1999/07/02-1999/07/07まで、スペインのグラナダで4th liquid matter conferenceがあったので参加してきた。本当は教授が参加するはずだったのだが、事情により私が代わりに出ることになった。
実は、私は海外へ出るのが今回が初めてなのだった。卒業旅行は、卒業の度に進学とそれに伴う引っ越しで予算も時間もとれなくてやったことがないし、最後の卒業(博士課程)のときは、先の収入をどうするかが問題で、やはりそんな余裕はなかった。博士過程の期間中に、プロジェクトで1カ月位フランスへ行くチャンスがあったのだが、来年卒業の同級生と順番を入れ替わって先にのばしたら、私が行く頃には、教授が指示した私の学位論文のテーマがつぶれるという騒ぎで、海外研修どころではなくなってしまった。
初海外旅行が初国際会議でしかも一人で行く、その上行き先が英語圏でないということになった。
さて、カンファレンスのウェブページからホテルや会場その他の情報をとり、何とか登録とホテルの予約もやった。最初に貰ったパンフレットには、主催がグラナダ大学であることは書いてあったが、会議を実際にどこでやるのか何も情報が無かった。ウェブページを順に見ていくと、会議は大学ではなくて、グラナダの街の中心部にあるカンファレンスセンターで行われると書いてあり、カンファレンスセンターの写真と住所、電話番号、Fax番号が書いてあった。グラナダの街は通りのすべてに固有名詞がついており、住所は通りの名前と番号で表されるので、住所を見ればどの通り沿いの建物かはわかる。しかし、会議場は観光の中心地からははずれており、「地球の歩き方 スペイン編」の地図にものっておらず、スペイン語で書かれたグラナダ市街地図でやっとどのあたりかわかるという状態だった。スペイン語の地図は慣れないので読みづらく、いささか心許ないので、もう少し詳しい情報がほしいと思って、ウェブページの「会議場に関するmore
information」の項目をクリックしてみた。
会議のパンフレットに記載の宿から会議場への行き方とか、会議場のある場所を示した地図とか、どのバスに乗ってどこで降りろとかいう情報を期待していたのだが......出てきたのは会議場の中のきれいな写真が数点と、「いかにいい設備をそなえた会議場であるか」という宣伝だけだった。
グラナダの街にたどり着いたはいいが、バスの運転手さんに「ここだよ」と言われて降りた場所がどこなのか、見当がつかない。一緒のホテルを予約した日本人の先生とたまたま一緒になったので、ともかくグラナダの地図をひろげて、そのへんにいたおばちゃんにたずねると、ものすごい早口のスペイン語でまくしたてられた。それでも、通りと地図を指さして身ぶりで今我々がどこにいるのか教えてくれ、ホテルの名前を言うと地図上でここだと教えてくれた。確かに今歩いている通りをずっと行った先の交差点のところにあることがわかったので、歩き始めた。
ところが、指さしてくれたところにホテルがあるにはあったのだが、それは、「Luna de Granada」という立派な4ツ星のホテルであった。私達は「Luna
Arabial」という3ツ星のホテルを探していたのだが、そういう表示はその一角を一周してみたがどこにも無かった。
そこで、その4ツ星ホテルのフロントのお姉さんに、「Luna Arabialはどこか」と英語でたずねた。ホテルのフロントでは英語が通じるのだった。我々は地図を持っていたしそれを見せて訊ねたので、地図上で位置を即座に教えてくれることを期待していたら、そのお姉さんはどこかに電話をして、スペイン語で何か問い合わせてをはじめた。
なんで場所を教えてくれないのだろうと思いながら、ともかく電話が終わるのを待つことになった。電話が終わったお姉さんは、「確かに予約はちゃんとされていて、そのホテルはこの隣のビルで、入り口は反対側だ」と教えてくれた。我々は3ツ星マークがついているだけのドアを見つけて、そこのフロントで、
一見Luna de Granadaの一部のように見える両側の小さな建物が3ツ星ホテルで、
両方とも同じグループのホテルで、
真ん中の立派な4ツ星をmain hotelと呼んでいて
Arabial通りに面した3ツ星がHotel Luna Arabial
高速道路側の3ツ星がAparthotel Luna
であることを教わった。
グラナダに着いたのは現地時間の朝の10時前で、カンファレンスの受け付けは夕方5時から開始、ウェルカムパーティーが夜8時からである。5時ちょうどに会議場にかけ込んでもそこで待たされることが予想されたので、先に観光しようということになり、知り合った先生と出かけた。市の中心部(市役所の隣)に観光案内所があることがガイドブックに書いてあったので、まずはそこで情報収集をと思ったのだが...。
まず、下のような案内を見つけた。「観光案内所はこっち」と書いてある。そこで、矢印の示す方向に歩いていったのだが、案内所らしきものが見あたらない。
さんざんさがして、やっと観光客らしい人が出入りしている建物を見つけて行ったのだが、その入り口の上には、次のような看板が出ていた。
我々は最初の看板と同じものが、案内書の入り口付近に掲げられていることを期待して、それを探していたのだが、見つからないわけである。色も違うし、スペイン語の案内の単語も違う。そのうえ、後の方の「i」の字は修飾されていて、しかもこの看板は透明な板でできていて、色もそんなに鮮やかでないので、この記号が「i」だと気づくまでに随分かかった。
.....場所がわからんから案内所が必要なのに、案内所そのものが見つけにくいんじゃ........。 急に教授の代わりに参加することになったので、申し込みの時期が随分遅れてしまって、ホテルと参加費用だけ何とか払っただけだった。会議中の昼食のチケットと、バンケットのチケットは買っていなかった。会議受け付けの窓口で申し込んだらカードは使えず現金のみの支払いだと言われた。カードが使えると思っていたのでそんなに現金を持っていなかったから、ペセタが足りなくなって、両替に行かなければバンケットに出れないということになった。
カンファレンスの案内で訊ねると、グラナダの観光名所付き地図をくれて、ここだと印をつけてくれた。それを頼りに出かけたら、American Express専用のForeign
Exchangeだった。VISAカードしか持ってない私は使えない。で、再度観光案内所に行って、両替できるところはどこかきいたら、案内所の人が銀行に電話をかけて、BBVという銀行でやってると教えてくれた。そこへ行ったら、窓口を3つくらい回ったあげく、「カードを認証できない」と言われて断られてしまった。
半分あきらめて歩いていたら、ありとあらゆるカードのロゴが扉に貼ってある別の銀行があった。ダメもとでそこへ行くと、窓口が3つあって列ができている。一般の窓口ではだめかもしれないと思って、奥のパーティションの中にいたお姉さんに、「VISAカードでペセタに両替頼みたいんだけど」と英語で言うと、ともかくその列に並べと言われた。
で、並んで20分以上待たされて、順番が来たので同じことを頼むと、窓口の兄ちゃんは、私が最初に声をかけたお姉ちゃんを呼んで、何とかしてくれと頼んでいるようであった。結局そのお姉さんのパーティションで、パスポートを見せて、カード会社に電話をかけて認証をやってもらい、ペセタの両替ができたので、バンケットの費用を払うことができた。
それにしても、
両替がAMEX専用だという情報がなぜ抜ける?
自分の銀行がVISAの認証をちゃんとできるかどうか、最初に言ってくれりゃいいのに。
窓口の手に負える話かどうか、最初に判断できんのか?
これは、日本からきていた別の院生の話。
帰りの航空機の便のreconfirmをしようとしたら、案内に 「reconfirmの電話番号は予告無く変更されることがありますので現地にてご確認ください」
とあったそうな。「変更されてもこまるんですけどぉ.....」と言いつつ、その電話番号にかけると、テープに録音されたメッセージが流れて、それがスペイン語。さっぱりわからない。カンファレンスの案内の人に訊いて何とかしなきゃ、と困っていた。
最終の目的地にたどり着くと、担当のみなさんはそれぞれに親切なのだが、たどり着くまでの情報の与え方が、どうも期待に反するというかいい加減というか、何かが違っている気がする。というわけで、「Spanish
Information」という単語を新たに定義するべきだという結論に達した。単語の意味は、「期待に反していたり、ちぐはぐだったり、抜けていたり、そのままでは使えなかったりするような情報」というものである。
使用例:「それは、Spanish Informationだね」
グラナダに入る前日、マドリッドでタクシーに乗って、7000ペセタぼったくられた某先生は、会議の後マドリッドに泊まって観光する予定で来ていたので「絶対取り返すぞ!」と言っていた。何でもホテルのフロントでも「何を言われても3000ペセタ以上払うな」と言われたりしたらしいのだが。
ところが数日後、その先生からメールがきて、
「私は、グラナダのあとマドリッドに4泊しましたが、11日(日曜)に鞄と小銭入れとを盗られてしまいました。金額は数千ペセタ程度でたいしたことはないのですが、鞄の中には、スケジュール表兼日記用の手帳と今回の学会でのメモ等の資料がほぼ入っていたので大被害です。また小銭入れには家と研究室の鍵がついていたので、こっちも大変です。」
取り返すどころか、返り討ちにあった模様。合掌......。