ヘンテコが増えすぎるとまともな業者まで足を引っ張られる
紫外線と触媒を用いて水処理を工夫すると殺菌効果がみられるのでメカニズムを知りたいが分析可能か、という問い合わせがあった。私のところでは設備もノウハウもないので、その旨お返事し、ラジカルの分析をしているところを探すなどした方がよいのではないかと回答した。
すると、その返事に、いろんな研究機関に問い合わせても、似たような話が既にいっぱいあるためあまり相手にしてもらえない、といったことが書いてあった。
どう考えても水に変化なんか起きないだろうという水処理の原理を考え出して、水の「活性化」が起きたと言い張って、試験研究機関に持ち込む有象無象の業者がたくさんいる。おそらく、試験研究機関側には、根拠のない水の「物理的変化」の話題に、うんざりしている人が多いのだろう。このため、物質の同定と定量をすれば普通に説明できそうなものまで、冷たい扱いを受けてしまっている模様。
再度のアドバイスでは、「水の変化」ではなくて、「化学反応」であることを強調し、あくまでも物質の種類と量を知りたいという話の持って行き方をしてはどうか、と書き送った。
まっとうな企業の宣伝はミラクルなものには見えないため、インチキでもミラクルな宣伝をする企業に、消費者へのアピールの点で負けてしまうことが多々ある。今回のは、製品開発のところでも、インチキ企業が多いために足を引っ張られている例ではないか。
ここからは旧ブログのコメントです。
by まいまい at 2009-08-07 06:50:07
お役目にあらず
少なくとも地方自治体の一部では、オープンラボをうたっていますから、施設(場合によっては電源と机のみ)を貸し出すくらいはすることが多かったです。
ただし、最終的に「○○技術センターにて解析」などと宣伝されることは嫌われるようになっています。
技術系部署をリストラしたかったのに、共同研究・研究開発組織として延命してしまったので、「試験して(効果を確かめて)お墨付きにする」のはすでに業務ではないと位置づけられているところも多いのが理由です。
地方分権なんて言ってますが、つい昨日までは「お国に研究機関があるんだし、無くてもいいでしょ」が地方の理系部署の位置づけでした。
行政に自前の科学的裏付けは不要なんでしょうねえ。
by apj at 2009-08-43 20:46:43
補助金出す側が騙されるようでは困るんですがね
まいまいさん、
>「お国に研究機関があるんだし、無くてもいいでしょ」
自前で分析装置を取りそろえることが困難な中小企業を支援する、ということが不要になるとは思えないんですが、それは国が地方に出先機関を作ってやれ、ということでしょうか。大手の分析会社を使え(但し値段も高いけど)、という考え方もあるでしょうけど、力の弱い中小企業のスタートアップには厳しいかもしれません。
しかし、地方のお役所経由で補助金を出したりしているわけで、自前の科学的裏付けを持ってもらわないと、ニセ科学に基づいた製品開発企画に、税金が投入されかねなないので困るんですけど。どうするつもりなんでしょうかね。