水商売追加情報

吉岡氏とのやりとりー2(2003/12/09)

 またまた吉岡氏からメールが届きました。「磁気水」「磁化水」は適切じゃないということで,私も同意したので,ページタイトルを「吉岡氏とのやりとり」に変更しました。ただ,直前のものは履歴も残して有るので,そのままにしておきます。

Delivered-To: apj@atom.phys.ocha.ac.jp
From: 健康と環境の神戸クラブ <kenkanko@post.nifty.jp>
To: <apj@atom.phys.ocha.ac.jp>
Subject: ご質問への回答です
Date: Tue, 9 Dec 2003 18:21:05 +0900

>磁気水の効果を主張するメールが来た・・・と思った

私は磁気水という言葉は使いません。
磁場を通った水、と言っています。
水は、ふつう測定されるレベルでは磁気を帯びませんから、
磁気水とか、磁化水という表現は適切ではないと思っています。

>メールの前半で,マイナスイオン水だけで生活する人が
>吉岡さんの仲間だけで10万人以上で来年には20万人に達するし
>5年かけて疫学調査もするって主張しておきながら,
>メールの後半で私がコメントしたことで製品が売れなくなるって主張するのは
>一体どういうことなのか。売れてるじゃん,十分。

メールの前半は、起こっている現象についてご紹介しています。
そのうちの、健康に関する現象については、
世間を説得するためには疫学調査をするのが効果的であり、
それを実施するつもりだと述べています。
10万人というのは、精度ある疫学調査が可能なほどの規模に
なっているという現在の事実を述べたものです。
製品が売れているかどうかは議論の主旨ではありません。

>それに,私の突っ込みが
>「売り手にとっても買い手にとってもどうでもいいところをほじくり返して」
>なんて言っておきながら売れ行きに影響するとそのすぐ後で書くのは,
>矛盾もいいところだと思う。

売り手も買い手も why や how はどうでもいいと思っていて、
機嫌良く商談を進めていて、決まりそうになったところに、
全然関係ない人が横から why や how について突然文句を言ってきて、
見たらそれが大学の先生だから、買いの手が引っ込んでしまう、
という現象が、実際に起こっていることを指摘しています。
たくさん売れている製品でも、売れていない製品でも、
末端では1人1人が1台1台、一生懸命売っており、
そういう人たちは天羽さんに反論する能力を持っていません。
それらの人々には影響が出ているようです。

>実験条件をお教えください。
>具体的には,その時の磁場の状態,水の組成,流速です。

実験条件を知る必要はありません。
ご紹介した4項目の現象を確認するために必要なことは、
「その水」を入手すること、それだけです。
その水は長期にわたって特性を維持しますから、搬送が可能であり、
いつでも測定実験をすることができます。
もし、関心があれば、入手すればあとは自分でできるはずです。

そして実際のところ、たいした実験条件があるわけではありません。
その装置のエッセンスは、
水道管の周囲に磁石を置き、そこを水が通る、というだけです。
磁石と水は接触しません。磁石の置き方に工夫(特許)があります。
そして、磁石を置いた時の水と、置いていない時の水を採取して比較します。
その2つの水の化学的組成に差があるとすれば、
消毒の塩素の化学結合が磁力線で切れる、ということはあるようです。
しかし、そのことが4項目の差を生むとはあまり考えられません。
(塩素を除去した水道水で実験すれば分かることですが)
ですから、磁場の状態を知っても、
4項目の確認の測定としては、たいした意味はないでしょう。
流速は2つの水で同じにすれば相殺されます。

>次に,物理現象として観測にかかっていることが事実だとしても,
>イオンカウンタでカウントされる「マイナスイオン」と水に含まれる
>イオンは別物です。水の方は普通の電解質水溶液ですし,イオンカウンタで
>みてるものは電荷を持った孤立粒子ですから。

マイナスイオンとは何か、何を測定しているのか、を議論することは、
今の場合、見当ちがいになります。
2つの水を噴霧して、
市販のマイナスイオンカウンターで測定して、データを比較するだけです。

比較用に磁石のない時の水を送ることもできますが、
ただの水道水ですから、そちらで用意しても同じ(誤差の範囲)です。

その道具そのものをお送りして、そちらで実験することも可能です。
ただし、社名や製品名は発表しないという条件が、たぶん必要だと思います。

>> 1と2は、水の分子に生じる電気的な変化であろうと思われます。

>高校化学と,電気化学の初歩でいいですから勉強しなおしてください。
>水の電気的な変化って何ですか?1も2も,水分子の電気的変化ではなく
>水溶液としての組成の変化を示しているものではないですか。

ただの水道水ですから
いわゆる「水溶液」という概念はあてはまらないでしょう。
それが30センチの長さの塩ビ管の中を一瞬で通り
そのとき磁場の中を通っただけですから、
「組成の変化」を考慮する必要も、まずないと見るべきです。
それなのに水の物性値に、電気的と見られる差を生じるのですから、
水分子そのものの軌道電子に何かが起きている、という考えは、
ひとつのアイディアとしてあり得ます。
そのアイディアを延長すれば、
電解質のない超純水でも同じことが起こる、という推論になります。
いずれにせよ、高校の教科書には書いていない現象です。

>> 3と4は、水の分子の運動の活発さ、いわば機械的な変化だろうと思われます。

>これも,組成の変化で説明できるものではないですか。
>もし,分子の運動が活発になったというのなら,温度上昇として観測される
>はずですけど。

水の組成については前述のとおりです。
温度は、原理的に言って上がっているはずです。
ただし、それを観測できるかどうかは測定器の精度によります。

>一体どの水でしょうか?メーカー名も製品名も示されない上に,実験
>条件も無いのでは,そうおっしゃられても何とも・・・・。

天羽さんが望めば、水をお送りします。
メーカー名や製品名は、「私の判断で一般公開する」
と言われているメールでは書けません。
メーカーに迷惑がかかるおそれがあるからです。

>> そして、この水を実生活で使うと、以下のようなことが起こります。
>>上記の1,2,3,4の測定事実に関連して起こってくる現象として、
>> 理解、説明できますから、不思議、ということはありません。

>その前に,これらの効果をどうやって「科学的に確かだ」といえる
>ところまで確認したのか知りたいです。主観を排除して実験しようと
>すると,それぞれの分野で確立された試験法が必要になるはずですね。
>実験条件をおおしえください。
>ぜひともまともな試験結果がほしいところです。

いわゆる「科学的な」変化は、最初に述べた物理的な測定結果です。
私は、ぜひ追試をされたらいいと提案しているのです。
実生活での変化は、体験的なものです。
それだけでは、「まともな試験結果」にはなりません。

ただし、たとえば、

ある猫にこの水を与えたところ、
いつまでもおいしそうにピチャピチャとなめていた。
その猫はもう何年も飼われているのだが、
その猫がこれほど水を飲むところを、飼い主は初めて見た。

という現象があります。

日本中のたくさんの猫がこういう行動をとるようになっています。
これはむろん、天羽さんが考えるような、
「主観を排除したプロの評価に耐えられる科学的事実」
ではありません。
しかし、このような小さなエピソードの中に
何か科学的な真実があることを直観するのが科学者です。

レントゲンは、光に触れないようにしまっておいた写真乾板が
感光していた事実に驚き感動して、
熱心に思索し、実験して、エックス線の発見に至りました。
ニュートンもファラディもキュリー夫人も同じです。
事実を積み重ね、仮説を立て、理論を探って、
「猫の秘密」を解明していくことが今後の課題です。

>> しかし、ひとつだけ不思議なことがあります。それは4番目の
>> 「この水に容器ごとつけると中の食品の味がマイルドになる」という事実です。
>> これも簡単に実験できますから、天羽さんも一度試されたらよいと思います。

>ですから,この手の官能検査を必要とするようなことを「簡単に実験」する
>のは無理です。不二家での経験からいっても。

これでいきなり、何か科学的理論が確立されるとは思いません。
しかし、実際に味の変化を味わってみた人と、
それを知らずにいる人とでは、ものの考え方が変わります。
写真乾板が感光していることを見た人と、それを見ていない人とでは、
考え方が違ってくるのです。
他人がどうとか、統計がどうとか言う前に、自分の五感で試すといいでしょう。

>> その変形は、E=BxVという電磁誘導の原理によって生じているようです。

>これは測定で確認できる話です。
>もし,水が変形したのであれば,ウチで測定しているラマン散乱でみた
>OH伸縮振動モードが必ず変わるはずなので。

装置で測定できる限界以上の変化であれば測定できるでしょう。

>> その作用が、水分子の軌道電子になんらかの変化を及ぼすことが、
>> あり得ないと否定することは、そう簡単ではありません。
>> むしろ、あるだろう、と考えるほうが自然です。

>で,これを支持する直接証拠は何ですか?
>味の変化だの野菜の長持ちだのといった話じゃだめですよ。

水の物性値の変化は、もしあったとしても、それは、
水の組成の変化によるものだろう、というのが天羽さんの推論でした。
しかし現実には、水の組成は変化していないと思われます。
ですから、ほかの推論を立てるしかないだろうということです。
むろんそれは推論ですから、まだ証拠はありません。

>> それが、その水を噴霧したときに、
>> 空気中におけるマイナスイオンの増加という、
>> 意外な新しい形で検知できることが分かった、ということではないかと考えま
す。

>確か,水破砕で観測されるマイナスイオンの量(正確には正負の組成)
>もとの水の不純物によって変わるという論文が既にあるはずです。
>また,マイナスイオンの測程ですが,正確にやるには部屋の湿度を
>制御しないとだめのようです。ウチの学科で空気のマイナスイオンを
>測定した先生に話をきいたんですけどね。

何を言いたいのか分かりませんが、
何を測っているかではなく、絶対値を問題にしているのでもなく、
2つの水においてマイナスイオンの検出数が
倍、半分ほど違う、という相対的な比較を議論しています。
湿度などの磁石以外の要因は、2つの水の間では相殺されています。

>> その水の、比熱、比重、沸点、融点、蒸発潜熱、融解潜熱、粘度、などの
>> 物性値に変化が起きている可能性があります。

>これらの変化は,組成の変化でも生じますね。
>水溶液としての組成の変化を,まずは調べるべきでしょうね。

水の組成に関しては前述のとおり、組成は変化していないと見るべきです。

>> これらのことは、これまでの人類の知見にはなかった、
>> 新しい発見だと思われます。

>ちょっと主張に無理がありますね。ここまで言うのなら,誰もが認める
>直接証拠を出さないとだめなんじゃないかと。

組成に差のない同じ水が、磁場の間を通ったときと、通らないときとで、
その物性値、すなわちPH値や熱伝導や界面活性を変えることがあり得るか、
実験して確認する価値があるのではないか、と問いかけているのです。

>> さて、天羽さんは昨年の学会発表の「まとめ」のサイトで、
>> 「マイナスイオン水」なるものはそもそも存在しない、単なる迷信である
>> と結論しておられます。

>はて・・・。私は普通の水溶液として考えましょうと主張したつもり
>です。

日本化学会中国支部での講演予稿としてサイトで天羽さんは
次のように言っています。
「マイナスイオン水という摩訶不思議な水は、そもそも存在しない。
微量成分の定量無しにいわれる「マイナスイオン水」は単なる迷信である」

>> それでみんなが納得すれば、「マイナスイオン水」というものは
>> 少なくとも社会的には存在することになるわけです。

>でも,その科学的実体を議論するときはまた別ですね。
>何がどれだけ入っている水か,どういう(測定できる)性質を持つ水か,
>ということを押さえるしかありません。

何がどれだけ入っているか、
化学者は組成に非常に関心を持っているようですが、
「水分子の電気的な変化」は組成の変化で起こっているのではなく、
どれだけ組成を調べても何も見つからないでしょう。
組成に変化はなくても、物性には変化が起きている、ということです。

>私の主張は「・・・特定の
>**水にミラクルな効果を期待するのは間違いだ。安全な水であればそれで
>足りる」というものです。

統計調査の結果、ある特定の水で暮らす人々の間で疾病の発生率が低くなる
という事実が判明すれば、それは、「健康によい水がある」ことを意味します。
「特定の水にミラクルな効果は期待できない」と断定できるだけのデータを、
人類はまだ持っていません。天羽さんの主張は推測に過ぎません。

また、天羽さんはあるページで

 「細胞への浸透効果」だが、生物には恒常性の維持という機能があって、
水の輸送もきちんと制御されている。
勝手に水が細胞内に浸透してくるようなことが起きれば、
細胞にとって負担になるだけで、何もいいことはない。

と述べておられますが、これも推測にすぎません。
水が浸透しやすくなるということは、同時に排出もされやすくなる可能性がありま
す。
ですから、細胞が水ぶくれになるのでなく、細胞の内外での水の流れが良くなるとい

結果になる可能性もあります。
今年のノーベル化学賞は、細胞には水だけを通す特殊なチャンネルがあることを
発見した業績に授与されたそうですが、そういうチャンネル構造があり得るならば、
そこを通りやすい水分子の形というものも、あっても良さそうです。

>>「湯は水よりもブラウン運動が大きい」という事実によって、
>>「磁場によってブラウン運動が大きくなる可能性がある」
>>ことを否定しようとしていますが、そんなことはできません。

>どう読んだらこうなりますかねぇ?

天羽さんの原文を示します。 
「ブラウン運動とは、要するに熱によるランダムな分子運動である。
ブラウン運動を大きくするには、温度を上げれば良いだけである。
湯は水よりもブラウン運動が大きい。これも磁場とは無関係である。」

>>ブラウン運動とは、・・・・・・
>>という、何ともあっけらかんとした、同義語反復的な表現は、
>>分子運動や熱や温度、振動といった物理現象に対する、
>>天羽さんの理解の深さを疑わせるものです。

>じゃあ,あなたはどう主張するんですか。お伺いしたいです。

水と水銀温度計で話をしましょう。
水を加熱すると、水の分子運動つまりブラウン運動が大きくなります。
すると、水の分子が水銀温度計の球部分のガラスの外側表面を
それまでより強くたたくようになります。
するとガラスの格子がそれまでより激しく振動するようになり、
その振動がガラスの内面まで伝わって、
温度計の内部にある水銀の分子を刺激します。
すると水銀分子の運動が大きくなって、それは熱膨張という形をとって、
温度計の柱部分の水銀面を上に押し上げます。
その変化が温度の上昇として認識されます。

ということですから、
ブラウン運動と温度との関係は、同義語反復になりがちですが、
どうしても言うならば、「ブラウン運動が上がると温度が上がる」
というのがふつうの表現です。
「温度を上げればブラウン運動が大きくなる」という表現は、
物理学のセンスとして「かなりおかしい」というのが、私の感覚です。

>> 天羽さんは、国立大学の化学の教官の肩書きを見せながら、
>> その会社の技術陣の化学の知識は高校生以下である、というご託宣を
>> インターネットという「マスメディア」で天下に告知しているわけです。

>だって事実ですから。

「彼らの知識は高校生以下である」というのは天羽さんの判断であって、
事実かどうか確定はしていません。
「健康によい特別な水は存在しない」というのも天羽さんの判断であって、
事実かどうかは確定していません。
「浸透性のよい水は細胞に何もいいことはない」というのも天羽さんの判断で、
確定した事実ではありません。
判断と事実とは違います。

>別に,改善されることを目的としてやっているわけではありません。
>メーカーがどういう宣伝をしようがメーカーの自由,公開された宣伝に
>対してどういう批判をしようが批判する側の自由ですね。

「水商売ウォッチング」の社会性について、
一言一句に反論することは煩雑になりますので、
大筋を述べておきたいと思います。
私は、第1には、天羽さんが公務員であることを問題にしています。
第2には、天羽さんの批判が相手の了解なしの
ミスター・ブッシュ的な先制攻撃であることを問題にしています。

たとえば、現職の裁判官が、官職名を名乗った上で、
ウェブサイトなどで特定の民間企業を、
彼らが公開した宣伝を対象に先制攻撃で批判したら、
それは社会的な公正を欠く行為だと私は思います。
おそらく、公務員としての諸規定のどこかに違反するでしょう。
ですから実際にはそんなことをする裁判官はいません。

では、裁判官ではなく、たとえば官僚などが官職名を明らかにした上で、
ウェブサイトなどで特定の民間企業を先制攻撃で批判したら、どうでしょうか。
それもまた社会的な公正を欠く行為ではないでしょうか。
では、裁判官ではなく、官僚でもなく、たとえば地方の保健所の職員が、
官職名を明らかにした上で、ウェブサイトなどで特定の民間企業を
先制攻撃で批判したら、どうでしょうか。
それもまた社会的な公正を欠く行為ではないでしょうか。
自衛官ならどうでしょうか、農業指導員ならどうでしょうか、
そして大学教官ならどうでしょうか。

私は、公務員が官職名を明らかにして、民間企業を公開の場で攻撃、
それも先制攻撃することは、社会の公正に反する行為だと思います。
それは言論の自由とか批判の自由とかいう考えとは別の社会規範です。

天羽さんが、官職名を名乗らずに、自分のサイトで、自分の主張をされるなら、
その行為には私は何も異論はありません。(内容には異論があるわけですが)
天羽さんが、お茶の水女子大学の職員であるかのように振る舞って、
お茶の水女子大学の公開サイトで、民間企業を先制攻撃していることを、
社会的公正を欠く行為だと批判しているのです。

しかも、身の上話を聞いてみれば、なんと、天羽さんは当時から
お茶の水女子大学には所属していなかったというではないですか。
そして今でもお茶の水女子大学の職員ではないようです。
しかしおそらく、水商売ウォッチングの読者のほとんどは、
天羽さんをお茶の水女子大学の教官であると思っているはずです。
それ以外の人がお茶の水女子大学のサイトで自分のページを持てるとは、
一般市民は誰も思わないでしょう。
そして、読者が水商売ウォッチングを信用して読む理由は、
天羽さんも認めているように、天羽さん個人の力量によるものではなく、
そこにお茶の水女子大学の名があるからです。

こういうやり方は、受け取る側の一般市民にとっては
官名詐称に等しいのではないでしょうか。
お茶の水女子大学の管理責任はどうなっているのか、
という別の問題が出てきたようです。

*************
吉岡事務所 代表 吉岡英介
eskey@yoffice.net
「アトピー解決篇」全文公開
http://www.yoffice.net

 これに対する返事は以下の通り。私が書いた部分は例によって改行位置を修正しています。なお,文中の磁化云々は,残留磁化のことで,水には磁場の効果を記憶するようなメカニズムがないということです。磁場をかけている間*だけ*なら,水には,とても小さな反磁性磁化率による磁化が現れます。

吉岡様

At 6:21 PM +0900 03.12.9, 健康と環境の神戸クラブ wrote:
>磁気水とか、磁化水という表現は適切ではないと思っています。

 この点については了解です。私も同意見ですから。水は磁化しません,って書いています。

>製品が売れているかどうかは議論の主旨ではありません。

 そうですか。じゃあ,売れていようがいまいがどうでもいいのに,私にわざわざメールを送ってるんですね。ということは,私がこうして返事を書いているのは,要するに,吉岡さんの趣味におつきあいしてるってことになりますね。 

 どうも,吉岡さんと私とでは,趣味が根本的に合いそうにないんですけど・・・。

>全然関係ない人が横から why や how について突然文句を言ってきて、
>見たらそれが大学の先生だから、買いの手が引っ込んでしまう、
>という現象が、実際に起こっていることを指摘しています。

 はて・・・。私は科学的にまともな見解を示しただけであってわざわざ取引の現場に出向いていって何か言った覚えはありませんが。

 当方のサイトを見て購入をやめる人というのは,商品説明に納得できなかったからわざわざウェブにアクセスして検索してあれこれ調べた人ってことですよね。納得できれば即買いするでしょうし,疑問を持たなければそもそもウェブで調べようとはしないはず。

>たくさん売れている製品でも、売れていない製品でも、
>末端では1人1人が1台1台、一生懸命売っており、
>そういう人たちは天羽さんに反論する能力を持っていません。
>それらの人々には影響が出ているようです

 あれ?「製品が売れているかどうかは議論の主旨ではありません。」ておっしゃったばかりですよね。じゃあ何でこんなこと書いてるんでしょ。

>実験条件を知る必要はありません。
>ご紹介した4項目の現象を確認するために必要なことは、
>「その水」を入手すること、それだけです。
>その水は長期にわたって特性を維持しますから、搬送が可能であり、
>いつでも測定実験をすることができます。

 って,吉岡さんはまだどの会社のどの製品のことか,名前をあげてないですね。。入手しろと言われても,水関連の製品など多数あるのでどうにもなりません。私は超能力者じゃないから,吉岡さんが一体どの水のことを言ってるのか,当てることなどできません。

>もし、関心があれば、入手すればあとは自分でできるはずです。

 普通の科学の世界では,新奇な効果があると主張する側が科学的手続きに沿って,そのことを立証する責任があります。それをやって初めて追試の対象になります。
 この場合,効果があると主張しているのは吉岡さんですから立証責任は吉岡さんにあります。
 もっとも,「実験条件を知る必要はありません。」などとおっしゃっている間は誰も相手にしないでしょうね。効果の立証は,その分野でそれなりの知識のある人なら誰でも追試できる程度の実験条件を付けて主張するものです。これがなされない間は,主張が真実であると認められないばかりか,追試の対象にすらなりません。

>マイナスイオンとは何か、何を測定しているのか、を議論することは、
>今の場合、見当ちがいになります。
>2つの水を噴霧して、
>市販のマイナスイオンカウンターで測定して、データを比較するだけです。

 その,マイナスイオンカウンターそのものが,まだ標準すら決まってなくて,どの測定器を使うかで値が違うということを知っておっしゃってますか?
 測定装置を1つだけ使って比較すれば,多いか少ないかを比べる程度のことはできるでしょうけれど。ただ,そうやって測定した値について,それがどれだけの意味を持つのか疑問です。
 既に国民生活センターが,マイナスイオンの効果をうたった製品について,現状では効果がはっきりしていないという内容のレポートを出しています。わざわざ,あやふやな効果しかないマイナスイオンが増えたということを主張しても,商品がいいことの後押しにならないばかりか,効果が怪しい製品の仲間だと思われて却って良くないんじゃないでしょうか。

>比較用に磁石のない時の水を送ることもできますが、
>ただの水道水ですから、そちらで用意しても同じ(誤差の範囲)です。
>
>その道具そのものをお送りして、そちらで実験することも可能です。
>ただし、社名や製品名は発表しないという条件が、たぶん必要だと思います。

 社名や製品名を発表した方が宣伝になるんじゃないですか。あなたのおっしゃる効果が確かなものであれば,今度は私が実験で確認しましたという文書をウェブで公開することになるわけですからねぇ。

>ただの水道水ですから
>いわゆる「水溶液」という概念はあてはまらないでしょう。

 間違ってますよ。水道水は希薄な水溶液です。実際,水以外のものが混じってるし。

>天羽さんが望めば、水をお送りします。
>メーカー名や製品名は、「私の判断で一般公開する」
>と言われているメールでは書けません。
>メーカーに迷惑がかかるおそれがあるからです。

 では,送らなくても結構です。

>いわゆる「科学的な」変化は、最初に述べた物理的な測定結果です。
>私は、ぜひ追試をされたらいいと提案しているのです。
>実生活での変化は、体験的なものです。
>それだけでは、「まともな試験結果」にはなりません。

 でも,これだと,吉岡さんが単に「言ってみただけ」じゃないかと穿った見方ができちゃうんですよ。物理的な測定結果があるなら,水と会社名は伏せたとしても,どういう測定をしてどんな結果になって何がわかったか,という情報なら出してもいいはずですよね。そうすれば,実験と結果とそこから導かれる結論の間に矛盾やギャップが無いかどうかの確認だってできます。このチェックだけで変な話の大部分は落とせるんですよ。実際,学術雑誌の論文審査は書かれた内容だけで判断するわけですしね。

 ところが「実験条件を知る必要はありません。」とおっしゃるわけですから,これではもう最初から検討のしようもありません。

>日本中のたくさんの猫がこういう行動をとるようになっています。
>これはむろん、天羽さんが考えるような、
>「主観を排除したプロの評価に耐えられる科学的事実」
>ではありません。
>しかし、このような小さなエピソードの中に
>何か科学的な真実があることを直観するのが科学者です。

 あなたの考える科学者と私の考えている科学者は,その性質がだいぶ異なっているように思えます。

>事実を積み重ね、仮説を立て、理論を探って、
>「猫の秘密」を解明していくことが今後の課題です。

 じゃあ,わかったら教えてくださいな。

>これでいきなり、何か科学的理論が確立されるとは思いません。
>しかし、実際に味の変化を味わってみた人と、
>それを知らずにいる人とでは、ものの考え方が変わります。

 「考え方」はこの場合はどうでもいいです。主観の影響を取り除いた変化があるのかどうかが問題なので。

>写真乾板が感光していることを見た人と、それを見ていない人とでは、
>考え方が違ってくるのです。
>他人がどうとか、統計がどうとか言う前に、自分の五感で試すといいでしょう。

 X線発見の時代に,同じことを考えた人が居ました。自分の五感を信じて,ほとんど見えるか見えないかしか蛍光板を光らせない線を発見したと信じた人が。見つけたのは「N線」でしたね:-)。

>装置で測定できる限界以上の変化であれば測定できるでしょう。

 吉岡さんのところでは実際に測定済みなんですか?

>むろんそれは推論ですから、まだ証拠はありません。

 わかりました。では,そちらで実験的証拠を確立してから主張なさってください。科学的には新奇な事柄であると思われますので。

>2つの水においてマイナスイオンの検出数が
>倍、半分ほど違う、という相対的な比較を議論しています。
>湿度などの磁石以外の要因は、2つの水の間では相殺されています。

>組成に差のない同じ水が、磁場の間を通ったときと、通らないときとで、
>その物性値、すなわちPH値や熱伝導や界面活性を変えることがあり得るか、
>実験して確認する価値があるのではないか、と問いかけているのです。

 私に問いかけたってあんまり意味がないです。私は,これまでに知られている知識とは矛盾しそうだということを述べているだけなので。
 こういった新奇な現象があると主張なさるのであれば,主張なさる方が誰でも追試できるだけの情報を示して,実験的証拠を提出する必要があります。その方が手っ取り早く世の中に認知されます。

>何がどれだけ入っているか、
>化学者は組成に非常に関心を持っているようですが、
>「水分子の電気的な変化」は組成の変化で起こっているのではなく、
>どれだけ組成を調べても何も見つからないでしょう。
>組成に変化はなくても、物性には変化が起きている、ということです。

 この主張が,現状の水に関する理解からすると,逸脱したものなのです。これまでのところ,組成を変えずに水の性質を変えることが可能だという実験的証拠は皆無です。ただし,同じ温度・圧力・体積の場合,という
前提がありますが。
 ですから,組成を変えずに物性の変化が起きる,それが「起きているかもしれない温度変化」以上の効果であるということを主張するのであれば,追試可能なだけの実験の詳細と結果を公表して,今の水を記述する枠組みは間違っているという主張を行わないといけないです。

>統計調査の結果、ある特定の水で暮らす人々の間で疾病の発生率が低くなる
>という事実が判明すれば、それは、「健康によい水がある」ことを意味します。
>「特定の水にミラクルな効果は期待できない」と断定できるだけのデータを、
>人類はまだ持っていません。天羽さんの主張は推測に過ぎません。

 で,ミラクルな効果がある,というデータも無いわけですね。データを持たずに「ミラクルな効果がある」と主張して商品を販売するのは単なる詐欺ということになりますね。

>と述べておられますが、これも推測にすぎません。
>水が浸透しやすくなるということは、同時に排出もされやすくなる可能性がありま
>す。
>ですから、細胞が水ぶくれになるのでなく、細胞の内外での水の流れが良くなるとい
>う
>結果になる可能性もあります。

 そうすると,水の能動輸送の速度を上げるには,どうしたってエネルギーが必要でしょうから,却って細胞が消耗しそうですね。

>今年のノーベル化学賞は、細胞には水だけを通す特殊なチャンネルがあることを
>発見した業績に授与されたそうですが、そういうチャンネル構造があり得るならば、
>そこを通りやすい水分子の形というものも、あっても良さそうです。

 そりゃ,水素結合がどうなってるかで,水分子の相互作用ポテンシャルは変わるでしょうから,この意味では形が変わるでしょうけど,分子の骨格の形が大きく変わることはなさそうですが・・・・。これまでの計算機実験で形が大きく変わった話は出てきていないのでそう考えています。

>「温度を上げればブラウン運動が大きくなる」という表現は、
>物理学のセンスとして「かなりおかしい」というのが、私の感覚です。

 はあ,そうですか。

>「彼らの知識は高校生以下である」というのは天羽さんの判断であって、
>事実かどうか確定はしていません。

 高校の教科書の内容は誰でも確認出来ますね。

>「健康によい特別な水は存在しない」というのも天羽さんの判断であって、
>事実かどうかは確定していません。

 この判断の根拠を書いておきますね。
 水が細胞内に取り込まれるときは,水分子単独で通ったり,イオンと水分子何個かの組み合わせで通ったりしてますね。さきほど書かれた水チャンネルも見つかってますけど,そこを通るときの水を考えると分子単位で振る舞ってるんですよ。そうすると,どういう水を飲んだとしても,取り込まれるときは水分子そのものの性質が効いてくるわけです。分子単位で考えると,どういう水であったかということは無関係ですよね。
 じゃあ,水に何か効果があるとしたらそれはどこからくるかというと,水に溶けている物質の効果しかない。だから,ミラクルな効果を示す物質が溶けていれば,その分の効果はあるでしょうけど,それは成分の効果であって水の効果じゃないですから。

>「浸透性のよい水は細胞に何もいいことはない」というのも天羽さんの判断で、
>確定した事実ではありません。
>判断と事実とは違います。

 細胞の恒常性の維持というのは,通常の水の性質が前提になっていると考えてよいのでは。だから,それを乱すような水は負担になるはずですよ。水の出入りの速度を上げると,その分だけ余分なエネルギーを消費することになるわけですから。

>私は、第1には、天羽さんが公務員であることを問題にしています。

 それもまもなく終わります。来年4月から国立大学は法人化されますので,公務員ではなくなります。
 ということで,公務員を根拠にした批判は早めに済ましちゃってください。

>第2には、天羽さんの批判が相手の了解なしの
>ミスター・ブッシュ的な先制攻撃であることを問題にしています。

 アメリカの大統領にたとえてもらえるなど,普通なら名誉なことなんでしょうけど,それがブッシュじゃなあ・・・。
あそこまで私は間抜けじゃない。

 それなら私は,科学的根拠の無いインチキな理論をくっつけて製品を売りつける企業の行動を,9.11の自爆テロにでもたとえましょうかね。吉岡さんは,ビン・ラディンでもフセインでも,好きな方をお選びください。

>たとえば、現職の裁判官が、官職名を名乗った上で、
>ウェブサイトなどで特定の民間企業を、
>彼らが公開した宣伝を対象に先制攻撃で批判したら、
>それは社会的な公正を欠く行為だと私は思います。

 裁判官と大学の教官は役割が違いますよ。
 それに,いい加減な水理論が広まると研究者も迷惑しますし,余分な社会的コストも増えますから。
 私に文句を言う暇があったら,デタラメ振りまいてる企業に言ってやってくださいな。

>おそらく、公務員としての諸規定のどこかに違反するでしょう。

 じゃあ,条文と判例を示してください。「どこかに違反」なんて曖昧な書き方では話になりませんから。

>そして大学教官ならどうでしょうか。

 研究者としては,科学的な嘘が世間に広まるのを食い止める必要がありますね。利害関係がありますから。ついでにいうと,ウェブによる文書の公開は出版と同じです。

>私は、公務員が官職名を明らかにして、民間企業を公開の場で攻撃、
>それも先制攻撃することは、社会の公正に反する行為だと思います。
>それは言論の自由とか批判の自由とかいう考えとは別の社会規範です。

 私は,デタラメが広まることによる社会的損失(研究者自身にとっての損失を含む)を言論によって食い止めることは,全く問題のないことだと考えています。これは,言論と批判の自由に基づいていますが,多少違う内容を含む社会規範です。

>天羽さんが、官職名を名乗らずに、自分のサイトで、自分の主張をされるなら、
>その行為には私は何も異論はありません。(内容には異論があるわけですが)
>天羽さんが、お茶の水女子大学の職員であるかのように振る舞って、
>お茶の水女子大学の公開サイトで、民間企業を先制攻撃していることを、
>社会的公正を欠く行為だと批判しているのです。

 見当違いの批判ですね。
 その「先制攻撃」とやらをしているのは,学問的に全く確立していなかったり,誤りだったりする宣伝内容を世の中に振りまく企業の方じゃないかと。
#根拠がはっきりするまで待てというのに・・・・。

>しかも、身の上話を聞いてみれば、なんと、天羽さんは当時から
>お茶の水女子大学には所属していなかったというではないですか。

 そうそう。当時は学内の公式ページが始まるか始まらないかといった状態でしたね。当然,学内でウェブサーバをどうするかというコンセンサスも無ければ規則もない。ネットの利用法自体が模索されているときでした。規則がないので,教授に向かって「ちょっと実験してみます」「いいよ」でOKでした。
 ウェブとネットニュースのウェイトが逆転したのもこの頃でしたね。「fjでの発言は所属でも肩書きでもなく内容で判断」てのは常識でしたね。ウェブでも同じだろうと思って始めたんですよ。
 もともと,インターネットって,与えられるものじゃなくて技術的に参加していくもので,やる気と技術があれば誰でも拒まず,ってところがありましたから。だから,どういうコンテンツにしていくかという実験も有りだったんですね。大学はネットに関しても実験する所でしたしね。商業利用が進み過ぎて,このことを忘れて居る人も多いでしょうけれど。
 
>そして今でもお茶の水女子大学の職員ではないようです。
>しかしおそらく、水商売ウォッチングの読者のほとんどは、
>天羽さんをお茶の水女子大学の教官であると思っているはずです。

 そうでもないですよ。学生・研究生であると思った人は何人か居ますし,作者が冨永教授だと思って教授に連絡してくる人もいます。
 ですから,どういう問い合わせがあってどう対処したかは,教授と完全に共有するようにしています。さっき電話してみたら,今日も1件教授宛てに問い合わせがあったらしいです。

>それ以外の人がお茶の水女子大学のサイトで自分のページを持てるとは、
>一般市民は誰も思わないでしょう。

 じゃあ,ウチがもっと超有名になって,中の人(笑)でなくても内容次第でお茶の水大でページが持てるということを世間に知らしめてしまえば問題は解決するわけですね。アクセス数を増やすべく努力します。

>そして、読者が水商売ウォッチングを信用して読む理由は、
>天羽さんも認めているように、天羽さん個人の力量によるものではなく、
>そこにお茶の水女子大学の名があるからです。

 信用度を測るのは大変ですが,アクセス数なら割と簡単にわかります。

 お茶の水大は一時期私のページを公開停止にしました。その結果,おかげさまでアクセス数が倍近く増えました。その後,その増加分はそんなに減りませんでした。逆に,1年以上たってお茶の水に戻した時には特に増えもしなかった。つまり,「お茶の水大が公開停止」はアクセス数増加に効いたけど「お茶の水大に戻った」は効いてない。
 この場合のお茶の水大の効果ってどう評価すればいいのか。

 内容に関する問い合わせ件数は,明らかにお茶の水大を追い出された後から増えていたりするんで,これを信用度の増加の指標にするならば,「お茶の水大が公開停止」によって逆に信用度が増大したといえなくもない。

>こういうやり方は、受け取る側の一般市民にとっては
>官名詐称に等しいのではないでしょうか。

 略歴公開してるのに詐称はないだろうと。
 また,問い合わせに答えるときのメールの署名(とネットニュースで使ってた署名)では,冨永研究室を「居候先」「共同研究先」等と正式所属でないことを明示していました。詐称になるとまずいと思ったのでね。ってことで注意義務は果たしています。

>お茶の水女子大学の管理責任はどうなっているのか、
>という別の問題が出てきたようです。

 でしたら,お茶の水大のウェブ運用指針がpdfで公開されていますので,どうぞごらんください。
http://www.ocha.ac.jp/web_sisin.pdf
これは,お茶の水大の公式ページのトップからリンクされています。お茶の水大の管理責任はすべてここに記載されている通りです。学内にサーバを置いてる以上,冨永研究室びじたー案内もこの指針に従うことになります。


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