apjとは何か?

 私はいくつかの場所にアカウントを持っているが、ユーザー名としてapjを使っている。実際の姓名をどう略してもapjにはならないので、「apjとは何の略か」とか「なぜapjなのか」とよく訊ねられる。ひどいのになると「AppleJapanの略ですか」だって。

 apj はAnax parthenope julius BRAUERの頭文字で、ギンヤンマの学名である。私は、虫屋としてはほんとに素人だけど、特にトンボが好きだ。小さい頃から私の友達は虫だったし、今でも虫は尊敬と興味と愛情の対象だ。無事に学位を取って、どうにか研究を続けていられるのも、多分虫のおかげではないかと思う。ついでに言うと、ときどき自分がヒトの仲間ではなくて虫の仲間ではないかとさえ思う。(ってことで,トンボの写真集のページ「田中 博の「トンボと花のギャラリー」」は私にとって感涙モノです。)

略歴

氏名天羽 優子 (Yuko AMO)
学歴
1985年3月滋賀県立虎姫高等学校卒業
1985年4月千葉大学理学部物理学科入学
1989年3月千葉大学理学部物理学科卒業
1989年4月お茶の水女子大学大学院理学研究科物理学専攻入学
1991年3月お茶の水女子大学大学院理学研究科物理学専攻修了
1991年4月東京大学大学院医学系研究科第一基礎医学専攻入学
1995年3月東京大学大学院医学系研究科第一基礎医学専攻修了
同時に博士(医学)の学位取得(博医第989号)
2000年9月論博で博士(理学)の学位を取得(乙第128号 博士(理学) お茶の水女子大学)
職歴
1995年4月-2001年3月東京大学先端科学技術研究センター 協力研究員
1996年4月-1998年3月科学技術庁放射線医学総合研究所 客員協力研究員
1998年4月-2000年9月東京都立航空工業高等専門学校 非常勤講師
情報処理演習、数値計算などを担当。
2000年4月-2004年3月放送大学非常勤講師。日常の物理(学生実験)担当。
2000年10月-2003年3月大阪大学ベンチャー・ビジネス・ラボラトリー 講師(中核的研究機関研究員)
2003年4月-2003年9月 広島大学大学院理学研究科化学専攻 分子反応化学講座 助手
2003年10月-山形大学理学部物質生命化学科 助教授
以上
現在の専門

 物性実験。凝縮系物理。高周波誘電緩和法とレーザーラマン分光を手段としている。最近は、液体の低振動数ラマン散乱のスペクトルを、統計物理の観点から解釈しなおす研究をやっている。超臨界の水やアルコールにも手をだしつつある。

 医者ではないし、生体や生物そのものを使った研究にも全く興味はない。医学系に進学したのは単にタンパク質などの生体関連の物質を適切に取り扱う技術を身につけるためである。

 山形大では液体の研究を継続する予定。運良く補助金をゲットしたり、企業の研究委託があったりで、何とか干上がらずにやっている。先輩が退職したので、分光器を1台譲ってもらって立ち上げ中。

 「水商売ウォッチング」のせいで、「ニセ科学について考える」「科学リテラシー」というのが、サブテーマになりつつある。

所属学会:日本物理学会,溶液化学研究会,ジャパンスケプティクス
学術団体とはかなり趣が異なるが、2005年夏前に「と学会員」となった。



署名について

 

 ネットニュースに投稿する際に、私は以下のような署名を使っている。

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「大丈夫。医学がだめでも科学があります。歩けるどころか、
    空だって飛べるようになりますよ....」
         天羽優子 居候先:お茶の水女子大学 大学院人間文化研究科
            複合領域科学専攻 冨永研究室
         (y.amo)                apj@atom.phys.ocha.ac.jp

 これが、以前fjで議論になったことがあった。「身体障碍者を傷つける表現である」というのがその理由だった。そのときは、身体障碍者に対する差別意識は全く無いこと、もともとアニメのパロディマンガのネタであることを説明した。で、私がウェブページを持ったときにはこの署名についての解説を乗せるなどして欲しいという要望が出され、私はそれを受け入れたのだがなかなかウェブページを作る機会がなかった。ともかく約束をしたのでここに書くことにする。

 元のネタは、「アルプスの少女ハイジ」のパロディマンガである。登場人物である足の悪い少女クララを診察した医者に「残念ながら現在の医学では....」と言われて、クララの母親が悲嘆に暮れている。ところがこの医者がとんでもないマッドサイエンティストで、「大丈夫。医学でだめでも科学がある」と胸を張って言い出すのだ。えっ?科学って一体?と目を点にしている母親の前で「歩けるどころか空も飛べる」と断言した医者は、クララを手術室に連れ込んで.....クララの悲鳴とすごい音が聞こえるシーンでマンガは終わっている。きっとロボコップや仮面ライダーとかサイバーみたいな改造人間にされたに違いない。

 特撮とアニメが大好きなので、このノリにはまってしまった。ここでいう科学は、現実の科学ではなくて特撮・アニメの中の「すごい科学」(by 長谷川裕一「すごい科学で守ります」)の方だ。「すごい科学」は、簡単に改造人間が作れたり、ロボット型兵器が隊列を組んでいたり、空間を曲げてみたり、ということを可能にする。

 さて自分の状況を見ると、医学の研究ではさんざんな目にあった分を物理学の研究で挽回しつつある。博士過程の時だって、動物実験のテーマは指導教官の見込み違いで見事につぶれ、私は実験物理の知識に頼ってどうにか自分の仕事をやって学位取得にこぎつけたのだった。上のセリフの元ネタとは全く別の意味で、私にとっては医学がだめでも科学があったのだ。

 ともかく2重の意味で気に入ったので、上のセリフを署名に入れている。身体障碍者に対する差別の意図は全くない。セリフも一つの表現である以上、それによって「傷ついた」と主張する人が出てくる可能性はあると思う。その場合にはオープンに議論に応じるつもりだ。



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