水商売追加情報

吉岡氏とのやりとりー4(2003/12/11,2003/12/31)

 これまでに吉岡氏からのメールにはきちんとまじめに返事をしてきたんだけど,さすがに今日受け取ったメールを見て脱力したので,直接返事は出さないことにした。多分,お互い主張はほとんど出尽くしたし,これ以上議論しても理解が深まることも妥協点が見いだされることもないと思われるからだ。それに,今回吉岡氏の書いてきた内容はすでにサイエンスではなく,オカルトの世界に入りつつあるので,科学という視点で議論しても無意味である。ただ,何もせずにこのまま放置すると,返事がこなかったことで論破に成功したという我田引水的認識をして別の宣伝をされても困るので,ウェブの方で突っ込みを入れて公表しておくことにする。今回はちょっと変則的だが,安井さん方式で,本文中に赤色で私のコメントを入れてみた。

Delivered-To: apj@atom.phys.ocha.ac.jp
From: 健康と環境の神戸クラブ <kenkanko@post.nifty.jp>
To: "apj" <apj@atom.phys.ocha.ac.jp>
Subject: Re: ご質問への回答です
Date: Thu, 11 Dec 2003 14:10:39 +0900

>  これが事実なら,飲料水には適さないだろうということが容易に
> 推定されますね。人の細胞膜は「油」としての性質を持ちますので
> 細胞膜を傷つける危険性がないことを証明してからでないと,とても
> 怖くて飲めませんね。

ところが、猫はその水をピチャピチャといつまでも飲み、
日毎に毛並みがよくなって元気になるのです。犬もです。
天羽さんの知らなかったことが起きているのです。

「ピチャピチャといつまでも飲み」なんて曖昧な表現をされても,そりゃ一体何だと思うわけで。猫の毛並みなんて,いろんな原因で良くなったり悪くなったりするでしょうね。本当に「その水」の効果だというためには,水以外の条件も押さえないといけないですね。ところが,これまで何回かやりとりした吉岡さんのメールでは「変化が起きました」という結果しか出てこないのね。私としては,「吉岡さんの頭の中で起きてる変化なんか知りません」としか答えようがない。だって,証拠が「吉岡さんの主張」だけで,確認する手だてが無いんですよね。他人を納得させるだけの証拠は一切出さないけど,主張する本人は,少なくとも自分は見たと認識していることを主張しているわけで,決して嘘は言ってない。何だか,「私はUFOに連れ込まれて宇宙人に会いました」って言い張る人とあんまり変わらないような。

 

>  こういう例を知ってるから,私は,自分が何か実験するのであれば,
> 主張の根拠となる最初の実験の詳細を押さえてからにしようと考えて
> いるのです。

水の界面活性と熱伝導とpH値を調べるだけですけど。
あと、できればマイナスイオン。

だーかーら,測定装置と測定条件,測定手順を示せってばさ。測定した数値といっしょにね。通常の化学や物理の実験の論文でも,試料の前処理,測定条件,使った測定装置(製造元,型番)や実験プロトコルを記載するのが普通なんだが。物理や化学を学んだと主張しているくせに,こういう基本を全然出さないなんて,物理や化学の一体何を学んだのだか。

>  私が慎重になってる理由は,水や水溶液に磁場をかけても特に変化は
> 生じない,ということをこれまでさんざん実験して知っているから
> なんですよ。

これまで天羽さんが知っていたのとは違うことが起きている、
ということです。
メーカーも、自分が造ったものの産業的価値、事業的価値は分かっていても、
学問的価値は分かっていないようなところがあります。

思いっきり意訳すると,「メーカーはそれっぽい宣伝をすれば一応製品が売れることは知ってるけど,学問的価値(は皆無だということが)分かってないっつーかそんなことはどうでもいいと思ってる」ってことかな。

> また,変化が起きている水分子は全体の何%程度と思われますか?

1%以下だろうと思いますが・・・・検知できていないので分かりません。

検知してないのに1%以下という目安がどこから来たのかが謎だが。それ以前に検知できてないのに水分子の形が変わるという主張しているあたり,幻でも見てるんじゃないだろうか。

> 変化は永久的ですか?あるいは,一定時間でまた元に戻るような変化
> ですか?一度処理した水を元に戻すには,どういう操作をすれば
> いいんでしょうか?

変化は、ある期間持続するようです。
元にもどすにはプラスの電荷に触れさせればよいようです。
アンモニア系の悪臭化学物質に触れると、効果がなくなるようですから。

 気体のアンモニアは電気的に中性。プラスの電荷に触れさせるということと,悪臭化学物質とが全く結びつかない。それに,水そのものの性質による分とアンモニアという化学物質の効果による分をどうやって分けて評価してるんだか?

>  本当に水分子の骨格が変わるなら,私がやってるラマン散乱
> スペクトルを,実験用超純水と比較すると,分子内振動の振動数
> シフトとして観測されるはずです。
>  あとは,X線や中性子線の散乱で動径分布関数に違いがあるか
> どうかでもチェックできそうです。

そう思います。
そのデータがとれたとき、その価値は大きいと思いますけどねえ。

> >でも、栄養補給と老廃物の排出は早くなるでしょう。
>
>  その分老化も早くなりそうなのであんまりうれしくないです。

この水を飲み、この水で入浴していると、
特に努力することなしに、1年ごとに1才若返ります。
しわやしみも消えていきます。
そういう女性がたくさんいます。(男性もですが)

じゃあ,この水で粉ミルクを作って赤ちゃんに飲ませたり,母親と一緒にこの水のお風呂に入浴させたりするのは絶対にやっちゃいけないことだな。赤ちゃんが1年に1才若返ったりしたら,ちっとも成長しない。

栄養補給と老廃物の排泄がうまくいけば、
いつまでも若く長生きする、と考えるのがふつうでしょう。

アメリカ初のノーベル賞受賞者の、フランス人のアレクシー・カレル博士は、
鶏の細胞を、正しい栄養補給と正しい老廃物の除去の手法で
10数年間培養することに成功しました。(カレル博士の死後までも)

普通は栄養補給や老廃物の除去は血流が担っているところを,細胞培養の場合は,血流の機能を外から人工的に補ってやることになる。で,このことと,水で細胞内の栄養分と老廃物の移動が早くなることと一体どういう関係があるのかが不明。この培養操作って,細胞外の条件を正しく保つということがポイントなのであって,細胞内の物質移動の速度を上げるという話じゃないんだけどな。

皮膚に起こることは脳細胞にも起こるようです。

「起こる」って何が?

>  鉄筋の建物の中だと,地磁気程度の磁場は思い掛けない方向にかかって
> いたりしますね。

前述のカレル博士は、若いとき、イタリアで勤務医をしているとき、
あすをも知れぬ重態の若い女性が、どうしてもルルドの水を飲みたいというので、
院長命令でイタリアからルルドまでつきそっていった経験をつづっています。
ルルドの水をひとくち飲み、その女性は回復しました。
後年、このことを発表してカレル博士はずいぶんたたかれたようですが。

へぇ。
私の知る限り,「あすをも知れぬ重態」の患者というのはICUに居て,酸素マスクや点滴のチューブでつながれた状態でベッドから離れられないんですけどね。付き添い1人と一緒にルルドの泉まで行ける患者ってのは,そりゃ重態どころか十分体力もあって元気じゃないかと思われ。さもなきゃ,重態なのに死なずにルルドまで移動できたこと自体が既に奇跡だといえるから,泉の出番は無いと思う。それ以前に,この話自体,誰かのジョークだとは思わなかったのか?吉岡氏はこの話をした奴にかつがれてるんじゃないか。

ルルドの水は、いつもいつも奇跡を起こしているのではないようです。
いつもいつも起こしているなら、もっと大騒ぎになるはずです。
(そうでなくても、現在キリスト教徒の巡礼地のNo1らしいですが)
また、なんらかの分析ができるはずです。

いつもいつも奇跡が起きていたら,みんな慣れてしまって何が起きても騒ぎにならない気がするのだが。そりゃそうと,異教徒でもルルドの泉に行ってもよくて奇跡の恩恵も受けられるってことは,ルルドの泉の気前は結構いいらしい,感心。

たぶん、ほとんどの期間は、ただの水で、
何かの拍子にどこかの湧きだし口が奇跡の水に変化するのだと思います。
私はそこに、ピレネー山脈全体の「磁気のゆらぎ」のような現象が
関与しているのではないか、と考えています。

「磁気のゆらぎ」が大事なら,磁気処理装置に永久磁石なんか使っちゃダメじゃん。永久磁石の磁場ってマジで安定してますぜ。

恐竜時代には、植物も大型化していました。
なぜ大きくなれたのか、水分子そのものが違っていたのではないか、
そこには地磁気が関与していたのではないか、などと考えます。

本気でそう思ってるんなら,水の磁気処理やめろYo。吉岡氏推薦の磁気処理装置を使ったために植物が大型化したり恐竜が出たりしたら,一体どうしてくれるんだ?そんな奇跡はイヤだ。

磁気と水分子と生命現象・・・・・天羽さんには興味のないことでしょうが。

興味はあるけど,オカルトとして興味を持ってるわけじゃない・・・・っつーか,公務員の立場だの大学の責任だの中小企業の営業云々を山ほど持ち出しておいて,結局オカルト系水理論を語りたかっただけかよ!

吉岡英介

 返事を出すつもりもなかったのだが,吉岡氏もこれを読んだらしくて,返事を送ってきたので,一応以下に掲載する。議論は出尽くしてると思うのでよくわからん・・・・。これ以上やりとりしても,お互い考えを変えることはないだろうしなあ。

Delivered-To: apj@atom.phys.ocha.ac.jp
From: "吉岡英介" <eskey@nifty.com>
To: <apj@atom.phys.ocha.ac.jp>
Subject: ご回答
Date: Thu, 25 Dec 2003 23:57:45 +0900

>だーかーら,測定装置と測定条件,測定手順を示せってばさ。

測定装置や測定条件、測定手順は自由に決めればよいのです。
2つの水の差を見るということですから、
2つの水の間で実験の条件が同一であればそれでいいのです。
興味があるかどうか、ということです。

どうしても,そちらでやった実験の詳細は出さないつもりなのね。なら,追試できるだけの情報の掲載された論文を,まともな学術雑誌に出してから,文献としてお知らせくださいな。私としては,そちらの追試条件をこちらで推測するような手間はかけたくないのでね。

>検知してないのに1%以下という目安がどこから来たのかが謎だが。
>それ以前に検知できてないのに水分子の形が変わるという
>主張しているあたり,幻でも見てるんじゃないだろうか。

1%以下というのは、形成されている磁場の強さと幾何学的条件から
推定される数値です。
水分子の形が変わるというのは幻を見ているのではなく、
仮説を立てているのです。
組成に変化がないとしたらどういう仮説が可能か、ということです。
湯川秀樹先生は、中間子というものがあるとうまく説明がつく、
という仮説を立てましたが、
その存在を実験的に確認したわけではありません。

だから,中間子が認められたのは直接観測に成功してからであって,それまでは中間子理論といえども作業仮説扱いだったのでは。湯川秀樹の場合は直接観測で確かめられたから,思い切った予測が先行してうまくいった例として歴史に残ったんですね。

>赤ちゃんが1年に1才若返ったりしたら,ちっとも成長しない。

なるほど、ご名算。

>この培養操作って,細胞外の条件を正しく保つということが
>ポイントなのであって,
>細胞内の物質移動の速度を上げるという話じゃないんだけどな。

カレル博士は磁場を通った水を使ったわけではありませんから、
ここの議論は磁場とは無関係です。
これは、「栄養補給と老廃物の除去が効率的に行われると
老化が進むのではないか」という天羽さんの意見に対する
反論として述べたものです。
天羽さんは成長と老化を同一視しているようですが、
成長は老化でもありますが、
二つは完全に重なっているわけではありません。
老化は、成長以外の要素、たとえば栄養が届かないとか
老廃物が除去されないなどということでも促進されます。
ですから、栄養補給と老廃物の除去が確実に行われれば、
老化の進行は遅くなる(死までの時間が長くなる)のです。

細胞レベルの老化の定義が問題。老化って,寿命時計に従って起きるという仮説と誤り蓄積仮説があって,まだ決着はついてないのでは。それでも,テロメアDNAが分裂のたびに短くなるというのが鍵だということはわかってきてるはず。栄養が届かないとか老廃物が除去されないということが原因で細胞の寿命は短くなったとして,起きてる現象が老化なのかが疑問。てゆか分子生物的にみてどうよ?

>>皮膚に起こることは脳細胞にも起こるようです。
>「起こる」って何が?

脳のシミも消えます。(^^

>それ以前に,この話自体,誰かのジョークだとは思わなかったのか?
>吉岡氏はこの話をした奴にかつがれてるんじゃないか。

アレクシー・カレル博士は過去現在の「人類最高の知性」の1人です。
医学、化学、哲学などの分野に業績を残しています。
博士の「人間この未知なるもの」という著書は世界的名著と言われています。
ルルドでの体験は博士自身が書き残したもので、有名な話です。

本気でカレル博士が奇跡を主張してるのだとしたら,私や博士の頭を疑いますね。「明日をもしれぬ患者」の定義が我々と違ってるのかもしれないなあ。大体,この人専門は解剖学だしなぁ。

>異教徒でもルルドの泉に行ってもよくて奇跡の恩恵も受けられるってことは,
>ルルドの泉の気前は結構いいらしい,感心。

ルルドという名は「聖水」という意味で、キリスト教が成立するはるか以前、
紀元前からこの町はルルドという名なのだそうです。

>「磁気のゆらぎ」が大事なら,磁気処理装置に永久磁石なんか
>使っちゃダメじゃん。永久磁石の磁場ってマジで安定してますぜ。

「磁気のゆらぎ」が大事だとは言っていません。
奇跡が起こるときと起こらないときがある、
それは磁場がゆらいでいるからではないか、ということです。
ですから、永久磁石なら奇跡は常に起こる可能性があります。
(常に起これば奇跡ではないですが)
ピレネー山脈は磁気に通常でない状態が見つかっているそうです。
イベリア半島がここでくびれていて、造山運動が盛んで、
鉄鉱脈もあることなどが関係しているようです。
山塊の中で場所によって磁場が異なっていて(空間的ゆらぎ)、
一方で地下水はいつも同じ経路を通っているとは限らないのではないか、
その結果、ルルドで湧く水の磁気的な履歴は時間的にゆらいでいる
可能性があり、時々、強い磁場を通ってきた水が湧くのではないか・・・・
という推論です。
こういう視点で、ルルドの湧水を1年間くらい連続採取して分析すると
何か分かるかも知れませんね。(組成分析じゃダメでしょうが)

誰か,泉で水を採取して「ルルド」ってブランドのミネラルウォーター売ればいいのに。ボルビックやエビアンが商売になってるんだからできそうな気もする。コンビニでジュース並みの価格で買えれば利用者が増えるんで,奇跡が頻繁に起こるかどうかも確認できるんじゃないかなあ。

>本気でそう思ってるんなら,水の磁気処理やめろYo。
>吉岡氏推薦の磁気処理装置を使ったために植物が大型化したり
>恐竜が出たりしたら,一体どうしてくれるんだ?そんな奇跡はイヤだ。

私は、磁場を通った水は生物を巨大化するとは言っていません。
大きくなるのか小さくなるのか何も起こらないのか、
人類はまだそういう知識を持っていません。
しかし、地磁気と水と生命活動の間には何か関連があるのかも知れない、
という一例として、生物が巨大化した時代に思いを巡らしているわけです。
(ホント言うと、ぜい肉はとれるみたいです)

ロマンチックですねぇ(^-^)

>興味はあるけど,オカルトとして興味を持ってるわけじゃない・・・・っつーか,
>公務員の立場だの大学の責任だの中小企業の営業云々を
>山ほど持ち出しておいて,結局オカルト系水理論を語りたかっただけかよ!

磁気と水分子と生命現象との間にどういう関連があるか、
これはこれからサイエンスとして面白いテーマになります。
農学、医学、食品工学などの応用分野や、
水の物性を研究する物性物理の分野、
水分子自体の変化を考察する基礎物理の分野などで、
内外の大学や研究機関などで多くの研究が行われることになるでしょう。

既に生体磁気って研究分野があって昔から活発にやってますねぇ。水もちょくちょく登場してます。私の学位論文の副査が生体磁気の専門家で,話をきいたことがあります。一方,物性物理と基礎物理のテーマではなさそうです。少なくとも日本の物理学会と溶液化学シンポではいまのところそういう動きはないです。生命現象との関連ということになると,主題は生体磁気刺激じゃないかなあ。でも,静磁場では顕著な効果が出ない(ショウジョウバエも大腸菌も変化無し)し,変動磁場だと誘導電流による電気刺激の効果なのか磁場の効果なのかの区別が難しくなるし。私と話をするよりも,東大医学部の医用生体工学講座の上野先生のグループに連絡した方が,生体磁気の最新情報が手に入るかと。

吉岡英介

 


水商売ウォッチングのトップへ戻る
コメント一覧へ戻る

Y.Amo /
当サーバ上のページに関する問い合わせや苦情のメールは公開することがあります。