雑記帳
朝顔(2002/12/28)
冨永教授と食事をしていたら,文章の読解力の話になった。国語のテストで,「作者がいいたかったことは何か」といった設問がよくある。実際に学内某氏の文章が試験問題に使われてこの設問の対象になったが,正解とされた内容は作者の言いたいこととは全く違っていたというオチである。そもそも,書いた文章に対して「作者がいいたかったことは何か」などという設問をくっつけられた時点で,読んでもわからないような文章を書いて情報伝達に失敗したことを意味すると思うのだが,文章表現についてはまだまだ修行が必要でありあまり人のことは言えないので,ともかくそれはさておき。
その某氏が国語の時間にバツをもらった話の又聞きである。
朝顔につるべ取られてもらい水
という有名な俳句がある。これの意味するところを書けという問題が国語の授業で出た際に,その某氏は
朝顔のらせんと井戸の円とつるべの直線の織りなす見事な幾何学的紋様である
と書いて見事にバツをもらったらしい。なぜこれがバツかはよくわからないのだが,上記の俳句の状況を果たして何通りに解釈できるか?という疑問が浮かんだ。
- 朝顔につるべをとられたからといって慌てる必要はない。朝顔はつるべの動きを止めるほど頑丈ではない。(機械系。つるべを動かすのが物理的に不可能だとは誰も言ってないのだが・・・)
- つるべをとられたからといってもらい水に行く前に,その朝顔にちゃんと支柱をたてて,朝顔を支柱の方に移すべきである。(農学系)
- 当時の状況からすると,井戸は毎日使うものだから,当然夕方も使ったはずである。朝起きてみたら朝顔につるべをとられていたと読みとれ,朝顔の成長速度が早かったことを示している。予測された成長速度が妥当なものかどうかについては追試が必要である。(生物系)
- 朝顔の成長速度などはたかが知れているので,つるべをとられたということは,普段からその井戸を使っていなかったことを意味する。朝顔を口実にして水をもらいに行ったという話である。行った先の家に何か別の用事(=きれいなねーちゃんorかっこいいにーちゃんに会う)があったのかもしれない(疑い深い生物系)
- 朝顔にまともな支柱を立てるのをさぼったからつるべをとられるハメになったのであり,もらい水に行くのが遠いし面倒くさくても,それは自業自得である。段取りの悪さを反省しなさい。(道徳系?こう書くともとの俳句が単なる愚痴に見えてくるな・・・・)
- 誰だこんなところに朝顔を植えたのは?(井戸の持ち主)
- つるべに巻き付いているのもまたオツな姿である(朝顔愛好家)
- 朝顔を引き抜いて撤去しない姿勢がすばらしい(自然保護団体)
- え?朝顔がつるべを引くのは無理じゃないの?(勘違い型)
思いついたらまた追加していこう。とにかくいろいろ考えてみたが,立場によって随分受け取り方が違ってきそうだということがわかった。そういう俳句である以上,意味を述べよ等と設問して,答えを一通りに決めること自体が間違っている気がする。
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