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講義メモ:キトサン

Posted on 10月 6th, 2011 in 倉庫 by apj

 47Newsの記事より。

出版社元社長ら5人逮捕 「がんに効く」と宣伝容疑

 「がんに効く」と本で宣伝して健康食品を無許可販売したとして、神奈川県警は6日、薬事法違反の疑いで、東京都新宿区の出版社「現代書林」の元社長武谷紘之容疑者(72)=長野県軽井沢町=と、東京都八王子市の健康食品販売会社「キトサンコーワ」社長国安春子容疑者(65)=八王子市=ら5人を逮捕した。

 逮捕容疑は、5人は共謀して2009~10年に「医師・研究者が認めた私がすすめる『水溶性キトサン』」と題した本を発行し、6カ所に送って未承認医薬品の健康食品「キトサンコーワ」を広告。

2011/10/06 11:58 【共同通信】

 体験談を載せたいわゆる「バイブル本」で宣伝したということらしい。現物を売った側は薬事法違反か……。本の監修者や著者にも網をかけたいところ……と思ったら網かかってました。

 asahi.comより

「がん消えた」本に効能、食品販売容疑 65歳社長逮捕

 医師の証言や患者の体験談を紹介した本で「がんが消えた」などと効能をうたい、健康食品を販売したとして、神奈川県警は6日、健康食品販売会社「キトサンコーワ」(東京都八王子市)社長の国安春子容疑者(65)を薬事法違反(医薬品の無許可販売)などの容疑で逮捕した。

 また、この本を発行した出版社「現代書林」(東京都新宿区)元社長の武谷紘之容疑者(72)や、著者のフリーライター石田義孝容疑者(54)ら計4人も同幇助(ほうじょ)容疑などで逮捕した。

 石田容疑者はおおむね容疑を認め、ほかの4人は否認しているという。

 しかし監修者がどうなったかはこの記事でもわからないなぁ。

【追記2011/10/18】
 asahi.comの記事より

健康食品の本監修した元医師を書類送検 薬事法違反容疑
 「がんが消えた」などと本で効能をうたい、健康食品「キトサンコーワ」を販売したとされる薬事法違反事件で、神奈川県警は18日、本を監修した鹿児島市内の元医師の男(63)を薬事法違反(承認前医薬品の広告)容疑で横浜地検に書類送検し、発表した。

 元医師は「広告や宣伝にあたることは知っていた」と話しているという。

 元医師は今年6月、朝日新聞の取材に、「知人に頼まれて名前を貸しただけで、本の内容は一切知らない」などと否定していた。

 監修者は書類送検になったようです。

【2011/10/28】
 日本経済新聞の記事より。

薬事法違反で社長ら3人起訴 がん効能本巡り横浜地検
2011/10/27 11:24

 横浜地検は26日、未承認医薬品の健康食品を「がんに効く」と本で広告するなどしたとして、薬事法違反の罪で東京都八王子市の健康食品販売会社「キトサンコーワ」社長、国安春子容疑者(65)と東京都新宿区の出版社「現代書林」元社長、武谷紘之容疑者(72)ら3人を起訴。同罪で法人としての両社も起訴した。

 また本を執筆し、薬事法違反容疑で逮捕された千葉県市川市のフリーライターの男性(54)や、本を監修し同法違反容疑で書類送検された鹿児島市の医師(63)ら3人は不起訴にした。〔共同〕

 監修者不起訴ですか。公判維持は難しい?


ここからは旧ブログのコメントです。


by mimon at 2011-10-39 07:49:39
今のところ

監修者は、検挙されていないようです。
逮捕者5人のうち、健康食品販売会社社長と出版社元社長以外は、J-CASTによりますと、
http://www.j-cast.com/2011/10/06109325.html
> ほかに逮捕されたのは、現代書林の社員と元社員、それに本を書いたフリーライターだ。
とのことで、監修者は本物の医師のようですから、今回の逮捕者に含まれていないと思います。
私のヤマカンでは、同時に著者が逮捕されたのは、それまでの捜査段階で「体験談」をでっち上げたことを自白したからで、今後の調査が進んで、「医師と研究者の証言」のほうを監修者がでっち上げていたと分かったら、追加で検挙される可能性もありそうです。
なお、問題のバイブル本のアマゾンへのリンクは、これですから、
http://www.amazon.co.jp/dp/4774504327
監修者の氏名は、すでに明らかです。


by mimon at 2011-10-11 06:20:11
書類送検

毎日新聞によりますと、
http://mainichi.jp/select/jiken/news/20111018k0000e040039000c.html
> 本を監修した男性医師(63)=鹿児島市=を薬事法(未承認医薬品の広告禁止)違反容疑で横浜地検に書類送検した。

容疑を認めているようですが、監修者が作り話をでっち上げたわけではないとのことです。
薬事法では、実話でも作り話でも、「宣伝」自体がダメなわけですけれども、「犯意」からいうと、でっち上げた者の方が起訴されやすそうに思えます。


by apj at 2011-10-10 04:19:10
Re:講義メモ:キトサン

mimonさん、

 安易に名前を貸すようなことをすると危険、というのがもっと知れ渡った方がいいと思います。
 肩書きの効果に騙されて商品を買った消費者に、後から賠償請求されるといったことが起きるようになれば、少しは歯止めになると思います。本当に悪質なのは減らないでしょうが、監修者で安全な立場で金儲けできる、と、軽い気持ちでやる奴は減るだろうと。