マイナスイオンの件、電話取材を受けました

 八戸大学の高大連携事業のマイナスイオンマップの件、朝日新聞の長野記者から電話取材を受けていました。記事になる前に話題にするのはよろしくないので黙っていましたが、本日記事が出ましたので紹介します。記事カテゴリーは「朝日新聞デジタル> マイタウン> 青森>」です。

マイナスイオン実習を中止 八戸大

2012年11月09日

 「体によい」などと紹介される一方、その根拠があいまいとの批判も多いマイナスイオンについて、八戸大学は今月、3年間続けてきた測定の実習を中止した。大学は「商業用語と科学を混同していた。反省を教育に生かしたい」としている。
 マイナスイオンは、一般に空気中の電気を帯びた物質を指すとされ、インターネットには「自然治癒力を上昇させる」とか、「血液サラサラに」などの説明が多い。2000年前後には、効果をうたう家電製品も多く販売された。
 一方、科学理解を養う科学リテラシーの講義を持つ山形大の天羽優子准教授によると、マイナスイオンという言葉は科学用語に存在せず、健康効果を示す科学論文もほとんど無い。立証されない効果をうたう商品・商法には批判も多く、公正取引委員会から効果をうたうことを禁じる排除命令をうけた商品もある。
 八戸大は三つの高校とともに10年から十和田市の奥入瀬渓流で、市販の測定器を使ったマイナスイオン測定を開始。結果を健康効果の説明と併せ、ネットやパンフレットで紹介してきた。これまで5回、測定会を開き、のべ36人の高校・大学生が参加した。
 大学の担当者は「インターネットなどを使った観光PRの手法を学んでもらう目的だった」と話す。
 10月末、測定会を報じた新聞記事が科学者の間で話題になり、天羽准教授は「効果のはっきりしないものを確定したもののように教えるのは問題」と、電話で八戸大に伝えたという。
 大学は2日、ホームページに「マイナスイオンは明確な定義の無い用語。実習で使ったことをおわびする」との学長名の声明を掲載、実習中止を表明した。今後、参加した学生にも説明するという。
 担当者は「恥ずかしいことだが、当初の検討が不十分で、あいまいなマーケティング用語に踊らされた。学生が同じような失敗をしないように授業などで伝えていきたい」と話す。
(長野剛)

 記事中でも言及されていますが、マイナスイオンと血液サラサラの組み合わせは最悪でした。
 マイナスイオン関連の商品販売時に、血液サラサラのデモンストレーションをするため、業者が勝手に客から血液をとって顕微鏡で見せるといったことが行われました。採血の方法は、小さな針を指の目立たないところに刺して一滴だけ血液をとるというものです。シリンジを使った本格的な採血ではなかったので、不審に思わずに応じてしまった人も居たのだろうと思います。問題は、針の滅菌が十分でなかったり、採血器具の針のキャップが使い回されていたらしいことです。このため、血液サラサラのデモ付きセールスを受けた人が、B型肝炎などに感染した可能性があります。マイナスイオンをそのまま信じるような知識しかない業者が、医療機関並みの注意深さで針や器具を滅菌してくれることは全く期待できません。
 マイナスイオンと血液サラサラ大流行中の時に、針刺し血液サラサラ検査を業者にされてしまった人は、必ず医療機関に相談し、必要な検査を受けて下さい。私も、本務校での講義の度に、学生の父母や親戚の年配の方でこの検査をされた人が居たら医療機関に相談するようにと伝えていますが、十分ではありません。マイナスイオンに踊らされるだけなら財布が痛む程度で済みますが、血液サラサラとの組み合わせの方は健康被害が発生する可能性が高いのです。この話は、以前、学外ブログに書きましたが、大事なことなのでここでも繰り返しておきます。
 八戸大学もマイナスイオンのまずいところに気付いてくださったようですので、できれば血液サラサラ採血についての注意喚起をお願いしたいところです。