本の紹介と書評など

タイトル 「健康食品」ここが危険信号
著者/訳者 大屋喜重
出版社 小学館文庫
出版年 2002
定価 514円+税
ISBN 4-09-418161-1

 著者は、元東京都衛生局薬務部長である。健康食品・サプリメントと医薬品の違いを詳しく説明し、どんな宣伝をすると違法かについても例をあげて説明している。また、医薬品にしか含まれないはずの成分が健康食品に含まれていることがあった例などを挙げ、健康食品といえども成分に注意する必要があることを説明している。

 87-100ページに渡って掲載されている、宣伝文句の不適切事例を以下に引用する。

疾病の治療または予防を目的とする効能・効果の表現
  • 「糖尿病・高血圧・動脈硬化の方に」
  • 「胃・十二指腸潰瘍予防」
  • 「肝障害・腎障害を治す」
  • 「ガンがよくなる」
  • 「眼病の人に」
  • 「便秘が治る」
  • 「○○○は、成人病、慢性疾患、婦人病を予防します」
  • 「身体に無理をかけず便秘を治す」
  • 「頭痛、吐き気、腰痛、不眠、吹き出物、腹痛などを和らげる効果があり・・・」
身体の組織機能の一般的増強・増進を主たる目的とする表現
  • 「疲労回復」
  • 「強精(強性)・強壮」
  • 「体力増強」
  • 「食欲不振」
  • 「老化防止」
  • 「勉学能力を高める」
  • 「回春」
  • 「若返り」
  • 「精力をつける」
  • 「新陳代謝を盛んにする」
  • 「内分泌機能を高める」
  • 「解毒機能を高める」
  • 「心臓の働きを高める」
  • 「血液を浄化する」
  • 「病中・病後に」
  • 「胃腸の消化吸収を増す」
  • 「健胃整腸」
  • 「整腸促進」
  • 「病気に対する自然治癒力が増す」
  • 「○○○は今話題のSOD(活性酸素除去酵素)を増加させます
  • 「血液を浄化し、スムーズに循環」

(中略)
医師・学者の談話・学説・経験談などの引用は、たとえ引用された談話・学説・経験談が事実であっても、健康食品・サプリメントを販売するに際して引用することは、医薬品的な標榜にあたり、禁止されている。
(中略)
「○○○の方にお薦めします」として、疾病にかかっている人、予防をしたいと思っている人、体調が気になっている人などを対象として表現をしているもの。
(中略)
さまざまな不快症状が出ても、それを「好転反応」「瞑眩反応 」などと称して効果の証であると説明するような標榜。

 ただし、これらの表現は、明らかな食品の場合には行ってもかまわない。この本の例では、大根を売るのに「消化を助けて胸焼けによく効く」といって売っても大根を医薬品と誤認する人はいないからだと説明されている。

 引用した表現は、水商売でもしばしば見かけることが気になる。単なる浄水器を通ってきた水を医薬品と誤認する人はいない、といえる気もするが、水処理部分にデタラメな科学理論をもっともらしくくっつけて騙した挙げ句に効果を標榜して売った、ということになると、薬事法以前に刑法に引っかかりそうだが・・・・。

 いずれにしても、健康食品のマルチも増えていて、宣伝では平気で効果の標榜をしているらしいので、そういうものに誘われたり売り込みを受けたりした場合に、この本をみて、あてはまる部分がないか、まずはしっかりチェックした方がよさそうである。



top pageへ戻る 
本の紹介の目次に戻る

Y.Amo /
当サーバ上のページに関する問い合わせや苦情のメールは公開することがあります。