雑記帳
全共闘時代用語の基礎知識 極私的新人類バージョン(2002/10/29)
たまたま、「全共闘時代用語の基礎知識1960-1975」(以下、オリジナル、と呼ぶ)というページを見つけたのだが、その用語の多くは私の知らないものだった。私の世代は、全共闘世代よりはかなり下で、一時期「新人類」と呼ばれた世代である。そこで、上記の用語集に出ている用語が、私の世代ではどうだったか、どこでその言葉を知ったかを、個人的なメモとして残そうと考えた。ちなみに師匠の冨永教授は全共闘世代(の終わりの方)にあたるため、ときどき言葉が通じない場合がある^^;)。なお、このページは思い出したことを少しずつ追加していくつもりである。当ページの内容は極私的なものなので、それなりに正しい用語の意味は、オリジナルを見て確認してほしい。もっとも、オリジナルの方も、正しさについての保証はしていないのだが・・・・。私の後の世代では、きっと、言葉自体を生まれてこの方聞いたことがない、という人達が急激に増えているんだろうなあ。
アジ【あじ】〔名詞〕
「政治家の演説は全部アジだ」と高校の時の社会科の先生が言っていた。そりゃそもそも定義だろうという。
大学には、時々、アジりにきた自称活動家がいたが、看護学部では見事に空振りした。看護学部の学生達(ほとんどが若い女性)が授業の始まるのを教室で待っていたところへ行って、ビラをまいて演説を始めたのだが....何せ若い女性達は、仲間同士のおしゃべりに熱中していて、演説にはまったく反応せず、そちらを見ようともしない。活動家氏の声は次第に小さくなり・・・・フェードアウトして教室を出ていったそうな。教授でも授業中のおしゃべりには打つ手無しのこのご時世に、女性のおしゃべりvs.アジでは、まあはなから勝負にならないのも無理はない。
千葉大学生協エリアと図書館の間にある赤煉瓦敷きのスペースは、外からヘルメットをかぶった人達がやってきて「革命がどーたら」と大声張り上げて演説をするので、「赤の広場」と呼ばれていた。その脇でダンス部が音楽をかけて足を高く上げて踊っていた。
いちご白書【いちごはくしょ】〔固有名詞〕
映画だとは全く知らなかった。サンリオが出していた「いちご新聞」の姉妹編かと思っていたのだが全く違った。「いちご白書をもう一度」という歌は、合唱をやっていた関係で歌ったことがある。
※元々は映画じゃなくて本だそうです。ジェームズ・S・クネン著、青木日出夫訳、角川選書。副題が「ある大学革命家のノート」。(掲示板[1450])
※歌の方が有名ですが、歌では、確か、いちご白書の映画を見てた、という歌詞だったような気がします。(掲示板[1487] )
※パルコ出版のご教訓カレンダーで、だいぶ前に、「『いちご白書をもう一度』をもう一度」というのがありました。(掲示板[1487] )
一点突破・全面展開【いってんとっぱぜんめんてんかい】〔標語〕
冨永教授が口にしたことがある。
文字通りの意味で、どこかのボトルネックを解消すると全体が良くなるという意味だと思っていた。っていうか、通信経路で遅いところを重点的に速くしろとか、プログラムの最適化は最も時間がかかる部分でやらないと全体に効果が上がらないとか。
北斗の拳?あれは一点じゃ済まないか・・・・。「拳児」に出てきた点穴とか。
SDS【えすでぃーえす】〔組織〕
そもそも組織名だと思ってなかった。ところで、バイオで使うSDS PageのSDSって何の略だっけ?
※バイオの方は、sodium dodecyl sulfate。(掲示板[1447] )
※組織の方は、『いちご白書』では民主社会学生同盟と訳されていますね。もともとはフェビアン主義団体のLID(産業民主主義連盟)に属する学生組織。1962年に事実上独立……のような意味のことが説明されています。
1967年、全国会員6600人、地方会員3万、支部の数277、だったそうです。 (掲示板[1453])
エンプラ【えんぷら】〔固有名詞〕
技術用語の「エンジニアリングプラスチック」の略だと思っていた。「エンタープライズ」の略だと言われると、アメリカの原子力空母のかわりにスタートレックを真っ先に思い浮かべた。
オルグ【おるぐ】〔名詞〕
RPGのキャラの属性(エルフとかドワーフとか)に、似た名前のが無かったっけ?
解放派【かいほうは】〔組織〕
学生時代に一番よく目にしたビラがここのだった。ビラはたくさん見かけるのに、まいているところを見たことがない。でも内容は更新されている。一体いつビラを学内に持ってきていたのか、未だに謎である。
過激派【かげきは】〔名詞〕
たまに、機動隊と殴り合ったり、電車を止めたりしている人々。誰彼かまわず因縁をつけたりしない点がヤクザと異なる。
活動家【かつどうか】〔名詞〕
活動家と自称する人に学内で会って、ビラをもらったことがある。しかし、だいぶ年配で、どう見ても学生には見えなかった。確か中核派だと言っていた。今頃どうしているだろう(遠い目)。
ゲバ棒【げばぼう】〔名詞〕
昔のニュースを紹介する番組とか写真とかで、ヘルメットかぶった学生達が持っているのを見た。実物を見たことはない。角張っていたら持つのが大変そうだ。トゲが刺さって抜けなくて痛い思いをするのが嫌なので、中国拳法の棍の方が良さげ。殴り合ったらもっと痛いか。どっちにしても人混みで振り回すものじゃない。同士討ちするだけのような。振りが小さくても殺傷力があるのは、やっぱりハンマーとか千枚通しとか・・・・・。
武器の選び方、間違ってませんか?
原研【げんけん】〔組織〕
オリジナルの方では「原研」となっていたのでそれに従ったが、我々の頃は「原理研」「原理研究会」と呼ばれていた。今も多分そうだと思う。
大学で、「**大学生新聞」というのを出していたら、大抵はここの関連だった。一見普通の学内新聞なのだが、評論の部分で微妙に統一教会をヨイショしているという....。高校の時の同級生が大学に入って勧誘されたが、実体を知って仲間を説得して逃げ出したと言っていた。学内では民青同名と喧嘩していた。「共産主義研究会」というフロントサークルを学内で作って、ビラをまいていたが、ビラの紙質は解放派のとは違って上質紙で、片面はマンガで、親しみやすい雰囲気を出していた。なお、宣伝用の立て看のデザインは、色・文字ともけっこうキレイで、一般のサークル以上、マンガ研究会など絵を専門にするところ以下、といったところだった。
※原研@東海村、だというツッコミがあった(掲示板[1486] )
公安【こうあん】〔組織〕
カルトの摘発の方をしっかりやってくれと思う。
コンパ【こんぱ】〔名詞〕
酒場の方式だとは知らなかった。私が大学に入った頃には既に「宴会」と同義語として使われていた。例:新歓コンパ。
産学協同(路線)【さんがく-きょうどう(ろせん)】〔名詞〕
企業と共同研究して積極的に世の中に役立つものを出せ、特許もどんどん出せ、というやり方。社会人大学院生もせっせと受け入れる。どっちかというと、プラスイメージの言葉なんだがな。ただ、教授が「お前の論文より特許が先だ」と言って、院生の研究をさんざん振り回して、規定の年限で学位がとれない人が続出するというのはやめてくれ。学位審査で「特許に抵触するのでお答えできません」と審査委員に向かって答えさせるというのも何かが違う気がする。
三里塚【さんりづか】〔固有名詞〕
空港だと延々大揉めになるのに、同じように農地を買収しても、筑波学園都市を作るときには何も問題が起きなかったのはどうしてだろう? 千葉と茨城で農家のメンタリティが違うのか?
よくわかりません。
自己批判【じこひはん】〔動詞〕(オリジナルには記載無し)
総括のときに多用された言葉・・・なんでしょう、多分。高木彬光の「神曲地獄変」に出てきたはずだが既にうろ覚え。普通の学生団体では「自己批判しろ」の後はせいぜい罵り合いで済んでたものが、過激派ことに赤軍になると、「自己批判しろ」といわれて素直にしても赦してもらえず、逆にリンチにあって殺される。
※高橋留美子の「めぞん一刻」でも、五代君が大学で悪友(坂本) に向かって「自己批判しろ」と言う場面が登場します。(掲示板[1486])
>つうことはさ、「めぞん一刻」は文庫になって普及してるから、私らより下の世代は、「自己批判」=「めぞん一刻」で出てきた言葉、として受け止めるのかな。最近初めて「めぞん一刻」を読んだ学生にとっては、多分、「自己批判」が学生運動と結びつかないだろうね。
シンナー【しんなー】〔名詞〕
いわゆる「不良」が、これをビニール袋に入れて吸うとされていた。中学・高校の非行取り締まりの対象。
赤軍派【せきぐんは】〔組織〕
ハイジャックばっかりやってた団体。日本赤軍と区別がつかないんだけど、正確には別だっけ?
週刊朝日に連載されていた「デキゴトロジー」に出ていたネタでは、テレビのスポンサーにJRAと出たのをみた視聴者が、「赤軍(Japanese Red Army)をスポンサーにするとは何事か」とクレームをつけたところ、Japan
Racing Association、つまり中央競馬会だったという話だった。
全学連【ぜんがくれん】〔組織〕
学生運動の団体。名前だけきいたことがある。
全共闘【ぜんきょうとう】〔組織〕
学生運動の団体。名前だけきいたことがある。何かの本で、「全学連と全共闘」というのがあったので、読んだ記憶があるが、内容は完璧に忘れた。
総括【そうかつ】〔名詞〕
サークルのイベント反省会をこう呼んでいた。大学祭の後の打ち上げを「総括」と称することもある。ちょっと固くてカッコいいイメージがある言葉。実態は、感想などを述べて乾杯して、そのまま2次会になだれ混む。
造反有理【ぞうはんゆうり】〔標語〕
冨永教授からきいた言葉。「造反」というと、時代劇で主君である殿様を裏切る、謀反というイメージがあるのだが。年末ドラマ定番の赤穂浪士のことか?
タテカン【たてかん】〔名詞〕
どこのサークルも、新入生を勧誘するのに、工夫と意匠をこらしたのを立てている。あとは、演劇部の公演案内とか。
大学解体【だいがくかいたい】〔標語〕
なぜこれが標語になっていたのかさっぱりわからない。解体して何かいいことがあるのだろうか、っていうか、過去に、解体した方がいい状況なんてあったんだろうか。
放って置いてもそのうち勝手に崩壊するものを、何もあわてて壊さなくてもいいだろうに。単に労力の無駄な気が。
中核派【ちゅうかくは】〔組織〕
ビラを見たことはほとんど無いが、タテカンと自称活動家は学内で見かけた。ある時期から、「反戦会議」という名前のフロントサークルを作って活動していた。私が在学中に、学生で入った熱心な人がいるという噂をきいて(しかも、中核派に入りたくて千葉大に入った、という噂も流れていた)、どんな奇特な人だろうと思っていたら、ある日、珍しくサークル会館にビラをまきにきた。いきなりドアを開けて入ってきてビラを置いて「中核派です」と言って出ていったので、今の人がそうだったのかと思いつつビラを見ると「反戦会議」となっている。「違うやんけ」と突っ込んだら、5秒ほどしたらもどってきて、ドアを開けて顔だけ突きだして「反戦会議です」と訂正してまた立ち去った。居合わせた仲間と爆笑した。妙なところで律儀だと思った。両方の団体名で同じような内容の活動をしてたから、今どっちの活動してるか本人もわからなくなったのだろう。
なぜかJR分割民営化反対に肩入れしていた。挙げ句に、線路脇のケーブルを切断しまくって電車を止めてくれた。「スト」は自分からするもんだと思っていたのだが、彼らにかかると自動詞じゃなくて他動詞に化けて、「電車をストさせる」てことになる。ちょうどこの日、医療情報学会で手伝いをすることになっていて、都心に出なきゃいけなかったのに動きがとれない。学会会場では最先端の情報処理の医療への応用について議論がなされていた一方、インターネットの普及にはまだ遠い時代のことで、電車の復旧情報からは完全に取り残されていた。
投石【とうせき】〔名詞〕
投げているところは、昔のニュースのビデオでしか見たことがない。昔東大に学生が立てこもっていた頃、スキー板をかついで歩いていた冨永教授には、理学部と図書館の両方から石が飛んできたらしい。素朴な疑問なんだけど、なぜ素手で投げているのだろう?投石器なんて紀元前からあったはずだ。お手軽なやり方では、タオルとか布に石を引っかけて、回しながら投げるというのがあったはずだ(が、このやり方も、情報源が「MASTERキートン」だったりする)
砦の上にわれらの世界を【とりでのうえにわれらのせかいを】〔固有名詞〕
元ネタが東大闘争の記録だとは・・・・。いや、先日、講談社文庫の「灰色の砦 建築探偵桜井京介の事件簿」(篠田真由美著)を読んだら、こういうフレーズが出ていて、元ネタの見当がつかなかったんだよな。本文中には説明があったが、正直、それが作者の創作かどうか判定できなかった。ほら、もっともらしい資料を引用してるけどそれも創作だってのがあるでしょ。
※本当の元ネタはワルシャワ労働歌の出だしの部分の日本語訳だ、という指摘をいただいた。(掲示板[1444])
ハイジャック【はいじゃっく】〔名詞〕
政府と交渉したり亡命したりしていた頃はのどかだったな。今じゃハイジャックされたが最後乗客全員死んだものと思え、って感じですか。 言うこときいたって、全員道連れで自爆されるんだったら、多少の犠牲は覚悟でハイジャック犯を始末することを考えた方が、助かる確率が高くなるはず。
パルチザン【ぱるちざん】〔名詞〕
マンガに出てきた。松本零士とか新谷かおるとかの戦場マンガで。
マル経【まるけい】〔名詞〕
経済学部内で、マル経の教官同士、立ち聞きはするは怪文書は飛ばすはの泥仕合を未だにやってるって本当ですか>某大学
民青【みんせい】〔組織〕
「日本共産党とは別の組織だ」って宣伝してるくせに、人を勧誘するのに千葉の共産党事務所に連れ込んで2時間近くも粘ったりすると、誰も本気にしないんじゃないかと。
同じクラスの人が二人入って、「民青同盟の活動をしても学業に差し障りはありません」って勧誘してまわっていたが、3年から4年に上がるときに見事に二人ともそろって留年した。「お前ら、説得力って言葉知ってる?」って思わず突っ込んだものだ。
連合赤軍【れんごうせきぐん】〔組織〕
高木彬光が「神曲地獄変」で描いた団体。あさま山荘のときは、テレビで中継していたはずだが、見た記憶がない。そのくせ、日清食品が現場の機動隊にカップヌードルを差し入れて、そいつがテレビに映ってすさまじい宣伝効果だったとかいうネタだけ、なぜか伝わってきている。
ロックアウト【ろっくあうと】〔名詞〕
冨永教授の話によると、東大の場合、立てこもっていた学生を全部追い出したとたんに、見事に軒並み泥棒にやられたらしい。「今なら誰も学内にいない」という状況が大学当局の保証付きなわけで、窃盗犯には絶好のチャンスとなった。
私の場合は、夏場に節電のために実験停止命令が出てロックアウトされた。
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