科研費申請書をTeXで作ろう!Mac版:OSX
はじめに
ここでは、MacintoshでTeXを使って科研費申請書類を作るための情報をまとめる。システムがMac OS Xになってから、使うTeXも変わったので、関連情報のリンクを中心に紹介する。
2001年秋の科研費募集から、申請書類がMSWord, 一太郎、pdf形式で配布されるようになったが、MacintoshではWordが不安定で書類作成中に頻繁にフリーズしたり、書類の枠が壊れたりして困った人も多かったのではないかと思う。また、ワープロファイルに費用を書き込む方式だと、あとで研究費の配分をちょっと変えた場合、いちいち電卓をたたいて計算することになって手間もかかる。一方、TeXを使うと、基本的にテキストファイルの編集のみで済むし、研究費も項目を埋めていけば1ページ目の各年度ごとの表には自動で数値が入るし、途中の小計も全部計算してくれて大変楽であり、事務の計算チェックの手間も軽減することができる。
科研費マクロ(TeXで科研費申請書類の書式を作るためのフォーマットファイル)一式は、ボランティアによって毎年製作され、保守がなされている。
必要なもの
TeXを使って科研費書類を作るには、以下のものが必要である。
- Macで動くTeXプログラム
自分でソースをとってきてコンパイルするのは初心者には厳しいので、すでにコンパイル済みのパッケージを使う。関連情報は、pTeX
package for MacOSXにまとめられている(桐木さんが作ったパッケージのOS
X 10.3用、OS X
10.4用をそれぞれミラーした。サイズが大きいので、細い回線からのダウンロードはやめた方がよい。)。なお、桐木さんのページには、参考になる情報が多数掲載され、フォーラムでも情報交換が行われている。
- ファイルを編集するためのエディタ(ワープロ類似のソフトだが、ファイル編集に特化したもの)。
私は普段miというエディタを使っている。作者の上山さんのページはここ。
- 科研費マクロ
京都大学の基研のサーバーが一次配布元(ダウンロードはftpダウンロードをまず行うこと。キャッシュの関係でhttpダウンロードでは古いファイルをダウンロードしてしまうことがある)。当ページでは、Macで使えるように日本語変換したものを用意した。
ダウンロードとインストール
- TeXパッケージ
本サイトのミラーか、本家の桐木さんのページから、OSXのバージョンに対応したパッケージをダウンロードする。できた.dmgファイルをダブルクリックすると、ボリュームとしてマウントされる。中にある.pkgファイルをダブルクリックするだけで、必要なファイルが必要な場所に自動的にインストールされる。ただし、UNIXのファイルとして、/usr/local/shareの下および/usr/local/binの下に実行ファイルやフォント等が入る。そのままでは、Macのファインダーからは見えない、つまりアイコンをダブルクリックして実行したりはできないことに注意。
- 環境設定
OS Xからは中身がBSDなので、実行ファイルのパスを通さないといけない。UNIXになれてる人ならシェルの設定ファイルをいじればよい。何がなんだかわからない人は、tertimelogicのページからa
match in her pocketをダウンロードする。a-match-in-her-pocket.dmg.hqxの圧縮を展開する(Stuffit
ExpanderにD&Dするだけ)とa match in her pocket folderができるので、その中のa match in her pocket
v0.51を適当なフォルダにコピーしてダブルクリックする。ウィンドウが開いてボタンが表示されるので、真ん中のconfiguration onlyをクリックする。これで、/usr/loccal/bin以下の実行ファイルへのパスが通る。
(OSのセキュリティアップデートをかけた後は、a match in her pocketを実行すること。時々、Ghostscriptが呼び出せなくなってpdfファイルに図が入らなくなったりするので・・・)
- DVIビューア
慶応大の内山さんのページから、msdviの最新版をダウンロードする。mxdvi0273.tar.gzファイルができるので、このファイルをStuffit
ExpanderにD&Dする。mxdvi0273というフォルダができて、中にmxdviというアプリケーションがある。フォルダごと、アプリケーションフォルダなどの適当なところに移動させておく。
- エディタ(miを使う例。他のものを使いたい方はご自由に・・・)
miのページから最新版をダウンロードする。OSX用をダウンロードすること(当然か^^;)。mi2.1.6.dmg.gzというファイルができるので、tuffit
ExpanderにD&Dする。自動的にmi2.1.6Jというボリュームができるので、中にあるmi2.1(OSX)というフォルダを丸ごとアプリケーションフォルダにコピーする。miを一度動かしてみてから終了する。これをやらないと、婦リファレンスファイルがうまくできないかも。
- コンパイル支援ツール(他にもあるけど、私が使ってるのがこれなので・・・)
たとえば、Tex
Tools for miをダウンロードしてインストールする(Script Gallery→mi Scriptと左側のメニューをたどるとツールのページにたどりつける。)。ダウンロードして展開した後の手順は、マニュアルに従って、必要なファイルを、自分のホームディレクトリのLibrary/Preferences/mi/modeフォルダ以下に適切に配置する。入れる場所を間違えるとうまく動かないので、マニュアルの説明とよく見比べながらやること。これで、miのメニューからTeXコンパイラを呼びだせるようになる。うまくインストールできたら、miを動かし、何でもいいから新規ファイルをTeXモードで作る。すると、TeX関係のメニューが呼びだせるようになるので、ツール->TeX
Toolsの設定を選ぶ。
設定は以下の通り:
「次のコマンドを使う」を選んで「/bin/bash」を指定、「非ASCII文字をエスケープする」をチェックする。初期実行コマンドは「source ~/Library/Preferences/mi/mode/TEX/initialize.sh」。端末の色とかはどうでもいいので略。
タイプセット:/usr/local/bin/platex -src-specials -interaction=nonstopmode
DVIをPDFに変換:/usr/local/bin/dvipdfmx
DVIをPSに変換:/usr/local/bin/dvips
ebbコマンド:/usr/local/bin/ebb
BibTeXコマンド:/usr/local/bin/jbibtex
DVIプレビューは「Finderで開く」を選択。
- コンパイル支援ツールを動かすための設定
ホームディレクトリに「.inputrc」というファイルをつくって、以下の内容を書き込んで保存する。
set convert-meta off
set meta-flag on
set output-meta on
- 科研費マクロMac版(ここのファイルは随時更新されることがあります)
ダウンロードしたファイルを展開する。k2005_for_macフォルダができ、この中にmacroフォルダができるので中を確認。src.texが編集するべきファイルである。
はじめてのコンパイル
- macroフォルダの中のsrc.texをmiエディタで開く。
- miエディタのツールメニューから、コンパイル->タイプセットを選ぶ。
- コンパイラサーバが動いて(Dockに表示される)、新しいターミナルウィンドウが開いてコンパイルを開始。終了後にmacroフォルダの中に、src.dviができていることを確認。
- miエディタのツールメニューから、コンパイル->プレビューを選ぶ。科研費の書式が表示されればOK。もし表示されない場合は、macroフォルダを表示させ、src.dviを選んで、ファインダーの「ファイル」メニューから「情報を見る」を選ぶ。情報が表示されるので「このアプリケーションで開く」の内容を展開(左側の三角形をクリック)、直下のプルダウンメニューから、Mxdviを指定し、「すべてを変更」をクリックする。
- 図を入れたが出ない、というときは、MxdviのViewメニューから、EPS Viewを選んでチェックされた状態にする。
印刷の方法
- Mxdviの印刷メニューから直接印刷できる。
- プリンタとの相性などでMxdviからうまくいかない場合は、コンパイルした後で、「DVIをPDFに変換」をmiのメニューから実行して、pdfファイルにしてから、AcrobatかMac付属のプレビューで印刷する。また、Mxdviの印刷メニュー実行->pdfファイルで保存を選ぶ->できたpdfファイルを印刷、といった方法もある。
top pageへ戻る
Y.Amo /
当サーバ上のページに関する問い合わせや苦情のメールは公開することがあります。