私の友人のページに対して、削除依頼が来たという話である。どんな削除依頼があったかについては、極私的なメーリングリストでは流れたが、今後のこともあるので、伝聞という形でしか書きません(引用はしないということ)。
とりあえずの対応は、「削除依頼?」に出ている通りである。1ch.tvという掲示板があって、その掲示板の運営方法について、批判的なコメントを私の友人が書いた事に対して、掲示板の運営者から、その批判を取り下げろという要求があったということなのだ。
最近、2ちゃんねるの管理者が、掲示板に書かれた内容について、動物病院に訴えられて一審判決で敗訴するということが起きた。動物病院に関する書き込み(オリジナル情報は未確認だが、ヤブとかいろいろ書かれたらしい)について、削除要求をしたのだが応じてもらえなかったという理由で裁判になった。この件については、私も正確なことは知らないし、そもそもの削除依頼がどれを削除したらいいかがわからないような内容だったという話も出てていたりする。だから、動物病院側が裁判ゴロだったのか、それとも2チャンネル側の対応がまずかったのか、はっきりするのはもうちょっと先になると思う。2ちゃんねる側は控訴するということだ。変な前例にならないような判決を望みたいところである。
それはともかく、この敗訴のニュースで調子にのったのか、自分のサイトに対する批判をしているサイトに対して、削除要求を出しまくるという動きも一部であるようで、こっちの方が憂慮すべきことである。このような動きにについては、既に、2ちゃんねるのヲチスレ「反2ch活動最大の危機 1ch.tv Part152」の方でも話題になっている(参考URL:1ch.tvウォッチング関連情報)。
私の友人のサイトも、この動きに巻き込まれたのではないかと私は考えている。
極私的なメーリングリストには、1ch.tvが送った削除依頼そのものも流れた。私も見たが、まともな削除依頼に見えなかった。内容は「悪意を持ったコンテンツがある旨知らされたので削除してくれ」というだけ、本当にそれだけで何の情報も含まれていないものだった。「悪意がある」という判断は、管理者にたれ込んだ誰かさんの感想であって、管理者がどう判断したかはメールには一切書いていなかった。コンテンツのどの部分に引っかかったのかということも全く書いていなかった。これでは、一体どれを削除したらいいのかが、受け取った側だってわからないだろうに・・・。で、当然、上のリンクで示したように、「どの文書のどの部分でしょう?」という話になっている。
私が考えるに、私の友人の書いたコンテンツと1ch.tvの関係は、2ちゃんねると動物病院の関係とは全く異なる。2ちゃんねるで問題になった書き込みが誹謗・中傷にあたると仮定した場合、
ということが起こりうる。一方、1ch.tvの場合は、
という違いがある。このことを認識しないで、批判を書いた相手に対して批判を取り下げろというのはちょっとおかしいのではないか。ネット上でコンテンツを公開するということは、本を出版するのと同じで、ファンもつくかもしれないが、批判を受ける覚悟も同時に必要だということだ。批判されるのがイヤなら、ネットになど出てこなければいいだけのことだろう。
2ちゃんねる敗訴で、今ならごり押しが通ると思ってる人が居たら考え直した方がいい。最初から公開されている情報に対する批判については、裁判所の判断だって違うはずだ。しかも、メッセージを特定しないでの削除依頼をするなど、萎縮させることを狙っているようにも見える分悪質に思うが、どうだろう。不当に言論と表現の自由を萎縮させようとしたという批判をされるのは、削除依頼を出した側になる可能性が高いんじゃないかな。
まあ、しばらくは、私の友人と1ch.tvの交渉がどうなるか、見守っていくつもりである。もともと1ch.tvは運営サイドによる削除が多い掲示板らしいんで、自分のところの投稿の削除だけでは飽きたらずに、とうとう他サイトのコンテンツまで削除しようとし始めたようにも見える。
書いたその日に追加するのも何だけど、1ch.tvの「ご利用に際してのお約束」を見てきました。
「削除基準は「悪意」の有無に基づく」とあるけど、書いた側の真意なんか判定しようがないから、運営側が悪意と判断すれば自由に削除できる、と解釈するしかないですね。「良薬は口に苦し」ってことわざ知ってるのかしらね。「読んだ人が気分を悪くするような書き込み」っていっても、何を読んでも気分を悪くする人だっているかもしれないから、ガイドラインにはなってないです。てゆか「自分はこれを読んでも気分が悪くなりません」という主張は通るのでしょうか。やっぱりこれは「(運営サイドで)読んだ人が気分を悪くするような書き込み」と読み替えるのが正しいのでしょうね。「当方が削除必要と認めた内容は随時削除します。 削除の理由は開示しません。 」だから、やっぱり管理者側がイヤだと思う内容はどんどん消しますってことだし。この1行だけでも削除基準としては十分内容が尽きている気がします。そして、「削除が嫌な方は書き込まないでください。 」と断ってあるあたりは、削除基準を考えれば大変に納得がいきます。こう断言されるとある意味あっぱれです。私は、このお約束を読んで、1ch.tvに書き込む気が失せましたが。いつ消されるかわからないような場所に書き込む位なら、他にもっと削除されなさそうな場所はいくらでもありますから。でも、ちらっと見た感じでは、それなりににぎわってはいるようなんで、納得して書いてる人が居るってことなんでしょうね。
でもね、法的措置云々を強調するんなら、どういう条件で規制されるのか、規制される側にもわかるような構成要件がはっきりするような規則を作った方が良さげなんですけども。まあ、別に1ch.tvを使わない自由は常にあるわけだし、私企業がやってる掲示板の運営規則をどう決めようが、そんなのは運営する側の自由ですしね。
「ごあいさつ」を見ると、「誰もが安心して使うことができるコミュニティスペース」って書いてあるんだけども、書いた内容をいつどんな基準で削除されるかわからないんじゃちっとも安心できない気が。
このお約束の内容は、確かに、友人のページに来た削除依頼とコンシステントな内容ではあります。しかし、お約束が通用するのは、1ch.tvの中だけなんじゃないか?他人のウェブページのコンテンツの削除基準に適用するなんてのは、まったくもって大きなお世話である。あんたらだけでその規則でやってなさい。ローカルルールを外まで持ちだすなよな。社内規則に従ってないってなクレームを、社外の人間につけたりはせんだろ普通・・・。