荷物を探し回る
今週は学生を引き連れてお茶の水大で実験をしている。連休の間もいろいろ用事があって、その後は物理学会に行くことになっている。たまたま、通販で小物を買ったのだが、こういうスケジュールで動いているため、自宅に配送されても受け取れない。品物は金曜日には届くようにできるということだったので、お茶の水大の冨永研究室宛に届けてもらうように手配した。研究室内の人にも、事情を説明して、私宛のモノが来たら受け取りをよろしく、と頼んでおいた。
ところが、昨日ずっと待っていたのだが荷物が届かない。伝票番号でウェブで状況をチェックしたら配送済みになっている。仕方がないので、問い合わせフォームからで、一体どこに配送したのかということと、伝票の受け取り人の署名に何と書かれているかを教えて欲しいと連絡した。
朝になっても返事が来ていなかったので同じことを電話でコールセンターに連絡。二十分ほどで電話があって、「昨日午前十一時半頃大学に届けたが誰もいなかったので本部1階に届けた。署名は○○と書いてある」ということだった。ところが、昨日の午前十一時半、私も後輩も学生もみんな研究室に居て仕事をしていた。その状況で配達担当者に誰も遭遇できないというのは考えがたい。
とりあえず大学まで行って、正面本部棟と一緒になっている講堂が開いていたので中に入った。事務室の扉の外に座席表が貼ってあるが○○さんは居ない。そこで、もう一度電話で「実際どのへんにあった建物に届けたのか、昨日の十一時半なら私や他の人達が誰かしら研究室には居たはずなのに不在だったとは一体どういうことなのか」を問い合わせた。
その連絡を待っている間に、守衛所に行って相談してみたところ、○○さんは教務のある別の建物の1階で仕事をしている人ではないかということがわかった。たまたま今日は工事のため、その事務棟の鍵が開いているとのことだった。そこで守衛さんに頼んで一緒に事務棟に行ってもらい、事務室の中を確認したところ、確かに○○さんの座席の脇に冨永研究室・私宛の荷物が置かれていた。事務が業務を始めるのは連休明けになるが、その頃には私は熊本にいる。後から転送ということになると、うっかり受け取った事務官にも責任が発生してしまい、誰が費用を負担するかで揉めるのが目に見えているので、今日この場で何とか引き取りたいという相談をした。誰かに余計な責任を発生させるのもまずいと思ったので、私の身分証のコピー(本人が引き取りに来た証拠)と状況説明の文書をセットにしたものを2部作って署名捺印し、守衛所と事務官にそれぞれ提出し、守衛さん立ち会いのもとで無事荷物を受け取ることができた。配送したJPエクスプレスの営業所にも、荷物発見の連絡をメールで入れておいた。
伝票番号のついている荷物は研究室に直接届くのに、どうして今回は勝手に受け取るという余計なことをして、余分な手間を発生させたのかというのが残る謎だった。事務が受け取りを拒否してくれていれば、荷物の行方はJPエクスプレスと私の問題に過ぎず、大学が巻き込まれる展開はあり得ない。これでは面倒事を敢えて発生させているようにしか見えない。
まあ、無事荷物も受け取れたしなあ、と思って別の作業をしていたら、夕方、JPエクスプレスから電話があった。
「お茶の水大内への配送担当者は、研究室と建物・部屋番号の対応表を持っている。対応表によると冨永研究室は300番台の部屋番号になっていたが、その番号は対応表から線を引いて削除されていた。そのため事務に問い合わせたが、事務でもその部屋の情報は削除されていたので、事務が一旦預かることになった。電話番号が伝票に書かれていたが一桁足りなかったのでどこに電話していいかわからなかった」
ウチの師匠の部屋は、理学部の200番台の番号がついていて、私が在学していた20年以上前から変わっていない。
考えられる可能性は次の通り。ちょっと前までもう一人別の冨永先生が学内に居て、お互いによく荷物が間違って届いていた。別冨永先生は既に定年退職し、その時に、三百何番かの部屋番号が住所録から削除されたに違いない。その削除された方を見てしまったため、もう一人冨永教授が居るということを担当者が見落としたのかもしれない。荷物を持ってこられた事務の人は、居なくなった方の冨永先生のことだと思い込んでいたかのもしれない。結果、サインして受け取ってしまい、既に退職した別冨永先生宛と思っていたのなら、ウチの師匠宛に荷物を受け取ったという連絡もしないまま休暇に入ってしまっても不思議はない。電話番号が一桁足りなかったのは、多分、偶然起きた何かの手違いだろう。こんな内容を説明してやりとりが終了した。
手違いが1つだけなら何とか対応ができても、手違いが2つ以上重なるとうまくいかないということなのかもしれない。