透明名刺の作り方

目次

 ※名刺の雰囲気を再現するため、名刺の画像は透明GIFになっております。また透明GIFであることを見せるために、このページは背景にGIF画像を表示するようになっております。

はじめに

 仕事で人に会う機会も増えてきたし、就職活動のため日頃の営業もせにゃいかんし、ということで名刺を準備することにした。業者に頼むとそれなりに金がかかるし、身分が不安定でいつ所属が変わるかわからないからまとめてたくさん作っても無駄になりそうだったので、自分で手作りすることにした。

 2年ほど放医研で仕事してたときに、電総研の佐藤さん(ysato@etl.go.jp)に透明な名刺をいただいた。それが大変インパクトがあったので、佐藤さんにアイデア拝借の許可を得て、私も透明名刺を作ることにした。佐藤さんの名刺は、いわゆる普通の名刺のデザインで白黒だったので、私はちょっと差をつけようと思ってちゃんとカラーにすることにした。

名刺のデザイン

 これが、私の名刺のデザインである。左側が低振動バージョン、右側が高振動バージョンである。

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 やっぱり、名刺をわざわざ手作りするからには、私が何をやってる人か一目でわかるようなものにしたい。そのためには仕事の内容をそのままあらわすようなデザインにしたい。そう考えて、名刺の背景に水のラマン散乱のスペクトルを入れることにした。そのあと、所属や連絡先を、スペクトルができるだけ見えるように配置した。透明名刺なので、裏側に英文で所属と名前を書くということができないから、日本語と英語を並記したら、なんだか込み入ってしまった。

 スペクトルを入れたのは正解だった。研究会などでこれを出したあと、「このスペクトルでこういうことが問題で、こんな実験してて....」とその場でデータを見せながら議論ができる。

製作環境

 Macを使って作業した。背景となるデータは、普段測定しているものの1つである。これをデータ処理に使っているIgor Proというソフトでちゃんとグラフにし、グラフの軸、データ点などをすべて黄色にしたあと、PICT形式で保存した。PICTは他のファイルに貼りこんだあとで拡大縮小すると絵がきたなくなるので、大体名刺サイズのPICTになるように調整した。クラリスドローでこの名刺1枚分をデザインした。まず背景を入れてから文字部分を入力した。

 プリンタのインクの色にない色はインクをまぜて印刷するが、プリンタによっては色の混合が小さなドットを混ぜることで行われる。この名刺のサイズだと、小さなフォントのところで混合が起きると文字がぎざぎざになってよろしくない。それで、使う環境にあわせてできるだけプリンタのインクそのもの(原色)で印刷できるようにフォントの色を決めた。高くて性能のよいプリンタを使えるならこんなことは気にしなくて良いのだが。

 インクジェットプリンタの場合はOHPシートの透明度の高いものを使うようにした。インクジェット用のOHPシートはEPSON製のように白っぽく曇ったものと、HP純正品のようにインクを定着させる加工で多少ざらついているが透明なものの2種類があり、透明な方が仕上がりがきれいである。

 おすすめはシンコーのインクリボンを使うタイプのプリンタで、専用OHPシートは透明で、インク定着の加工がインクジェット用のとは違って汚れがつきにくかった。ランニングコストと価格の割に仕上がりが悪かったのがテクトロニクスのPhaserで、シートが2層になっていてかなり厚く透明度も悪かった。

 ともかく名刺8枚をA4のシートに印刷し、カッターで線に沿って切るとできあがりである。

 

波及効果

 一時期、佐藤さんと同じ会議に出ていたことがある。全部で20人近くが出ている会議だった。ある日、担当者(お役人)が変わって、あいさつということで名刺の交換をした。まず佐藤さんが白黒の透明名刺を出し、続いて私がカラーのデータ入り透明名刺を出した。それを受け取った新任担当者の微妙に困った表情はなかなかに良かった。この人数で透明名刺を出す奴が2人も居るって、一体どういう連中の集団かと思ったに違いない。

 この名刺は、格式張った人を選別する効果がある。名刺を受け取って不真面目だと怒り出すような人とはつきあわないに限ると私は思う。幸いにして、大学の、特に物理学関係者で怒り出す人にはまだ会ったことがない。師匠に至っては、私がこの名刺で営業してると横から「キャラクター丸出し」と抜かす始末で、こっちは就職活動中で営業しているのでもうちょっとフォローしてほしいのだが、ちっともフォローになってない。

 それどころか、うっかり物理屋に渡すとしっかり使われる。物理学会の化学物理の会場で、セッションが始まる前にこの名刺を渡していろいろ研究の話をしていたら、発表のときに、

「冨永グループのラマンのデータはこんな形ですが、見えますか」

とOHPの上に置かれてしまった。おかげで私の所属も名前も、会場のスクリーンに大写しで、師匠はずっこけるし私は恥ずかしいし、どうしようかと思った。



 さて、私が参加しているML(参加者はコンピュータ業界の人&大学関係者が多数いるらしい)名刺の話が出た折りに、OHPで写された話を書いた。そしたら主催者様から「そういう由緒ある名刺ならほしい」と言われたので、サンプルを郵送した。主催者様も透明名刺を試しに作って、それがかなり受けたという話をウェブページに書いた。で、参加者(の一部)がなぜか透明名刺作りに精出しはじめて、このあいだの忘年OFF会は透明名刺の交換会となってしまった。私は透明履歴書も作って持っていった。忘年OFF会の会場のすぐ近くが主催者様のオフィスで、2次会が会社見学会&透明名刺製作会になった。そういえば、プレ新年会も同じ会場だったが、宴会が始まる前に主催者様のオフィスになだれこんで透明名刺を作ってから宴会に出席する人も出たようである。

 本番(?)の新年OFF会が、1999/02/12に開催されたが、透明名刺の人がだんだん増えつつある。主催者様の、遅い新年会では透明名刺が多数集まった、をどうぞ。

【追加情報(2001/09/06)】
 ラベルで有名なエーワン株式会社が、透明名刺用のシートを商品化して販売しました。



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