【注意】このページの内容は商品の説明ではありません。商品説明中に出てくる水の科学の話について、水・液体の研究者の立場から議論しているものです。製品説明は、議論の最後にある、販売会社のページを見てください。
浄水器の販売。
カルキやニオイ、
有機物(トリハロメタンを含む) などを取り除き、
ミネラル分豊かでおいしい水をつくります。
なかなかすぐれもののようである。ところが、その直後に
さらにおいしいだけでなく磁気処理や遠赤外線処理によって
活性化されたお水になります
といきなり追加されている。いいのか?さらに10大特徴を見ると、
- カートリッジ交換を光と音でお知らせ
- カートリッジ交換がワンタッチ
- 磁力パワーで2つの効果
- 遠赤外線でまろやかなおいしさに
- 高品質ヤシガラ活性炭でいやなニオイを取り除きます
- 活性コーラルサンドでミネラルウォーターに
- カートリッジクリーン機能ですっきり
- ツインフィルターで豊かなろ過水量
- 場所を選ばない、取り付け自在方式
と、大変に高機能である。ただし、3の説明として、
おいしくて健康によい磁化水に生まれ変わります。細菌の繁殖を防ぎます。
とあるが、ちょっと待て。水は反磁性体だから磁化しない。水に磁場をかけても、水には磁場を記憶する効果などないし、磁場をかけて循環させた水には細菌が繁殖しないという話も、管理された環境下で対照実験も含めた実験結果はまだ出ていないんじゃなかったっけ?(知ってる人がいたら是非教えてください。どうなってるか興味がありますから)
【追記】ここでの「磁化」は、強磁性体に見られる「自発磁化」の意味で、磁場を取り去った後まで磁場の影響が残るものを指している。全後の文脈から水が「生まれ変わる」つまり水の性質をその後長きにわたって変えるという主張であり、これは自発磁化と同様のことが起きるということなので、そんなことはない、という意味で書いた。厳密には、反磁性体は磁場をかけている間だけ、磁場と逆向きにわずかに磁化されるが、磁場を取り去れば元通りになる。
特殊セラミックから遠赤外線って出るのだろうか?セラミックヒーターなんでしょうか。センサーが付いているらしいから、設置に電源が必要かもしれませんね。そんなら赤外も遠赤外も出そうですけどね。でも赤外や遠赤外線の効果って、水の温度を上げるだけなんじゃ......。
特徴リストを見てわかるように、浄水器としての基本性能はかなりよさそうである。カートリッジ交換時期を教えてくれたり、フィルターの中の水を循環させてきれいに保つところなんか、我々が実験で使っている超純水の製造装置にも付いている機能である。至れり尽くせりなのである。
きっと、これを開発した人たちは、どのメーカーにも負けない浄水器を作りたかったんだろう。それでありったけの機能を入れて親切設計にし、勢い余ってまだ効果がはっきりしない機能まで組み込んでしまったんだろう。水に磁場をかける機能が組み込まれていても、セラミックが入っていても、材料としての質さえしっかりしていれば悪影響はない。浄水器としては何の問題もないのである。
3、4の説明は省いた方がいいかも。それでもこの浄水器のセールスポイントにはあまり影響しないし、十分売れると思う。
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