をもらった場合、立命館大学がしゃしゃり出て内定先の業種を理由に学生を処分するとは考えがたい」とありますが、私学ではそれは十分ありえることですし、「権利侵害で提訴されて大学が敗訴する」ことはありません。また、卒業後のことと、学生である現在のこととを混同してはいけません。
「私立大学のブランドだか体面だかを維持する目的で、在学生のAV出演許すまじという方針をとりたいのであれば『AVに出演したら○○の処分をする』と学則に明記した上で公開し、前もって入学する学生の同意を得ておくしかない」ことはありません。「してはいけないこと」は限りなくあり、それをいちいち列挙するのはナンセンスです。
by apj at 2009-07-37 10:16:37
Re:処分も指導も不要なケース
OneWordさん、
>スポーツ推薦じゃなくても私学の場合、大学の名誉を汚した場合は、法律に触れるかどうかとは関係なく処分されることが入学時に確認されていることが少なくありません。
大学の名誉を汚したことについて責任を問えるのは、大学を誹謗・中傷したようなケースに限られるのではないでしょうか。学生のAV出演が大学の名誉を汚す、とするのは無理があると思います。マナーとしては汚したと言えるかもしれませんし、モラルとしてもまあ汚したと言えなくもないかとは思いますが、マナーやモラルへの違反に「処分」はふさわしくありません。「処分」は、あくまでも、規則違反に対して行うべきものです。
学生が違法な行為をしたことを理由として処分する場合でさえも、その処分の理由は「大学の名誉を汚された」という種類のものではないはずです。また、過去に犯罪歴があっても、刑事罰を受けた後更正しようとしている人の入学を拒むという規則を掲げている大学というのも見たことがありません。
学生の行動が悪かったために大学の名誉が汚されるかというと、その立証は容易ではないでしょう。そういうムラ社会的な論理の方を駆逐しないと、今度は、大学による不法行為が横行する結果になるのではないかと危惧します。
まあ、一度裁判所で争って、大学の名誉権の主張できる範囲を定めるというのがいいのかもしれませんが。
by apj at 2009-07-33 10:22:33
Re:処分も指導も不要なケース
OneWordさん、
>私立大学はその大学の建学精神に同意
同意するのはいいですが、同意の範囲を後から勝手に決められたのでは困りますね。後付けの理屈で処分し放題となれば、今度は契約違反の責任を大学に対して問うことになります。
>「立命館大学を卒業見込みの学生がAV製作会社や出演者派遣会社に内定をもらった場合、立命館大学がしゃしゃり出て内定先の業種を理由に学生を処分するとは考えがたい」とありますが、私学ではそれは十分ありえることですし、「権利侵害で提訴されて大学が敗訴する」ことはありません。
根拠をお示し下さい。実際にそのようなケースが存在するのでしょうか。
また、敗訴することはありません、と断言できる根拠は何でしょうか。具体的にお示し下さい。
私が「敗訴するだろう」と書いたのは、契約自由の原則に基づいたものです。原則ですから、これを曲げるには例外であることを示さなければならないでしょう。
>また、卒業後のことと、学生である現在のこととを混同してはいけません。
混同ではありません。内定は学生の間に得るものです。
内定をとっても差し支え無い業種でのアルバイトを処分の対象にする理屈は立ちません。
もう少し微妙なケースとして、インターンシップだったらどうなるか、といったことを考えてみてはどうでしょうか。
by apj at 2009-07-40 10:24:40
追加
OneWordさん
>「してはいけないこと」は限りなくあり、それをいちいち列挙するのはナンセンスです。
処分の根拠はある程度明確に示しておかないと、恣意的な処分による権利侵害を引き起こす結果になります。
列挙せよとまでは言いませんが、何をすると処分されるかが予め明らかでないと規則の意味をなしません。
by OneWord at 2009-07-58 11:04:58
Re:処分も指導も不要なケース
限りなくある公序良俗に反する行為を例示でも列挙するのはナンセンスでしょう。
契約自由の原則から、なぜ大学側が敗訴すると考えるかのほうが理解に苦しみます。
なお、関連した判例に以下のようなものがあるようです。
Wikipediaの桐朋女子中高の記事から
++++++++++++++++
在学中の芸能活動は校則に定めはないが、指導方針として禁止している。 2006年10月18日、当時3年次在学中の女子生徒(グラビアアイドル)が禁止されている芸能活動をしたため、学校は退学に処した。小泉側は処分の無効確認を求めて東京地裁に提訴した。2008年2月27日、同地裁は高校側の主張を全面的に認め、小泉側の訴えを棄却した。なお、小泉側は控訴せず、地裁判決は確定した。
by apj at 2009-07-56 11:39:56
Re:処分も指導も不要なケース
OneWordさん、
>限りなくある公序良俗に反する行為
そうであるなら、違法とされています。違法でない範囲でのAV出演を、違法であるものと同様に扱えないのでは。AVだからといって、常に公序良俗違反が成り立つわけではありませんので。
#違法と判断されればアウトでしょうけど。
>契約自由の原則から、なぜ大学側が敗訴すると考えるかのほうが理解に苦しみます。
誰とどういう契約をするか(この場合は、AV製作会社と学生との間でAVに出演する、といった契約になるのでしょうか)は自由です。これに制限を加えるとしたら、例えば、AV出演ならば「未成年者の出演は×」といったものが考えられます。
しかし、第三者である大学が介入して、後から、それ自体で違法はでない契約の一方当事者に何らかの処分をする根拠は無いと考えます。
>桐朋女子中高
未成年者を教育する中学・高校と、成人も対象にする大学を同じに扱うことはできないのでは。
by apj at 2009-07-35 11:58:35
議論の筋が違ってましたね
OneWordさん、
>>「立命館大学を卒業見込みの学生がAV製作会社や出演者派遣会社に内定をもらった場合、立命館大学がしゃしゃり出て内定先の業種を理由に学生を処分するとは考えがたい」とありますが、私学ではそれは十分ありえることですし、「権利侵害で提訴されて大学が敗訴する」ことはありません。
に対する
> 私が「敗訴するだろう」と書いたのは、契約自由の原則に基づいたものです。原則ですから、これを曲げるには例外であることを示さなければならないでしょう。
AV関連企業に内定をとることは(契約自由の原則により)自由ですから、それに制限を加えるには、その原則に対する例外の定めが必要です。契約そのものが違法だとか、別の法規制にひっかかる、といったことが必要となります。大学の方針や規則ごときは、その例外としての効力を持たないでしょう。校風に合わない、といった理由で制限すれば、制限する行為自体が、法的根拠を持たないので、内定をとった学生に対する権利侵害となりそうです。
AVが世間でどう見られているかは承知していますし、過剰にモラルにこだわる人が大学の上の方に居たら「不道徳でケシカラン」と言うだろうことも予想がつきます。ただ、そのモラルを実現するために、他人に対する権利侵害(不法行為)をやらかしてしまったら、本末転倒だろうと思うんですよ。
by Isshocking at 2009-07-21 04:57:21
Re:処分も指導も不要なケース
記事によると「処分を検討」ですから、現時点では学生には何ら権利侵害は発生していないわけです。正確にいうと「処分できるかどうか検討」ということになるのかな。
指導教官から口頭注意くらいでしょうか。
あるいは、単にマスコミ向けのポーズだけかも知れませんね。
記事では1年のときから出演ということですから、未成年で出演していた可能性があり、そうだとするとちょっと問題有りかも。
もし大学によって何らかの不利益な処分が学生に科せられた場合、みなさん仰るように裁判に訴えれば勝てる可能性が大きいですが、そこまで事を構えてしまうと、おそらく就職が難しくなってしまうと思われます。
在学中の賞罰は履歴書に正確に申告しなければなりませんし、それが裁判中で確定していないとなると、内定のだしようがありません。
民事裁判というのは得失の比較で行うもので、なかんずく経済的な得失はウェイトが大きい。
わたしだったら、まさか退学処分や長期の停学はあり得ないから、ほとぼりがさめるまで静かにしていろ、ネットの正義にのせられるな、とアドバイスしたいところです。
by apj at 2009-07-00 06:37:00
多分そんなところでしょう
Isshockingさん、
>「処分を検討」ですから、現時点では学生には何ら権利侵害は発生していないわけです。正確にいうと「処分できるかどうか検討」
同意です。今回問題にしたのは、大学側の安易な「処分を検討」という発想の方です。もちろん、「検討した結果、やっぱり処分の根拠はない」となるかもしれませんし、今のところ何とも言えませんね。
>指導教官から口頭注意くらいでしょうか。
まあ、それくらいなら常識的に考えて「有り」でしょう。ご指摘の通り、未成年から出演していたらやっぱり問題がありますし。何て言うか、金がもらえるという理由でその手のものに出演することによって将来背負う不利益について、教育しないといけないのかなぁ、と思ったり。
>在学中の賞罰は履歴書に正確に申告しなければなりませんし、それが裁判中で確定していないとなると、内定のだしようがありません。
バランスを欠いた罰で大不利益確定なら提訴して勝ちに行った方が得、口頭注意程度の軽微なものならほとぼりが覚めるのを待った方が得、でしょう。実際的な判断としては。
あ、もちろん、このエントリーの趣旨は、学生に対する提訴の薦めではありませんよ^^;)。
大学側の判断基準のブレ方の方が最近気になっていたこと、法務部がしっかりしている大学が少ないという現実と関係あるかもしれないという問題意識があったこと、が、私が引っ掛かった理由です。
by OneWord at 2009-07-38 07:23:38
Re:処分も指導も不要なケース
契約自由の原則を取り違えておられるのではないでしょうか?
契約は自由です。大学が強制的に契約を破棄させているわけではありません。学生は退学することで、契約を継続できるのですから。「退学したために大卒資格が得られず、結果的にAV企業に就職できないわけだから、契約破棄を強制している」と反論されるかもしれません。しかし、それをいえば、内定をとれば、教師を侮辱して単位を取り損なった場合でも、大学を契約自由の原則により訴えることができるということになります。
なお、最初に紹介された昭和女子大事件の判決文をきちんと読めば、私立大学では「学生の本分」を大学側が決めることができることがわかるでしょう。判決文を記した下記サイトの太字部分を参照して下さい。apjさんの意見は大学が教育機関であることを忘れた暴論だと思います。
http://www.takagai.jp/catchaser/hanrei/scs490719m28-5-790.html
by OneWord at 2009-07-38 07:23:38
Re:処分も指導も不要なケース
契約自由の原則を取り違えておられるのではないでしょうか?
契約は自由です。大学が強制的に契約を破棄させているわけではありません。学生は退学することで、契約を継続できるのですから。「退学したために大卒資格が得られず、結果的にAV企業に就職できないわけだから、契約破棄を強制している」と反論されるかもしれません。しかし、それをいえば、内定をとれば、教師を侮辱して単位を取り損なった場合でも、大学を契約自由の原則により訴えることができるということになります。
なお、最初に紹介された昭和女子大事件の判決文をきちんと読めば、私立大学では「学生の本分」を大学側が決めることができることがわかるでしょう。判決文を記した下記サイトの太字部分を参照して下さい。apjさんの意見は大学が教育機関であることを忘れた暴論だと思います。
http://www.takagai.jp/catchaser/hanrei/scs490719m28-5-790.html
by apj at 2009-07-28 09:12:28
Re:処分も指導も不要なケース
OneWordさん、
>契約は自由です。大学が強制的に契約を破棄させているわけではありません。
破棄させていなくても、あらかじめ存在する関係を利用して契約の成立を妨げる行為をしたら、それは権利侵害でしょう。
>内定をとれば、教師を侮辱して単位を取り損なった場合でも、大学を契約自由の原則により訴えることができるということになります。
できるのが当然です。なぜなら、単位は、所定の学力を身に付けたことに対して出すものであって、教師に対する侮辱とは無関係です。侮辱に対する責任追及をするのなら、単位とは別に、学内のハラスメント処理手続を用いるなり、法的責任を追求するなりすれば良いだけであって、単位を出すかどうかという手段を用いるのは、教員側の権利濫用です。
あなたの論は、教師の恣意的な処分を容認するものであり、今後の大学で通用するものではないでしょう。あなたのような考え方は、パワーハラスメントの加害者になる可能性を持っていると思います。
>私立大学では「学生の本分」を大学側が決める
この結論は暴論です。きちんと読めば、
・予め学則に禁止事項が書いてあった。
・学生がそれに違反した。
・「学外団体からの離脱を求める学校当局の要求に従う意思はなく、説諭に対して終始反発したうえ、週刊誌や学外集会等において公然と学校当局の措置を非難するような行動をしたなど判示の事情」があった
といったことを積み上げています。
こういった積み上げの部分を無視して、「私立大学では「学生の本分」を大学側が決めることができる」などと結論することこそ、ただの暴論です。
by ごんべえ at 2009-07-28 09:14:28
大学の性格はある
「大学側の判断基準のブレ方」というけど、京都教育大学と立命館は異なる大学ですから、判断の仕方が違うのはあって良いことだと思います。まあ、対外的にとりあえず処分を検討するとだけ言っておくのは無難な対応でしょう。日本的には。
一方で「未成年から出演していたらやっぱり問題」というのはなんか逆な気がします。未成年で出演の場合は周りのほうが問題じゃないでしょうか。(明文禁止の酒・タバコもそうですよね)
ほかで挙げられている桐朋女子中高、昭和女子大事件はどちらも明文規定に反していることをしている話でしょうから、それをもって、AV出演や製作会社内定を理由に退学処分可能とは解釈できません。
「学校教育法一一条は、懲戒処分を行うことができる場合として、単に『教育上必要と認めるとき』と規定するにとどまるのに対し、これをうけた同法施行規則一三条三項は、退学処分についてのみ四個の具体的な処分事由を定めており、被上告人大学の学則三六条にも右と同旨の規定がある。これは、退学処分が、他の懲戒処分と異なり、学生の身分を剥奪する重大な措置であることにかんがみ、当該学生に改善の見込がなく、これを学外に排除することが教育上やむをえないと認められる場合にかぎつて退学処分を選択すべきであるとの趣旨において、その処分事由を限定的に列挙したものと解される。」
ていうところですから、改善の見込みがなく、という条件を達成しないといけないので、3年前にだけAV出演しましたとか、内定もらいました1回で退学処分は無理筋でしょう。やめなさいといってやめないと退学処分というのはありうるかもしれないけど。
by apj at 2009-07-17 09:21:17
程度の問題
ごんべえさん、
規則をありがとうございます。
重大な処分ほど、明文の規定その他の事由を必要とする、ということですよね。当たり前ですが。
まあ、処分といってもいろいろありますから、口頭で注意する程度の軽いものだってあるわけです。元記事の大学のコメントは「検討中」ですから、どういう結論になるかはわかりませんしね。
むしろ、私は、OneWordさんのような考え方の人が居ることの方に危うさを感じています。同時に、なぜ、あちこちの大学でパワハラが減らないのかという理由も少し説明が付きそうに思えてきました。興味深いので、このまま、議論のパターンを見ていきたいと思っています。
by 摂津国人 at 2009-07-22 09:55:22
結局「譴責」程度で終わらせるしかないのでは?
幾つかの大学の学則を見てみましたが、学生の処分が出来る場合として学校の「信用の失墜」や「秩序を乱す」などの具体的ではない規則が見受けられ、処分の内容も譴責や停学等の段階もある以上、学生の学外での合法的な行為でも学校側のそれなりに恣意的といえる処分も「可能」だとも理解できますがどうなのでしょう。
もちろんごんべえさんのご指摘のように退学に関しては慎重にすべきで、今回この話に関しては退学にすべきではないと思いますが、いかなる処分も出来ないとするのは難しくは無いでしょうか。
「程度の問題」だし「検討中」なので実際の処分が決まらない限りなんとも言えないと思いますが。
by apj at 2009-07-32 11:17:32
訴訟社会に移行中なので
摂津国人さん、
まあ、現実問題として、コメントのタイトルに書かれた程度のことだろうと思います。
> 幾つかの大学の学則を見てみましたが、学生の処分が出来る場合として学校の「信用の失墜」や「秩序を乱す」などの具体的ではない規則が見受けられ、処分の内容も譴責や停学等の段階もある以上、学生の学外での合法的な行為でも学校側のそれなりに恣意的といえる処分も「可能」だとも理解できますがどうなのでしょう。
このあたりですが、まだ流動的だと考えています。
以前は学生の権利主張も激しくなかったので、恣意的な処分をしても学生がある意味「泣き寝入り」してくれていたから済んでいた、という面もあるのではないでしょうか。しかし、最近は権利主張をどんどんする傾向にあるので、学生が泣き寝入りしなかった場合は、争った結果大学が負けるケースが出てくるだろうと考えています。
>いかなる処分も出来ないとするのは難しくは無いでしょうか。
という話ではなくて、大学が安易にという発想をするならばこの先訴訟で負けるリスクが増大するだろう、という問題提起なので、ちょっと話の筋が違うんです。
今の状況だと、むしろ大学はどんどん処分し、学生もどんどん提訴して、どこまで許されるかの線引きのために判例を出しまくる方が後の役には立つでしょうねぇ。処分をめぐるめぼしい判決って、学生運動の頃に集中してるんで、そろそろ政治がからまない判例が一通り欲しいところではあります。いやまあ、身も蓋もない意見だということは承知してますが(汗)
by やまたろう at 2009-07-51 20:42:51
re:処分も指導も不要なケース
本文中
> ビデオ出演をめぐっては、大阪経済大ラグビー部が大麻取調法違反で部員が逮捕後、部員らのアダルトビデオ出演が発覚し、大学は10日に部活動の無期限停止処分とした。
この部分は大阪経済大に係る話で、立命館とは独立した話と見るべきなのか、それとも大阪経済大のケースから芋づる式に立命館のケースが見つかった、と見るべきか、文意が良く分かりませんね。
単なる「大学生」「体育会系」「AV出演」だけで括った(つまり前者の意図)のであれば、蛇足というほかない気がします。
なお、不謹慎を承知で書きますが、AVに関してはそれこそ「現役女子大生」をうたう女優の出演が数多あるわけで、おそらく何割かは発覚しているであろう彼女たちが、学内で処分されたという話をついぞ聞かないのは、上記のケースに比べ不公平感が否めません。もちろん、学歴詐称で出演して実際に学籍がない場合も相当あるだろうとは思いますが。
by OneWord at 2009-07-03 07:32:03
Re:処分も指導も不要なケース
apjさんを含め、立命館の処分に反対の皆さんは、どうも私立大学というものを理解していないように思います。同じことの繰り返しになりますが、私立大学ではその大学の建学精神に同意した人のみに入学と在籍を許しています。
私は3つの私立大学を経験していますが、そのいずれでも入学時に「いかような処分が下ろうと文句は言わない」の念書をとっています。例えば、現在私が勤務する大学では、学則に書かれていませんが、学内で飲酒すると退学です。違法駐輪で停学です。その他、芝生内でボール遊びをすると謹慎になります。
なお、授業の単位は単に所定の学力を身に付けたことに対して出すものではありません。仮にその学力があったとしても、学生の本分に反する行為があれば、単位は出ません。例えば、私の勤務している大学では、ある科目でカンニングすれば、それ以外の科目の単位もすべて認められません。こうした規程を有する私立大学は少なくないはずです。規程になくても例えば、友人を脅迫してノートを借りたといった事実が発覚すれば同様の処分になるでしょう。
>ごんべえさん
あなたの引用した判決文は以下のように続いています。
++++++++++++++++
「学校の秩序を乱し、その他学生としての本分に反した」ものとして退学処分を行うにあたつては、その要件の認定につき他の処分の選択に比較して特に慎重な配慮を要することはもちろんであるが、退学処分の選択も前記のような諸般の要素を勘案して決定される教育的判断にほかならないことを考えれば、具体的事案において当該学生に改善の見込がなくこれを学外に排除することが教育上やむをえないかどうかを判定するについて、あらかじめ本人に反省を促すための補導を行うことが教育上必要かつ適切であるか、また、その補導をどのような方法と程度において行うべきか等については、それぞれの学校の方針に基づく学校当局の具体的かつ専門的・自律的判断に委ねざるをえないのであつて、学則等に格別の定めのないかぎり、右補導の過程を経由することが特別の場合を除いては常に退学処分を行うについての学校当局の法的義務であるとまで解するのは、相当でない。したがつて、右補導の面において欠けるところがあつたとしても、それだけで退学処分が違法となるものではなく、その点をも含めた当該事案の諸事情を総合的に観察して、その退学処分の選択が社会通念上合理性を認めることができないようなものでないかぎり、同処分は、懲戒権者の裁量権の範囲内にあるものとして、その効力を否定することはできないものというべきである。
++++++++++++++++
つまり、大学側の処分権を認めたものです。前段だけ引用するのは不適切です。
>やまたろうさん
現役女子大生のAVに関しても、発覚したら退学になっていると思いますが。しばしばネットでも話題になっています。
by ごんべえ at 2009-07-56 07:55:56
Re:処分も指導も不要なケース
「入学時に『いかような処分が下ろうと文句は言わない』の念書」というのは不合理な処分をする場合は実際は法的には無効ですね。
「つまり、大学側の処分権を認めたものです。」というのは読み方が不十分でしょう。その引用部は「当該学生に改善の見込がなくこれを学外に排除することが教育上やむをえないかどうかを判定」するにつきそれなりの裁量が大学にあるということを指摘しているに過ぎないわけで、その判断が「社会通念上合理性を認めることができないようなもの」だとやっぱり無効となるわけです。その例では合理性を認めることができる判断だと評価されたということです。
カンニングと脅迫は処分されて当然でしょう。特に脅迫はちゃんとした刑法上の犯罪行為ですよ。
「現在私が勤務する大学では、学則に書かれていませんが、学内で飲酒すると退学です。違法駐輪で停学です。その他、芝生内でボール遊びをすると謹慎になります。」これは変な大学ですねえ。一発退学処分は状況次第で裁判すると大学が負ける可能性がありそうですよ。
by apj at 2009-07-46 08:39:46
大丈夫ですか?
OneWordさん、
世の中には、ワンマン経営で運営側がぐだぐだになっている私立大学ってのも見聞きしますので、変な大学が実在することもあるだろうと思うのですけど。
>入学時に「いかような処分が下ろうと文句は言わない」の念書をとっています。
既にやまたろうさんが書かれていますが、この念書は法的には無効でしょう。幸いにして念書の「脅し」あるいは「先入観」が効いて学生が「泣き寝入り」してくれていたから大学が無傷で済んでいるだけで、まともな弁護士を雇って訴えてこられたら、場合によっては負けますよ。
何て言うか、コンプライアンスの面から問題がありまくりな気がします。まさかと思いますが、法学部のある大学での話でしょうか?この念書を書かされて、4年間法律を勉強した学生が誰も疑問を持たないのだとしたら、別の意味で教育に大失敗しているのではないかと心配になります。
なお、カンニングは、所定の学力に達したかどうか公正かつ公平にチェックする試験そのものを偽る行為ですから、どこの大学でも不正行為として処罰します。
脅迫はそもそも刑法に抵触しますし。
明らかに違法とか明らかに不正、というものは、「学生の本分」かどうかというカテゴリーには入らないと思いますよ。
>つまり、大学側の処分権を認めたものです。前段だけ引用するのは不適切です。
それは、処分権を無条件に認めた判例ではありません。
「当該事案の諸事情を総合的に観察して、その退学処分の選択が社会通念上合理性を認めることができないようなものでないかぎり」と、判断の理由が述べられています。
ですから、後に別の事件が起きて、事実を積み上げて立証を行った結果、「社会通念上合理性を認めることができない」という判断がなされれば、処分無効の判決が出ることになりそうです。
by apj at 2009-07-11 08:52:11
大学の自治と憲法判断
やまたろうさん、
判例百選の最新版はこの間買ってちょこちょこ読んでいるところなので、再度確認してみました。
あの時代の学生運動が盛んな雰囲気をもろに反映した訴訟だったのだろうな、と思いました。
大学の自治の担い手に学生がなれるか、とか、学内での政治活動や集会の自由を認めろ、といった争いが起きて、上告されることが度々ありましたよね。
問題の裁判も、退学処分のあとの、学生としての「地位確認」(つまり退学処分無効の判決)を求めていて、憲法上の権利を主張しての争いをやってたっぽいですね。今なら、「地位確認」だけじゃなくて、不法行為として損害賠償請求も一緒にして、憲法を引っ張り出しての争いではなく、もうちょっと違う展開で攻撃防御する展開になるのかな、と思ったり。
何て言うか、時代背景を色濃く引きずった紛争だったんでしょうねぇ。
by エディ at 2009-07-13 14:27:13
Re:処分も指導も不要なケース
少子化(大学全入)・学力崩壊が進んでいると言われているので、高校時の補習をする大学がある位だから、
「高校並の生活(生徒)指導をする大学」が出てきても驚きませんが、
>学内で飲酒すると退学です。違法駐輪で停学です。その他、芝生内でボール遊びをすると謹慎になります。
は、高校より厳しい(やや理不尽な)「校則」ですね。
by やまたろう at 2009-07-15 20:58:15
Re:処分も指導も不要なケース
>apjさん
上記二つのコメントは、ごんべえさん宛のものという理解でよろしいですかね?私の与太話に繋げるのは違和感があったので。
いずれ、「校則にも法律にも基づかない処分」という事実がある(あった)ということと、それを是とするかどうかが今回問われているわけで、「事実がある(あった)」から正しいのだ、では議論にならないですね。
by apj at 2009-07-36 21:04:36
間違えました^^;) 失礼
やまたろうさん、
>上記二つのコメントは、ごんべえさん宛のものという理解でよろしいですかね?
at 2009/07/15 23:39:46の分がOneWordさんへのコメント、
at 2009/07/15 23:52:11の分はごんべえさんへのコメントです。
間違えました。失礼しました>ごんべえさん、やまたろうさん。
by apj at 2009-07-54 21:06:54
正確に言うと
やまたろうさん、
>いずれ、「校則にも法律にも基づかない処分」という事実がある(あった)ということと、それを是とするかどうかが今回問われているわけで、「事実がある(あった)」から正しいのだ、では議論にならないですね。
正確に言うと、その処分も「検討中」です。
ですから、このエントリーの趣旨は、上の方でも書いたように、「校則にも法律にも基づかない処分」を口にすることの抵抗が大学に無いとしたら、逆にまずいんじゃないか、という問題提起です。
by かわ at 2009-07-31 01:50:31
私立大学?
はじめまして。
コメントについてなので、場違いなのかもしれませんが。
私立大学なのでというのが、何回か出てきているのですが、この場合、私立大学と国立大学で変わってくるのでしょうか。
by やまたろう at 2009-07-09 03:17:09
Re:処分も指導も不要なケース
>apjさん
>正確に言うと、その処分も「検討中」です。
>ですから、このエントリーの趣旨は、上の方でも書いたように、「校則にも法律にも基づかない処分」を口にすることの抵抗が大学に無いとしたら、逆にまずいんじゃないか、という問題提起です。
うっかりして、OneWordさんの事例と混同していました。失礼しました。
ところで、ごんべいさんも指摘されていますが、OneWordさんの事例中、「学内で飲酒すると退学」って本当なんですかね?未成年は別として、学生食堂(これだって学内ですよね)を利用したコンパなんて普通にありえると思いますし、そんな規制を課して守れるわけがないと思うのですが。
by apj at 2009-07-04 09:48:04
そんなに大きな違いは無いと思うんですが……
かわさん、
話が裁判所までいけば、そんなに大きな違いは出ないと思うんですよ。
私学だといっても、私学助成金をもらっている以上、普通の私企業と同じというわけにはいかないでしょう。
旧国立大学は法人化したので、私学同様に紛争の当事者になれるようになり、争う時も、行政訴訟ではなく通常の民事訴訟でやることになっています。
ただ、両者の違いで裁判所の判断が分かれるような判例があるかというと、私も知りません。
by apj at 2009-07-25 09:51:25
信じられないですね
やまたろうさん、
>「学内で飲酒すると退学」って本当なんですかね?未成年は別として、学生食堂(これだって学内ですよね)を利用したコンパなんて普通にありえると思いますし、そんな規制を課して守れるわけがないと思うのですが。
守れないでしょうね。逆に、どこの大学だって、生協はコンパ用のプランを持っているのが普通です。
さすがにこんな規制があったら、規制そのものが有名になっているんじゃないかと思うんですけど。
どこの学校か、OneWordさんが名前を出してくだされば、裏をとれるかもしれないんですけどね。
by 摂津国人 at 2009-07-16 10:28:16
判例が無いので判りませんが
今回の立命館はそうではなく自由な学風らしいので当てはまらないのですが、特定の宗教や思想を明らかに建学の精神としている私立大学はそれなりの独自の規範に基づく裁量権が有る程度認められたりはしないのでしょうか。
少なくとも退学以外の処分なら認められてもおかしくは無い気がします。
勿論そんな根拠も無く恣意的な処分をするのは「社会通念上合理性」を認められないとされるのでしょうが、その線引きがあるならどの辺りなのでしょね。
(OneWordさんは前に「一言」さんで書かれていた方と同じ方なのでしょうか)
by apj at 2009-07-43 02:45:43
そのあたりを私も知りたいんですよ
摂津国人さん、
私が知りたいのもそのあたりの線引きです。
恣意的に何でもできるわけでないのは確かでしょうけど。結局は争って決めるしかないんでしょうね。下級審でも裁判例が増えれば、だいたいの「相場」が形成されそうにも思います。
by ドラゴン at 2009-07-33 03:24:33
Re:処分も指導も不要なケース
私立大学出身ですが、学食にビールがありましたので、昼に飲んで大教室の授業に出たりもしていました。
教育系の学会では、大会のときには生協や学食で懇親会をするのがほとんどでして、大会運営を手伝ってくれている院生さんや学生さんも一緒に飲んでおります。学内で飲酒で退学とは、信じがたいですね。
もう20年近くになりますが、私の大学で同級生(学年で数千人おりますので知り合いではありません)が、AVに出て、ちょっと話題になりました。まだ、学生でビデオを持っているのは少数で、日活が元気だった時代です。名前を知られた大学なので、それをウリにしていたようです。
教務関係の方から聞いた噂では、退学にできないので、大学、教員が全力で説得にあたったそうです。「このような仕事をしたいなら、何も大学を出る必要はないじゃないか」と、そのような感じだったようです。その結果、自主退学したそうです。
素人考えですが、大学が何らかの損害を被ったとして、民法709条の一般不法行為を適用するのはどうでしょうか。709条は何でもありのようですから。ただ、因果関係などの立証は難しいと思います。法学部があるのなら、お得意の先生もいるかもしれません。
民法ですと、損害賠償を請求できても、退学の根拠にならないと思いますが、この一般不法行為の考えを学則に援用すれば、特に細かな規定がなくても退学させることは可能ではないでしょうか。
あと、念書については、弁護士さんに聞いた話です。
親が手術する際に、いろいろな念書を書かされましたが、「親が死んでもいい」なんて念書は、公序良俗に違反するので無効となるそうです。民法90条でしょうか。
ご参考までに。
by 摂津国人 at 2009-07-23 06:34:23
ホントに良くわからない
apjさん
そういえば京都教育大学の件は「処分保留」つまり法的には「無罪」になるらしいのですが「無期限停学」だとか。
国公立でも退学を除けば有る程度の裁量権も認められているのでしょうか?まあ、あの大学だと参考にはならないかも知れませんが。
by apj at 2009-07-09 08:18:09
無期限ってくせ者ですよ
摂津国人さん、
>そういえば京都教育大学の件は「処分保留」つまり法的には「無罪」になるらしいのですが「無期限停学」だとか。
無期限、って実はけっこうくせものじゃないですかね。
最初から、停学10ヶ月とか決まっていれば留年確定なんですが、「無期限」と、講義にでれなかった分のフォローをうまいことやる、という「教育的配慮(笑)」で、留年させずに卒業させることが可能になったりしそうですね。十分反省しているからこれで終了、とか出来ちゃいそうです。
つまり、準強姦をするような人達でも、1年遅れがなければ、見た目問題なしに見せかけることができるわけです。一連の対応で、京都教育大は特に信用できないことがはっきりしたわけですから、今後どういうゴマカシをしてくれるか期待(?)が高まります。
一留させないための布石じゃないかと思うのは私だけでしょうか。何だかずるさしか感じないんですけど。
by Isshocking at 2009-07-39 03:15:39
Re:処分も指導も不要なケース
摂津国人さ:、
>そういえば京都教育大学の件は「処分保留」つまり法的には「無罪」になるらしいのですが「無期限停学」だとか。
処分保留は無罪確定とイコールじゃないですよ。起訴するに足る証拠が確定的でないので、起訴を「保留」なのです。すぐには起訴しないで今しばらく捜査を続ける、ということです。被害者の方は騒ぎを大きくしても2次被害が大きくなるだけなので、学業上も生活上もメリットなさそうですから、詳細な証言などしたくもないだろうし。
by 摂津国人 at 2009-07-23 07:37:23
ヤツラを弁護するつもりはありませんよ
Isshockingさん
いや別に無実だとかそんなことが言いたい訳ではないですよ。
今回の話は大学側の処分が、それが学外の行為でその時点で違法行為が認められていないと法的にされても(推定無罪ですよね)大学が独自に裁量で処分が可能かと言う部分についての話なので、寧ろ公立大学だと退学は出来ないのでしょうが、apjさんも言われている通りこれが民事訴訟に耐ええる法的根拠の有る処分といえるのかとの疑問です(弁護士や文科省にも相談しているのでしょうか)。
多分この連中の氏名は全国の教育関係者の中で「有名」になるはずなので京都教育大学の出身者だと、直ぐに「身元を洗われ」万一卒業できてもどこも雇わないのでしょうね。
by 摂津国人 at 2009-07-24 07:49:24
よく考えると
しかし、もし退学させてその処分が「無効」だと連中が訴えたとしても、刑事とは別に事実を争う事も出来るはずだから「退学」も可能だったのでしょうか。
by 青木裕一 at 2009-07-45 09:41:45
飲酒でなく喫煙で退学処分なら聞いたことがあります
私が高校生の頃ですから今から30年以上昔のことです。
茨城キリスト教大学(?短期だけだったかも)では、学内でタバコを吸ってるのが見つかると退学だと聞いたことがあります。いまでもその大学が残ってるのか、その校則が生きてるのか、それは知りませんが、この大学は牧師さんを育てるのが目的みたいな特殊な大学なので、参考にはならないかもです^^;
しかしまあ、不純異性交遊を理由に処分するんだったら「男子たる者かくあるべし」みたいな規範を示しとかないと(笑) 規範もなければ指導しようにもできず、困ると思います。
メンツだけ気にしてるということなのかなぁ・・・