【注意】このページの内容は商品の説明ではありません。商品説明中に出てくる水の科学の話について、水・液体の研究者の立場から議論しているものです。製品説明は、議論の最後にある、販売会社のページを見てください。
ナノクラスター水VIVOの輸入販売をしている。この会社、もとは「高次元カーオーディオメーカー」だそうで、水の話を読む前に「高次元」てキーワードに惹かれるものがあったりもするのだが、水の説明も期待を裏切らないものであった。
天然の湧水に、ナノテクノロジーを駆使し、米国特許による特殊加工をほどこした硬度0のとても美味しい蒸留水です。
ナノテクノロジーや特殊加工はともかく、うまく蒸留して純水にしてしまえば確かに硬度は0であるからこれは正しい。(硬度:水中のカルシウムイオンとマグネシウムイオンの合計量をそれと同じ働きをする炭酸カルシウムの量に換算する。1リットル中に何mgあるかで示す。それぞれのイオンに係数を割り当てて、硬度=(Ca×2.5+Mg×4))
美しい星型をした超微細な分子から成り立っており
水分子の形は決まっていて、半径0.14 nmの球に近い。電子雲の形からいってもとがったりはしていない。結晶の写真はあるけども、水分子のミクロな形を反映しているわけではない。
その大きさと形状から体内の細胞壁を自由自在に通り抜けることができます。
自由自在に通り抜けられては細胞の方が困る。細胞内の水分量は細胞の側で適切に調整しているのだから。
その結果、体内の細胞が活性化し、
水が自由自在に通り抜けてしまって、水の出入りを制御できなければ、間違いなく細胞は死にますが。
水の分子構造は不安定で
水分子自体の構造は極めて安定である。水分子間の水素結合の寿命は10のマイナス11乗秒程度だ。
ナノクラスター水は、5から6個の分子が葡萄の房のような状態になって
こんなことはない。水分子は4カ所で水素結合できる(酸素側に別の水分子が2個水素結合し、水素原子はそれぞれ別の水の酸素原子と水素結合する。もちろん熱運動があるから、部分的に切れたりつながったりしているが、基本はこの形である。)ので、3次元的にネットワーク構造になっている。このモデルでは水の他の性質を説明できない。
水の分子は「モレキュール」という単位で表すことができるのですが
こんな単位はきいたこともない。少なくとも水の研究の分野では出てきたことはない。
冷蔵庫で冷やした温度、約4度で最適なクラスター状態になります。
水の密度が最大になる温度だな。
美しい星形結晶のため、2 ℃で凍り始めます。
これは家庭でも実験できるぞ。ただし、水素結合が切れて水分子がばらばらに近い状態で存在するとしたら、融点は数十℃下がるはずで、間違っても上がることはない。こりゃ水以外の何かじゃないか・・・・?
史上はじめて「CLUSTERED WATER」という商標を受け
商標って早い者勝ちでとるから、あるジャンルでとれた場合は必ず初では?他のジャンルで同じ商標がたまたま申請されてなければ、そりゃ史上初になるでしょうな。
VIVOは、100%ナチュラルで無添加、無着色、カロリーゼロ、カフェインすべてフリー。
そりゃ蒸留水だからでしょ。
そのテクノロジーが、アメリカ合衆国に認められたのです。
特許の請求範囲によるという罠。
さまざまな器官でトラブルが起きる現象の根本的原因は、クラスター水の減少によるものなのです。
新説だな。ところでページのどこを見ても、クラスター水をどうやって定量したか出てないのだが。
水道水や市販の飲料水ではその分子が細胞壁を自由に通り抜けることができるきれいな星形をしていません。
水はそもそも星形にならない、星形になっても細胞壁を通り抜けることとは無関係、そもそも自由に通り抜けられた日にゃ細胞が死ぬ、と各文節ごとに間違っている説明も珍しいな。高校の生物と化学の知識で間違いがわかる。何をどう考えたらこういう説明にいきつくのか。
飲んだ水は細胞壁のバリアを越えて中に入っていくことができず、
人の細胞に細胞壁なんてあったっけ?動物細胞は細胞膜だけ、細胞壁と細胞膜の両方を持つのは植物細胞ではないか。
水分分泌閉止を引き起こしてしまいます。
生理学の用語でもきいたことがない。製品は輸入品だそうだが、英語の説明を自動翻訳にでもかけたか?元はどういう単語だったんだろう。
「年齢別体内クラスターの変化」の図を見ても、一体どうやってクラスターの割合を測定したのかが謎である。もちろんVIVOそのもののクラスターをどうやって評価したのかも書いてない。これでは、この宣伝の「クラスター」を「hoge」に変えても含まれる情報に違いはない。
遊離基(フリーラジカル)を消去してくれます。
測ってから言え。
FAQもなかなか見所がある。
胎児を包む羊水はVIVOと同じ100%クラスター水です。
体内でできるなら、何も特別な水を飲む必要がないと思うが。羊水は普通にとった水からできているわけで、この論理でいけば、細胞や血管を通って輸送されている間に100%クラスター水ができそうなものだ。
VIVOはとても綺麗な星形をした、普通の水の100分の一程度の分子量しかない、蒸留水です。
普通の水の分子量は18だ。その100分の1分子量ってことは、分子量1以下だから、そんなのは少なくとも水じゃないし、地球上の物質でもない。てゆかそれ以前に分子量ってどういうものかわかって書いてますか?
アメリカでは、紅茶やコーヒーは蒸留水で作ります。またアイロンのスチームも蒸留水を使用するのが一般的です。
アメリカは広いからそういう人もいるかもしれないが、一般的じゃないだろう。
臨床実験が重ねられ、多くの実績をあげています。
で、どんな論文が出たの?それを示してくれないと根拠がないんだけど。
一日500mlのボトル一本の飲用をお勧めしております。
不純物のほとんどない水をこの量程度飲むことを薦めるのは、まあ妥当な話ではある。ただ、値段を見ると1本500mlの値段が約500円であり、普通のミネラルウォーターにくらべてかなり高い。ところで、各行ごとにツッコミどころ満載の宣伝になってるが、販売元のアメリカの会社の資料をそのまま使っているのだろうか。このベルテックという会社は、元々オーディオメーカーで、水や生物の知識が豊富な会社に見えないのだが、ひょっとして、全社あげてアメリカの会社にかつがれてませんか?
宣伝によれば、けっこう売れてて入荷待ちだそうで、本当においしくて売れてるならいいのだが、宣伝を信じた人が大量発生して売れてるのだとすると、日本の理科教育が根本的に崩壊しているとしか思えず、別の意味で憂慮すべき状況ではある。
【2002/08/12】
読者の方より、以下の情報をメールでいただいた。
ベルテックのコメント読ませていただきました。
ここの話は水商売ウォッチングに載せる以前の問題のように思えます。
あまりに嘘が多すぎる。
ちなみにホームページに記載されている米国特許を読んだところ、
請求範囲にはケイ酸塩や薬品、遺伝子?まで添加すると書かれており、
adding ....metasilicate salt
adding yeast cells or antiviral pharmaceutical agent....
以上5711950
adding a dietary supplement template...
以上6033678
どこが無添加なのか?どこが硬度0なのか?
と突っ込みたくなります。
その他の(もっと大きな)問題点は既に天羽さんにて記載済みですが、
開いた口がふさがらない内容です。
以上,つまらぬ追加情報でした。