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zorori (2008/05/15 18:49)
apj (2008/05/15 20:45)
Kei (2008/05/07 21:23)
default_main (0)
その言語における形と意味の対応に関する情報を持っていないと、その言語(の表現)を理解(あるいは使用)することはできない。といった、普段何気なく言葉を使っていると見落としがちなことをきっちり書いてくださっている。さらに、
水がある言語表現を「よい言葉」だと判断するためには、水自身が、と、わかりやすくまとめた上で、
その言語表現がどのような意味(内容)と結びついているのかという情報、と
その言語表現がどのような文脈に置かれるとどのような解釈を得るのかという情報
を持っている必要があります。さらに、
評価の基準に関する情報
も持っていなければならないでしょう。かなりの程度解釈を絞り込むことができたとしても、そこでその表現が良いか悪いかを判断するにはやはり何らかの知識が必要だと思います。
ある言語表現の、その物理的性質(形)のみと特定の評価を結びつけることは原理的に不可能と指摘している。私にとって気になったところだけを引用したが、ぜひリンク先を訪れて全文を読んでみてほしい。
posted at 2007/05/22 22:34:04
lastupdate at 2007/05/22 22:34:04
これはつまりアレですな。
「いい人だけど……」と言われるのと「悪い人……」と言われるのとどっちがシアワセな状況かという……
他にも『shineと書いた紙を見せたらどうなるか』などもあったが...
『アリガトウという言葉をかける実験者の優しさが結晶を美しくする』というのが、(信じてしまうような人たちには)受け入れやすい理由だと思うのだけど。
いいもなにも、最初に「言語学的な視点からの反論」と明言されているではないですか。科学的・教育的・美術的(さらにファンタジーとしても出来が悪いとも云われてるし)など、他の視点からの批判は他のかたがたが既におこなわれているので、それとあわせて総合的にみるべきでしょうね。
この表現が正しいのかどうか自信はないけど、
『ある言語表現を「よい言葉」だと判断』してるのは神経伝達物質を介してではないの?水はその媒体やん・・・
みたいな方向での解決でしょうか?
水が言葉を理解するとしたら、私の判断に水が受け取った感情のバイアスが既にかかってるということになるのだろうか。。。とか?
今まで殆ど見られなかった、言語学の立場からの纏まった批判が出たのは、良い事だと思います。
この場合は、どういう対象へ向けているか、という点より、水伝の主張を「言葉」の観点から見た場合に、どうおかしいか、というのを指摘したものなので(それが明言されていますし)、そこが重要ではないかな、と。
apjさん、丁寧な紹介ありがとうございました。
>こういう、言語レイヤーに頼った反駁でいいのだろうか。
他の方々が書いてくれたように、私の記事はあくまでも相手にする主張と問題になる領域を限定した論証です。これで水伝の全てが却下できるとは全く思っていません(し書いてもないと思います)。
言語学で確実に論証できるのはこの辺りまでです。私の力不足かもしれませんが。
そもそも水伝の主張自体が学問の言明としてははなはだ曖昧なので、色々逃げ道(らしきもの)があると思われちゃうんだと考えています。
個人的にはやっぱり水の物理的な性質からの反証が決定的だと思うのですが、できるだけ色々な空想的な退路を一つずつ確実に断っておくことも重要かな、と思ってこの記事を書きました。
まとめサイトも色々あることですし、「どこに逃げてもダメなんだ」ということがきちんと広まってくれると良いですよね。
なるほど、見せられた言葉や言われた言葉を水が理解しているというのはありそうにないわけですな。
理解はあくまでも人間の側にあるということで、水は人間の心に反応してきれいな結晶を作っているということなのだろうか。
凍らせて結晶を作るのは大変だから、そのままの水を測定して水の反応を調べることができれば、たとえば水に接続して人の心が読めるコンピューターなんてものを作ることも可能になりますね。
まてよ・・・
人体の中にも水はたくさんあって、特に脳の水分量は他の組織よりも多いそうな・・・ということは・・・まさか!!
「知性は水のおかげなんだっ!脳細胞は水と結びつくことによって知性を手にいれたんだよっ!!」
「水は何らかの方法で脳の水分と同調しているんだっ!水はテレパシーへの入り口なんだぁぁぁ!!!」
なんということだ・・・
以上、ちょっと暴走してみました。あぶないあぶない。
それだとすると、人間の心に反応して水脈やら鉱脈やらの在処を指し示すダウジングと変わらない気がします。
初めまして。今回はためになるエントリの公開、ありがとうございました。文系の方からの議論は少ないので、考えるための貴重な手がかりになると思います。
>「どこに逃げてもダメなんだ」
まさに、水伝はどの分野から見てもダメなんですよ。そのことをもっと広めないといけないです。
「理科」「科学」は、マスコミなどで取り上げられることも多く、理数力の低下というネタが出回りがちなので目立ちます。ですから、科学的にダメ、という議論は割とやりやすい。
ところが、科学以外の、いわゆる文系の分野にもそれぞれスタンダードがあり、そのスタンダードに照らし合わせてもやっぱり水伝はダメダメなんです(多分)。しかし、文系の考え方のスタンダードは、何故か科学ネタほどは世間で目立たないため、認知度が低いのではないかと思います。文系ではこれが標準的な考え方・わかっていることだ、というものとセットで批判が出てきてくれると、同時に文系の考え方の普及にもなると思います。
水が判断していないとしたら、誰が「ありがとう」がよくて「ばかやろう」が悪いと決めているのか。それは勿論実験する人です。だから「実験に先立って」良い、悪いはあらかじめ選定されています。実験者にわかる言語で、というところがみそです。
そこで、言語学者のところにはデータがありますのでたとえばサハプティン語とアパライ語とカネラ語(いずれも地球上に実在します)から、感謝と罵倒の言葉を抜き出して提供しましょう。江本先生なりに実験していただく。ただし、どちらがどちらなのかは実験者には教えずに、です。
「よいか悪いかさえ、実験者に全く判断できないデータ」を水が判断するでしょうか。
リンク先のdlitさんも懸念していたように、「水は人の心に反応している」という逃げを打たれてしまうかもしれません。これについても、哲学か倫理学あたりの専門家の反論を期待したいところです。とりあえず、思いついたことをば。
・とある議員のもとへ、袖の下を膨らませた業者が近づいてくる。その議員は、
1.心からの感謝の気持ちをこめて「ありがとう」と言いながら賄賂を受け取り、見返りに業者に便宜をはかる。
2.心からの侮蔑の気持ちをこめて「ばかやろう」と言いながら、賄賂を突き返す。
・大水害発生。死者、行方不明者多数。全壊した家屋は数知れず。そこへ、
1'.水害など関係なかった地域の人たちが、「水への感謝の気持ちを失くしたからこんな災害が起きたのだ」と言い、心をこめて、水に「ありがとう」と祈る。
2'.それを知った被災者が、心からの憎悪に駆られて「ばかやろう」と罵る。
水は、どう判断するんでしょうね。
言語学なんかは特に人文系の中でも社会的には認知度の低い領域でしょうから…もてはやされるのは「正しい日本語の使い方」などなので。
言葉の科学としての言語学(の考え方)ってものの一端でもこういう事例を機会に広く知ってもらえると良いと思います。
>とらこ@言語学徒さん
特に論に破綻は無かったようで良かったです(^^;
そういう実験は引き受けてもらえない…か、「そういう実験者が心を込められない言葉じゃダメなんだ」とか堂々と言われてしまいそうな気もしてくるのが怖いところです。
>天南星さん
僕は最初、「心に反応している」というところに追い込めばだいぶそのおかしさがわかってもらえるかと思っていたのですが、むしろ良い逃げ道のようで…逃げ道とすら思ってないかもしれませんが。
そもそもそこで気付いてくれる人は最初から信用しないかもしれませんね。甘かったかもと思います。
算数の授業なら国語の文法がおかしくてもよいとか、社会の授業なら理科の理解が間違っててもいいんだとかいう教育は、学問上は許されないのに、
「よい言葉をつかうべきだ」という一言だけで、「道徳ならいいんじゃないか」みたいな感覚で他の学問的な正しさが無視されて、水伝が支持されるのはおかしい、という理解でよいのですか?
ビリーバーが、言語の恣意性という概念や、文脈の重要性に思い至った際に、どう反応するか、という事に、興味がありますね。「心」とか「想念波動」とかに水が反応する、と言うなら、文字や音は関係無くなるし、文字や音に反応すると言うなら、言語の性質と全く相容れないので、完全におかしいのですよね。そういった指摘に、どう答えるのでしょうね。恐らく、「無視」するのだと思いますけれど。
poohさん
サン・ロレンゾ語なりあるいはpooh語とか適当な音や文字列を上記の実在することばにまぜると言語学的二重盲検はさらに確かなものになりそうです。
dlitさん
正面から丁寧な批判をされていることにまずは敬意を表します。上述のとおり、特に異論はありませんが上のコメントで言語学で確実に論証できるのはこの辺りまでとおっしゃっていることについては、まだまだdlitさんと立場が違う言語学者(たとえば生成文法の人とか)の視点などから突っ込みどころは他にもたくさんあると思われます。dlitさんの力不足という問題ではなくて物理や化学の分野からも多くの専門家が手を変え品を変え突っ込まれているのと同様に、言語学でもまだまだそれは可能だと思います。しかし誰もそれをやっていない中で、dlitさんが声を挙げられたことに、繰り返しますが敬意を表します。
apjさんがおっしゃっている文系のスタンダードについてですが、「文系」は広すぎてスタンダードといえる考え方はすぐには思い当たらないのですが、言語学に限定すれば、dlitさんやTAKESANさんや、皆様が繰り返し述べていらっしゃるような「言語の恣意性」やら「文脈原理」などが該当するかと思います。
ただし、dlitさんのコメントにありますように、言語学の社会的認知度は低いので言語学者は「正しい日本語の使い方」を研究している、あるいは推進している人たちではない、ぐらいから啓蒙を始めないといけないかもしれないです。それが面倒なんですが、一歩を踏み出されたdlitさんに少しは倣うようにしようと思います。
>「文系」は広すぎてスタンダードといえる考え方はすぐには思い当たらないのですが
共通の1つのスタンダードがあるという意味ではなく、文学の、言語学の、倫理学の……といった分野ごとに「これは外せないだろう」というものがあるはず、という意味で書いています。
いろんな方のお話を伺い、やはりそれそれの分野の基準に照らし合わせても水伝はダメだという結論になりそうだと予想しています。
ありがとうございます。
僕もむしろ、言語学の色々な立場からのもっと理論的に突っ込んだ議論とか読んでみたいですね。例えば認知言語学とか心理言語学の専門の方かとかから…
最近色々なサイトを巡っていて、ネットの世界でも結構言語学に関して誤解を含んだ記述が見受けられるので、そういった「基本的な考え方、姿勢」みたいなところもきちんと書いておいたほうがいいのかも、と感じ始めています。
ちなみに僕は結構生成文法屋です(^^;
(ど真ん中のチョムスキアンではありませんが)。
>apjさん
例えば言語学の中だけでも結構色々な(時には真っ向から)対立した理論的立場、考え方があるので、もしかしたら人文系の人はスタンダード、という言葉(の語感)にちょっと抵抗があるかもしれません。
でもそれはとらこさんも述べているとおり、それぞれの立場からの様々な反論が提出しうる、ということだとも思います。
スタンダードという言葉に抵抗があるようでしたら、「バックボーン」とか「基本的な考え方」といった言葉で置き換えてください。分野ごとにそれぞれ違っているということはわかりますし、どの分野から見ても批判できる、ということになるだろうと予想しています。
スタンダードの件、わかりました。とりあえず自分の関わっている分野のスタンダードなり基本的な考え方をどんどん出していけばよいのですね。おっしゃるとおり、どっからでも攻められるように思われます。
dlitさん
失礼しました。生成文法屋さんでしたか。あのエントリーではあまり生成文法色を強く出されていらっしゃらないようにお見受けしますが言語学一般ということに配慮されたということでしょうか。
それでは、もし間違っていたら直していただきたいのですが、「生成文法という言語学の一つの考え方から見ると、言語能力はヒトという種に生得的な脳の働きである。従ってチンパンジーとかイルカとかがなんやらコミュニケーションしているのはあれは言語ではない。いわんや脳を持たない水が言語能力を持つことはあり得ない。」と言ってもいいでしょうか?
言語学以前に素人として、水には耳がないのに聞こえるのか、目がないのに見えるのかとも思うのですが。
フォローありがとうございます。
上でも書きましたが、僕も色々な分野からの反論を読んでみたいと思っています。
>とらこさん
そうですね、まずは言語学者ならどんな立場の人でも納得できるような論を提示しておきたいと思ったということがあります。
最初から特定の理論色を前面に出してしまって、論点がそっちにずれるのはまずいなあ、と思いましたし、特に生成文法だと過剰反応される方もいるので(^^;
そこで、ご質問の件ですが、残念ながら生成文法の基本的な考え方ではそこまでは強く言えないと思います。
なぜかというと、生成文法がヒトという種に固有だと考えている言語能力というのは、「計算する」能力なのですね。ものすごく簡単に言うと単語を組み合わせて(原理的には)無限の表現を生み出す能力(こう言うとすぐ統語論偏重主義に結びつける人もたまにいますが、意味論でも音韻論でも計算はしますから)。
一方、水伝に出てくる言葉は単語ばかりですし、特に「ありがとう」なんかは特定の行為(謝意の表明)と結びついたある意味ではあまり抽象的ではない記号です。実際、類人猿の一部はこういった単純な表現なら覚えたり使ったりしますし。
生成文法は、そういった恣意的な結びつきにある記号(≒単語)を覚えたり使ったりすることは別にヒトに固有だとは考えていないでしょう。中にはそういう主張をしちゃう人もいるかもしれませんが…というわけで、水伝に出てくる言語表現に関しては、生成文法の立場から重要とされる「言語能力」に結びつけてはあまり語れないというのが正直なところです。
ただ、エントリの最後に書き足しましたが、例えば「しようね」のような文法的に複雑な構成のものや、「愛、正義」といった概念として抽象的なものを水が理解するという主張に対しては、生成文法や意味論からのローカルな反論が構成できると思います。
あと、これもエントリのコメント欄に書きましたが、よしんば水が何か聞こえたり見えたりしても、文字や音というのは連続的な物理的実体なので、それを離散的な言語表現として「認識」するにはまたそれに関する知識が必要なのですよね。
子どものいない夫婦が木の根っこを子どもに見立てて可愛がっているうちに、木の根が生命を持って動き始め・・・最後には家中の食べ物、両親、近所の人たちを食べ、際限なく大きくなっていく…
チェコの民話がもとらしいですが、民話だとて、何かに気持ちが通じたとしても、期待する反応が返ってくるわけでもなさそうだ・・・と思いました。
ところで、水伝的には、水ってどこまで「目?」や「耳?」がいいんでしょう?昨日、実験キットを探していたら、「ごはんに声かけ実験キット」をみつけてしまい、これはアカンだろうと思ったと同時に、「ありがとうのごはん」に「ばかやろう」が聞こえたら…と小心者の私は気になって仕方がありません。
解説ありがとうございます。言語学にもいろいろ異なった立場があり各方面から「ここまでは突っ込み可能か」「もうちょっといけるか」なんて議論が成り立ち得ることを示していただいているように思います。最後に書かれている文字や音の認識の話もとっても大事だと思っています。私もこれはどこかに書きたいと考えていることの一つです。
すっぱいぶどうさん
「ありがとうのごはん」はポジティブシンキングだから大丈夫じゃないでしょうか。自分に都合の悪いことは聞こえない、ともいいますが。
「バカ」も優しくささやけば愛の言葉になるし、「ありがとう」も嫌味をこめることができる。どういう状況、どういうニュアンスで発せられたかによって、同じ言葉でも意味はぜんぜん違ってしまう。
「バカヤロウは悪い言葉」なんて決めつけるのは、国語教育という点から見ても間違ってます。